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『機動戦士ガンダム』セレクション上映会&トークショーレポート|庵野秀明、出渕裕、氷川竜介登壇

庵野秀明氏、出渕裕氏、氷川竜介氏が『ガンダム』や『ジークアクス』について語る!『機動戦士ガンダム』セレクション上映会&トークショーレポート

 

『ガンダム』は、庵野氏をアニメーションの世界に戻したきっかけの作品だった

その後には、『機動戦士ガンダム』のエピソードと共に上映が行われた、「日本アニメ(ーター)見本市」の第5弾として配信された「安彦良和・板野一郎原撮集」についてのトークも展開。

当時企画を主導していたのは、「安彦氏の原画がそのまま動く映像を見せたい」と考えた氷川氏で、富野監督からのお墨付きをもらうなど順調に進んでいたものの、途中で企画は没に。その話を聞いた庵野氏がサンライズの許諾を得て、「日本アニメ(ーター)見本市」での配信が実現したという経緯があったことも明かされます。

 

 
出渕氏は「安彦さんの絵って、鉛筆で描いているからこその艶めかしさがある」と語り、一度動画にまわしてしまうと、どうしてもきちっとなぞらないといけないため、独特の魅力が失われてしまうそうで、「本来の安彦さんの絵のダイナミックさや艶めかしさは、あの映像を見てもらわないと伝わらない」と熱弁します。

また氷川氏は、その安彦氏の原画を多数収録した『劇場版 機動戦士ガンダム』のムック本の製作にも関わっており、それが庵野氏がアニメーターを目指したきっかけの本だったという裏話も。

庵野氏が「あのマジックがカッコいいんですよ」と、安彦氏の原画でのガンダムの目の表現に大きく影響を受けたことを振り返ると、出渕氏も当時を思い返し、『マクロス』シリーズで知られる河森正治氏も安彦氏に倣って黒のマジックでベタ塗りをしていたという、その影響力の大きさが思い知れる貴重な証言も飛び出します。。

また出渕氏は、今回のイベントの主題にもなっている、1981年の「アニメ新世紀宣言」の現地でその様子を少し離れたところから実際に見ていたそう。「そんなに時間が経ったのか……」と、会場で公開された当時の写真を見ながら、しみじみと当時を懐かしんでいました。

一方氷川氏は、当時イベントに登壇していた富野監督が、将棋倒しになりそうになっていた観客を一喝し、騒ぎを治めたという語り継がれる伝説のエピソードを紹介しながら「これは500年くらい後も、戦国時代の出来事みたいに語り継がれるのでは」と予想し、客席の爆笑を誘っていました。

 

 
その後は、再び『ジークアクス』へと話題が戻り、出渕氏は富野監督ならでの独特の台詞まわしが『ジークアクス』で再現されていたことを称賛。庵野氏もその点にはかなり力を入れていたようで「頑張りました」と照れくさそうに応じます。

また出渕氏は、庵野氏に「なんで自分で監督をやらなかったのか」と尋ねたことがあり、その時は「もう満足したからいい」と答えられ、頭を傾げていたそうなのですが、その後出来上がった『ジークアクス』を見て、なぜ庵野氏が満足したのかが一発で分かったというエピソードも明らかに。

さらに、実際には庵野氏がどれくらい『ジークアクス』に関わっているのかという疑問が上がると、「あんまり(関わってない)。脚本が上がった時に、たまに赤を入れて“どうですかね?”って意見するくらい」と庵野氏。その上で「採用されることもあるし、却下されることもある。この前も、あることをかなり強く推したんですけど、ものの見事に散りました。良いと思ったんですけどねぇ」とぼやき、客席の爆笑も誘います。

マチュたちが住むコロニーに日本語が使われている理由について話題が及ぶと、庵野氏は「鶴巻に聞かないと分からない」と前置きした上で、「『トップ2』の時、(映像に)文字を一切出さないことを決めて、すごく後悔してたので、今回は日本語で全部バーっと出そうと思ったのでは」と推測。また鶴巻監督はテロップ、ナレーションをあまり使わない傾向もあるようで、それらに変わる画面情報として、視聴者に分かりやすい日本語を使ったのではないかという予想も飛び出していました。

 

 
締めの挨拶では、「『ヤマト』や『ガンダム』のこういった節目に居合わせることができて、非常に幸せです。『ヤマト』は50年、『ガンダム』は45年ですけど、また次のまで語り継いでいければ」(氷川氏)、「セミプロみたいな感じでアニメーターの仕事を始めた時、サンライズの2階で『ダルタニアス』をやっていて、1階で『ガンダム』を作ってたんですよ。その時からなかなか『ガンダム』には縁がないなと思っていたら、『ZZ』を起点に、『逆シャア』、『ポケットの中の戦争』、『MS IGLOO』と関わらせていただいて。そんな自分が、こうして庵野さんと氷川さんと一緒にステージに立たせていただけるのは嬉しく、光栄だと思っています」(出渕氏)、とそれぞれコメント。

最後は庵野氏が「僕は『宇宙戦艦ヤマト』に影響を受けたのですが、そのあと、やっぱり『ヤマト』っぽいアニメがなかなかなくて。当時は浪人生だったのもあって、“アニメもそろそろ卒業かなぁ”と思ってた矢先に見たのが『ガンダム』の予告で、ガンダムの顔のカットを見て、“これは毎週見ないと行けない”と思った自分の勘は正しかったなと思います。あの時それを見ていなかったら、自分の人生はちょっと違っていたかもしれない」と振り返りつつ、「僕をアニメーションに戻してくれた作品でもあるので、こうして陰ながら応援できれば」と語り、トークショーは締めくくられました。

 

 
[取材・文・写真/米澤崇史]

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