
私たちにしかできない、唯一無二の調べを、歌を。『バンドリ!』Morfonicaの2nd Album『Polyphony』に刻まれた、彼女たちの“今”と“これから”。二葉つくし役・mikaさん、八潮瑠唯役・Ayasaさんインタビュー
ふたりが思い出深い曲
──おふたりの中で、心に残っている曲を強いてあげるなら?
mika:私は6曲目の「Steer to Utopia」がすごく好きですね。これまでのMorfonicaとは少し違う、攻める姿勢が感じられる楽曲になっていると思います。「ついてこいよ」みたいな、いつもとは違う強さが垣間見られるんですよね。
イントロがバイオリンのフレーズから始まるんですけど、優雅な感じでいくと思いきや「まさかこんな展開になるとは!」って思うくらい、途中からすごく力強いサウンドに変わるんですよね。みんなの思いを乗せて攻め込んでいく、ましろちゃんの歌声がすごく良いんですよ。しかも、ただ攻めるだけじゃなくて、ちゃんと聴いている人を引っ張っていくような……「誰一人置いていかないよ!」って感覚があるんです。背中は押してくれるけど、決して置いていかないような。
うまくいえないのですが、ましろちゃんがこの曲を歌うからこそ、ぐっとくるものがあるというか……。彼女の背中が大きくなったな、って思うんですよ。信頼できるというか、ついて行きたくなるような気持ちにさせてくれる。だから、この曲は個人的にすごく推しの一曲ですね。
──「両翼のBrilliance」の後にこの曲が続くのも、流れとしてかっこいいですよね。一方、mikaさんが歌われた3曲目「Merry Merry Thanks!!」はかわいらしい曲ですよね。
mika:はい(笑)。この曲は、『ガルパ』の中で、みんなでクリスマスパーティーに行こうとしたのにつくしだけ行けなくなってしまって、他のメンバーがつくしの家に来てキャンドルを届けてくれる、という温かいエピソードに紐づく楽曲なんです。そのかわいさがすべて出ているというか。楽曲の可愛さやMorfonicaの絆を感じられる曲になっています。ただ、演奏はめちゃくちゃ難しいんですけどね(笑)。
──聴いている分にはすごく楽しいんですけどね。
mika:そうなんですよね。特にこの曲のサビがすっごく難しいんです。聴いたときに笑ってしまいました(笑)。
Ayasa:そんなに!(笑) 今までライブでやったことがないんですよね。
mika:普通のサビって、だいたいキャッチーなビート感があるじゃないですか。例えば8ビートとか、聴いたときに分かりやすいリズムが多いんです。モニカはもともと特殊なところがあるんですが、この曲はさらに特殊で、その定番のビートを全部崩しています。テンポも速いし、ドラムの手数も普段の3〜4倍くらいあって(笑)。人には分からない悪あがきというか……。
──そんなに!?
mika:そうなんですよ。実際に演奏してみると「つくしちゃん、めちゃくちゃ頑張ってる……!」ってなります(笑)。多分、クリスマスパーティーにみんなに行けることをすごく楽しみにしていたんだと思うんですよね。それが演奏からも伝わってきます。「じゃないと、このフレーズ出てこないよな」っていう。だからこそ、すごく愛おしい曲なんですよね。
──いつかライブで聴けるのを楽しみにしています! サンタ帽子とか被って演奏したら、絶対かわいいですよね(笑)。
Ayasa:絶対かわいい!! キャンドルとかもステージに置きたいですね。
mika:ライブでやるとしたら……私が歌うってこと?(笑)
──楽しみにしています!(笑) クリスマスソングがあれば、ハロウィンソングの「ティリカモニカリラ」もありますよね。ゲーム内で配信された曲の待望の音源化というのも、このAlbumの魅力ですね。
Ayasa:そうですね。「Merry Merry Thanks!!」や「Angel's Ladder」など、すでに『ガルパ』では追加されていたけれど、ライブで披露したことがない曲や、フルサイズで聴いたことがなかった曲が収録されているのが、すごく楽しみなポイントですね。
「Fateful...」など、最近ライブでやっていなかった曲が入っているところもポイントなのかなって思います。ライブ先行ではなく、まずはこのAlbumでしっかりとした形で届けられるのが嬉しいです。
──Ayasaさんが思い入れのある楽曲というとどうでしょうか。
Ayasa:「Tempest」かなあ……。この曲は「forte」「ff」のコンセプトライブ、
「フレージング ミラージュ」「MUGEN Reverberate!」「わたしまちがいさがし」「esora no clover」「きょうもMerry go rounD」(2023年発売『forte』収録)を経て、成長してきたMorfonicaの、ある種の“終着点”とも言える楽曲のように感じています。これまでの歩みを振り返るような曲が並ぶAlbumの最後に、「Tempest」があることで、ストーリー的にも一区切りついたような印象を受けます。
──その曲をAlbumの最後に持ってきたのも、大きな意味があるといいますか。集大成的な意味も担っているようにも思いました。
Ayasa:そうですね。でも、「Tempest」は単なるまとめではなく、ここから次のステップへ向かうための曲でもあるんですよね。この曲の中で、メンバーそれぞれが抱えていた迷いが吹き飛ばされ、改めて「強く進んでいくんだ」という決意が感じられます。その流れを受けて「Polyphonyscape」や「Wreath of Brave」といった曲が“Morfonicaらしさ”が際立つというか……。
それこそ「しょっぱいものを食べると甘いものがより甘く感じる」みたいな、そういう作用を「Tempest」が担っている気がしています。
──「Tempest」は演奏的にもかなり難易度の高い印象があります。
Ayasa:そうですね。実際、弾くのもすごく大変。とにかくテンポが速いし、ボーカルも楽器パートも挑戦的な構成になっています。特に、(進藤)あまねちゃんはこの曲について「すごく難しい」とずっと言ってましたね。ボーカルもそうですが、楽器パートも「前へ前へ」と進むフレーズが多くて、演奏しながらついていくのが本当に大変なんです。
しかも、曲的に、これを「難しいものを頑張って弾く」みたいな曲であってはいけないので(笑)。とは言え、Morfonicaというバンドにとって、これほど“力”を感じさせる曲はないんじゃないかと思うくらい、バンドのスキルや表現力を引き上げてくれる楽曲だと感じています。
mika:改めて「Tempest」の歌詞を読むと、ものすごく攻めてる歌詞だよね。このときのましろちゃんの心情を考えると。
Ayasa:確かに。ちょっと男前な感じがする。この曲、この意思があったからこそ「Steer to Utopia」にも漕ぎ出せるようになった感じがします。「きょうもMerry go rounD」(『forte』収録)の時は、狭間にいたましろちゃんが、完全に前を向き始めたことを感じるんですよね。そこも良いなって。ましろちゃんの成長の記録でもあるというか。
mika:これまでの歩みを大切にしながら、新しい挑戦も詰め込まれていて。しかも、収録されている曲の“情緒”がそれぞれ違うんですよ。楽曲ごとに持っている空気感がまったく違うのに、一枚のAlbumとしてまとまっているのがすごいなって思います。それができるのって、ましろちゃんのキャラクター性が大きいんじゃないかな。
彼女って、すごく二面性を持っていると思うんです。繊細でネガティブな部分もあるけど、前に進むときの強さも持っている。その振れ幅があるからこそ、Morfonicaはいろんな曲を表現できるんじゃないかなって。




















































