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映画『山田くんとLv999の恋をする』ましろ先生インタビュー

「原作ファンの方にとっても馴染みのある展開が多い映画になっています」──映画『山田くんとLv999の恋をする』 原作者・ましろ先生インタビュー|ゲームならではの素敵な出会い、茜にはモデルとなった人がいた?

「ドラマを作るための不自然な展開を入れたくない」

――先ほどのターニングポイントのお話の続きでいうと、 アニメ化決定もひとつのポイントなのではないかなと思うのですが、当時を振り返ったお話もお伺いできればと思います。

ましろ:嬉しかったですね。少女漫画のアニメ化は、よりハードルが高いという印象があったので「本当にアニメにしてもらえるんだ!」と驚きました。おまけ程度でもゲームの要素を入れておいて良かったなと……(笑)。

――近年、プロゲーミングチームなどが話題になることも増えていますが、連載を始める際に「ゲームを題材にしよう」と考えたのは、ご自身がゲーム好きだったからなのでしょうか?

ましろ:そうですね。もともと私自身がゲーム好きでしたし、ちょうどゲーム関係で収入を得る方々もちらほらと出始めた時期だったので、「やってみるか」と思ったのがきっかけでした。

――作品誕生の際は、物語を作る上で最初から「こういうストーリーを書こう」と明確に決めていたのでしょうか?

ましろ:基本的には自分で(物語の)企画を考えて編集部に提出し、通るかどうかの判断を受けるという流れです。

『山田くんとLv999の恋をする』の場合は、当時はことごとく企画が通らない中で、「とりあえず締切に間に合わせなきゃ!」という気持ちで提出した企画だったんです……。なので、正直に言うと連載が決まった時は「本当に連載していいの?!」という驚きの気持ちがありました(笑)。

最初は細かい設定も決めておらず、誕生日を決めていないキャラクターもたくさんいたので、アニメ化のタイミングで改めて設定した部分もあります。

――ストーリー上で山田や茜を動かしていく中で意識した部分を教えてください。

ましろ:山田は無口な男の子という設定なので、あまりしゃべらせないようにはしてきました。その方が後々のギャップを際立たせやすくなりますし、連載中も山田の台詞にはすごく気を遣っていました。

それこそ、広告を出す時に「PRでこの言葉を山田に言わせていいか?」という確認は絶対にしますし、「山田じゃなくて、瑛太に言わせるか!」みたいな打ち合わせはすごくします(笑)。

逆にそういう面では、茜は快活な女の子なので台詞面に関しては自由度の高いキャラクターなんですけど、物語を動かす主人公でもあるので、ずばり反感を買わないように慎重に描きました。

――二人の恋愛模様を描く上で気をつけていることをお聞かせください。

ましろ:連載当初はとにかく必死だったので、できていない部分もあるかもしれませんが、連載を続けるうちに「ドラマを作るための不自然な展開を入れたくない」という考えが強くなり、頑張って避けようとはしていましたね。

わりと身近にある日常のストーリーを作ろうと意識していました。 例えば大きな別れだったり、事故、記憶喪失といった劇的な展開ではなく、コンビニに行く話や虫が出た話といった本当に身近にある出来事で(読者の)共感を得ることに挑戦してみよう、という縛りが自分の中にありました。

設定上だけでいうと、恋人としてステップアップをしていくなかで山田の年齢には気を遣いました。

あとは恋愛エピソードを描く際は2人だけの閉じた世界にならないように、外部的要因でちゃちゃを入れることも多かった気がします。2人がイチャイチャするとすぐにちゃちゃを入れにくる谷やん(谷口智也)を登場させてみたり(笑)。

――連載を通して、先生ご自身は山田と茜の成長をどのように感じられているのでしょうか?

ましろ:山田は茜が初めての彼女なので、40話あたりから明らかに成長したと思います(笑)。身近に女の子がいる生活になったわけですから、描かれていない以上の変化が私生活に細々あるんだろうな。

一方の茜は結構難しくて、連載初期からステップアップしていく余地のないキャラなんです。元々彼氏がいたこともあるし、空気も読める子ですし、人として何かが足りないという状態で大きな課題を持って生まれてきた主人公ではないので、山田と付き合うことによって成長したというよりは、山田に寄り添ううちに少しまろやかに柔らかくなったかなという印象です。

自分が甘えるだけではなく、年下の彼を気遣う恋愛の仕方を知っていくフェーズだなと思います。

 
 

――改めてにはなりますが最初にキャラクターを作るときは、どのようにイメージを膨らませていかれたのでしょうか?

ましろ:『山田くん』のキャラクター性に関しては身近な知り合いをモデルにしています。キャラクターを作る時はわりと知り合いの要素をいれることが多いですね。ただ、主人公の茜だけはいろいろな読者の方々が感情移入しやすいような癖のない子をつくりました。

実は「茜」という名前は、昔オンラインゲームで一緒に遊んでいた女の子からいただきました。ゲームの中で出会った茜ちゃんという子とずっと一緒にゲームをしていて、その子があまりにもゲーム慣れしていなくて、よく周りの人たちが教えてあげていました。

当時のオンラインゲームは、今よりも操作が複雑で自分でWindowsをいじらないといけないことも多くて。「プログラムファイルのこのフォルダを開いて、ここにスクリーンショットがあるからね」みたいなことを、一から十まで毎回毎回、茜ちゃんに細かく説明していました(笑)。

――(笑)。ましろ先生が山田くんだったんですね。

ましろ:山田くんというか、他の人が教えているのを見ていて、私は茜ちゃんの取り巻きのその1みたいな風に思われていましたね(笑)。

――名前のモデルになった方はご自身がキャラクターの元になっていることをご存知ですか?

ましろ:たぶん知らないと思います。「遊びに行くね」という話があったくらい当時はすごく仲が良かったんですけど、一緒に遊んでいたゲームのサービスが終了してしまって、それからは疎遠になってしまいました。

――本当にゲームならではの素敵な出会いだったんですね。

(C)ましろ/COMICSMART INC. (C)2025『山田くんと Lv999 の恋をする』製作委員会
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