
「原作ファンの方にとっても馴染みのある展開が多い映画になっています」──映画『山田くんとLv999の恋をする』 原作者・ましろ先生インタビュー|ゲームならではの素敵な出会い、茜にはモデルとなった人がいた?
漫画家・ましろ先生の創作観
――プロット作りについてですが、先生はどのようにストーリーを組み立てていかれましたか?
ましろ:時間の関係上、連載中はじっくりとプロットを作る時間があまり取れないんです。
なので、2週間に1回×15P前後のページ数の中で、「どんな引きを作って今週は締めよう。その中で見せ場としては、どういう台詞を言わせたいかな」というふうに組み立てています。山田や茜の見せ場を先に考え、そこに繋がるように導入を作ることが多いです。パズルを組み合わせていくような感覚でやっています。
――連載を続ける中で、特に印象に残っている出来事を教えてください。
ましろ:印象的な出来事はたくさんあるなぁ……。いっぱいあるけれど、ただ単純に思うのは、連載は一度走り出すと本当に止まれないんだなと(笑)。
(漫画家生活を)何年も続けるうちに身体が慣れてきて心が落ち着き出した頃に、腰を悪くしてしまったんです……。だから、本当にがむしゃらに頑張って机に齧り付くことは良くないことなんだなと実感しました。
やっぱり定期的に走ったり1時間に一回はストレッチをするべきだったなとか、そういったことはたくさん思いました。
――漫画家さんといえば「締め切りがヤバい!」というエピソードも耳にしたこともありますし、そういったイメージがあります。
ましろ:締め切りが厳しくて健康を損ねるレベルで無理をするよりは、編集部と相談して休ませてもらう方が良いと思っています。 ただ、筆が乗っている時は無意識に机に齧りついちゃうんですよね。明日も今と同じ調子で走れるか分からないから、描ける時に描いておきたいという気持ちが強くて(笑)。
1日何ページがノルマだったとしても、「今日は調子が良いから何ページか貯金できる」と思ったらどんどん描いてしまうタイプです。ただ、それで腰を悪くしたので、反省して今はちゃんと気をつけなきゃと思っています。
創作意欲が高い時は一日中ずっと描いていられます。でも、逆に調子が悪い時は30分も集中して座っていられなくて。勉強と似ていて気分が乗っている時は勉強し続けられるけれど、ダメな時は30分ごとに集中力が切れてしまうんです。
――そういったオン・オフの切り替えのエンジンをかけるルーティンはありますか?
ましろ:前提として、その日の起きた時のコンディションの影響はみなさんあるとは思いますが、私の場合は自分の創作意欲を刺激するような好きな作品を読んだりします。そうすると、「おお!」となりますね。逆にゲームで遊んだ後に仕事をしたりするのは、わりと苦手かもしれないです(笑)。
オフの日もだいたい漫画や小説などの読み物をたくさん読んでいます。 漫画はわりと何でも読みますが一番はやっぱり恋愛ジャンルの作品が多くて、小説はホラーやミステリー系が好きでよく読んでいます。
昔から本が好きで、ただ連載が始まってからは漫画を1本描いていると脳が空っぽの状態になってしまうので、栄養吸収ではありませんが休みの日はできるだけ本を読むことが多くなりました。
ゲームだとSteamで気が向いたときに遊んでいて、サバイバルホラーゲームや、自分が市長になって国を防衛したり侵略したり、発展させていき街を作るシミュレーションゲームをたまにプレイします。
ゲームが得意というわけではなく、すぐに3D酔いするし、買ったはいいけどプレイできないみたいなことが結構あります(苦笑)。
――ましろ先生が影響を受けた作家・クリエイターや作品についてお聞かせください。
ましろ:小説だと、ホラーやミステリー作家の貴志祐介さんが特に好きです。すごく好きで作品を何度も読み返しています。小学生の頃、学校の図書室に村上春樹さんや宮部みゆきさんの本があって、作品を読んでいた記憶があるので、そういうところからホラーやミステリーにハマったのかもしれません。
漫画は好きな作家さんが多すぎて、1人には絞れないですね……。その時に流行っている作品を描かれている作家さんは大抵好きですし、昔の大御所さんも好きです。
幼少期から『ちゃお』や『りぼん』、『なかよし』、『花とゆめ』、『少女コミック』、『マーガレット』、『別冊フレンド』など、いろいろな少女漫画雑誌を読んでいました。
特に2000年代の少女漫画が好きです。少女漫画における「男性キャラの在り方」という部分では、くらもちふさこ先生や征海美亜先生のキャラクターは特に素敵だなと感じていて、影響を受けているかもしれません。
――普段の生活の中で、どのようなものをインプットとして作品作りに反映されているのでしょうか?
ましろ:自分が話す立場であっても他人が話している話も、わりと人の会話をよく聞いている方だと思います。別に意識して覚えているわけではないのですが、家に帰った時にふと思い出す人の会話とか、誰かの上手な切り返し方。あとは、人のちょっとした仕草や行動も覚えています。
さりげなくしてもらった親切とか、そういうことは長々と心に残りますよね。良い出来事はずっと覚えていたいので、何年かして漫画で描くということが多いです。わりと有機物を観察している感じがあります……(笑)。
――もしよろしければ、先生にとってのアニメイトでの思い出を教えてください。
ましろ:私は田舎に住んでいるので、アニメイトに行く機会があんまりないんです。初めて身近にアニメイトができたときは「これが噂のアニメイトか! すごいな!」と思った記憶があります(笑)。
私の地元の本屋さんは一般的な書店が多く、アニメに特化した本屋さんはなかったので、アニメイトの店内を見た時は、「階段にこんなにポスターが貼ってある?!」って驚きました。
――今後、本作関連でパネルジャックやスタンディパネルを大量に設置するなど、やってみたい企画があればお聞かせください。
ましろ:液晶のパネルジャック、ぜひ! そういったチャンスがいただけるのであれば、嬉しいなと思いますね。
――たくさんお話いただきありがとうございました。最後に、公開を楽しみにしているファンの皆さんへ向けてメッセージをお願いします!
ましろ:2時間の尺の物語ではありますが、原作とまったく別物というわけではなく、原作を読んでくださっている方にとっても馴染みのある展開が多い映画になっています。その中でも作間さんと山下さんが、また新しい「山田」と「茜」を作ってくださったことで、原作とはまた違った魅力が生まれています。
原作を知ってくださっている方は原作との共通点や違いを見つけながら、ぜひその細かい違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。
[取材・文/笹本千尋]
「山田くんとLv999の恋をする」実写映画化記念フェア
開催期間:2025年3月28日~5月6日
開催場所:全国アニメイト(通販を含む)
開催内容:対象商品を1冊ご購入ごとに特典を1枚プレゼントさせて頂きます。
特典内容:<アニメイト限定特典>チケット風カード(全5種) <他法人共通特典>映画フィルムデザインしおり(全3種)
※特典はお選びいただけません。
※特典はなくなり次第終了となります。
※内容は諸般の事情により、変更・延期・中止となる場合がございます。
実写映画『山田くんとLv999の恋をする』作品情報
出演:作間龍斗 山下美月
NOA 月島琉衣 鈴木もぐら(空気階段) 甲田まひる
茅島みずき 前田旺志郎
監督:安川有果
脚本:川原杏奈
原作:ましろ「山田くんとLv999の恋をする」(コミスマ「GANMA!」連載)
主題歌:マカロニえんぴつ「NOW LOADING」(TOY’S FACTORY)
制作:角川大映スタジオ 配給:KADOKAWA





























