音楽
「令和6年アニソン大賞」受賞楽曲まとめ&選考員インタビュー

今年もアニソンへの熱い想いが溢れた「令和6年アニソン大賞」受賞楽曲まとめ|さらに冨田明宏さん・吉田尚記さん・齋藤Pさん・前田 久さん・DJ和さん5名の選考員インタビューも!それぞれがアニソンへの想いを語る!

各選考員インタビュー

冨田明宏さん(音楽プロデューサー/アニソン評論家)

2006年に音楽ライターとして独立。アニメ音楽メディア『リスアニ!』の企画立案/創刊に携わる。

アニソン評論家として『EIGHT-JAM』『マツコの知らない世界』『世界一受けたい授業』などに出演。

音楽プロデューサーとして黒崎真音、ClariSを発掘、現在は声優・内田真礼ほかアーティスト・プロデュースも手掛ける。

NHK『アニメ・ステラー』音楽ナビゲーター。文化放送『ANISON INSTITUTE 神ラボ!』、ニッポン放送『NEXT-RAD』、Spotify『リスアニ!RADIO』ほかでパーソナリティーも担当。アリア・エンターテインメント所属

 

──「アニソン大賞」も7回目の開催となりましたが、今回の「アニソン大賞」はいかがでしたか? また、特に印象的だったノミネート楽曲を教えてください。

冨田明宏さん(以下、冨田):毎年、令和時代にとっての「良いアニソンとは?」の激論を交わし、その年の大賞や各賞に相応しい楽曲選んでいますが、今年は例年よりも議論がスムースに進行した印象があります。

それは、現在のアニメとアニメ音楽を取り巻く環境に対する議論が令和5年でやりつくされたことで、アニメ/アニソンがグローバルな注目を集める状況や、J-POPとアニメのハイレベルな融和、アニソンを中心に活動するアーティスト/クリエイターに対する適切な評価など等、本当の意味で「2020年代らしいアニソン・シーン」の輪郭が見えたからだと思っています。

過渡期には常に既成概念との摩擦や、変化に対するハレーションが起きますが、それらを乗り越えた現在地の目線で、比較的に冷静な議論が行われた印象が強くあります。

特に印象に残ったノミネート楽曲ですが、自分が選んだノミネート以外だとアーティストソング賞でよっぴー(吉田尚記)が選出した「HY/きのこいぬ」です。よっぴーの熱を帯びたエモーショナルなプレゼンにはかなり心が動かされましたし、HYの音楽性を生かしつつもアニメに寄り添える魅力にも改めて気づかされました。

──イベントでは語り尽くせなかった今回の「アニソン大賞」におけるポイントを教えてください。

冨田:気づいた興味深いポイントになるかもしれませんが、今回Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」「オトノケ」やGEMN「ファタール」、ヒゲダン「Same Blue」はノミネートし議論を交わす対象となりましたが、ミセス「ライラック」やVaundy「タイムパラドックス」、優里「カーテンコール」といった、世間一般的なアニメ主題歌としての「大ヒットソング」がノミネートしなかったことです。

もちろん、我々選考委員が当該曲たちを聴いていなかったわけではありません。我々が考える「良いアニソン」の価値基準には測られない、別の価値基準の中で評価/支持を獲得している楽曲たち、ということなのだと思います。

また、この件についてアニソン大賞を追いかけて下さっているアニソン・リスナーからも大きな異論はなかったことを考えると、やはりJ-POPとアニメが当然のように融和している令和的な「良いアニソン」の評価軸のようなものが形成されつつあるのではないかと思っています。

アニメと主題歌の距離感、アーティスト性との距離感は、近いほど良いと言うものでもなく、勿論遠いから良いと言うものでもない。令和アニソン的な“アニメとの親和性”とは何なのか、アニソン・リスナーのみなさんと一緒に考えていきたいことですね。

──イベントの前後を含めて、何か裏話などありますか?

冨田:今回は事前にノミネートを発表する番組などもなく、ほぼぶっつけ本番で発表まで突っ走ったこともあり舞台裏的な出来事はあまりなかったのですが、やはりユーザー投票賞については今回もさまざまなご意見をいただきましたね。

BE:FIRSTのファンのみなさんの熱心さ、団結力は本当に素晴らしいと心から賞賛しつつ、埋もれてしまったそれ以外のユーザー支持について、それぞれの楽曲に対するユーザーたちの情熱が見えにくくなってしまったことはやはりもったいないなと感じております。次回は何かしらの方法でユーザー投票のあり方を改善できればと思っています。

──DAM2024年アニメ主題歌カラオケランキングについて気になるポイントはありますか?

冨田:「歌いたい」という欲求に叶うアニソンや、その年の「盛り上がり」を計る共通言語としてのアニソンを知るのに、「DAM2024年アニメ主題歌カラオケランキング」が果たした役割は大きかったと思っています。

その中では5位にランクインしたSPYAIR「オレンジ」は、ボーカルのメンバーチェンジという逆境を乗り越えた上で大きな支持を獲得した、新たなアニソンのアンセムとなる可能性を強く感じました。

10位「シカ色デイズ」や17位「ババーンと推参!バーンブレイバーン」などのキャラソンが、アーティストが歌唱するアニソンが主戦場となったランキングの中で良い意味で異色な存在感を放っています。

こういう曲たちが果たしてきたアニソン・シーンにおける「オタクの共通言語」としてのアニソン文化も、真正面から評価し、守っていきたいと改めて思いました。

──今年度より新設された賞に「アニカラ賞」がありますが、今回のノミネート楽曲をご覧になった感想はいかがでしょうか。

冨田:先日、MyGO!!!!!とトゲナシトゲアリの対バンライブ『Avoid Note』(東京ドームシティホール)を観に行った際に、トゲトゲ「雑踏、僕らの街」のサビで大合唱が巻き起こっていたのを目の当たりにしました。

それだけカラオケでも歌われているんだろうなと実感したと同時に、こんなにテンポも速く譜割りも細かいメロディラインでシンガロングが起きたことに衝撃を覚えましたね。それだけこの曲とトゲトゲ、そして「ガールズバンドクライ」という作品が支持されていることの証左だと思います。

──音楽プロデューサー/音楽評論家という立場から見て、令和6年に生まれたアニソンにどういった印象をお持ちですか? また、今後「こんなアニソンを聞いてみたい・作ってみたい」などありますでしょうか。

冨田:重複してしまいますが、令和アニソン的な“アニメとの親和性”が可視化されはじめた今、作るべきアニソンの答えが見えた・・・ように感じてはいるのですが、今アニメの主題歌はだいたいオンエアの1年前か1年半前から作りはじめるような制作スケジュールになってきていて、なかなかその時のトレンドやノリみたいなものの鮮度を保ったまま届けられないもどかしさも感じています・・・言い訳ですが(笑)。

要するに“変わっていくもの”と“変えるべきではないもの”の見極めを常に間違わず、良質な音楽を作ると言うことに腐心していくしかないですね。グラミー賞が「2025年はJ-POPがブームになる」と発表して話題になりましたが、その根拠には「アニメと共に届けられるJ-POPの多様さ」も挙げられていました。

きっと次に来るのは「J-POPではないアニソンの逆襲」だと思うので、虎視眈々と爪を研ぎ続けたいと思います(笑)。

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