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『LAZARUS ラザロ』渡辺信一郎監督インタビュー

フィクションというものは、常に現実の一歩先を行かなきゃいけない――『LAZARUS ラザロ』渡辺信一郎監督インタビュー|アクションと音楽、そして現実の“世界”から生まれた集大成

 

模倣しないからこそ生まれるリアリティ

──本作には『ジョン・ウィック』などで知られるチャド・スタエルスキさんが、アクション監修として参加されています。本作のアクションシーンはどのように作られているのでしょうか?

渡辺:本作のアクションは、大まかに言って2種類あるんです。“チャドさんあり“と“チャドさんなし”。ただ、“チャドさんなし”のアクションはクオリティが落ちるかというと、そんな事はない。

──映像を拝見しましたが、全てのアクションシーンが凄まじいクオリティでした。

 

 
渡辺:まず、久々にアクションものをやるにあたって昔と同じことはしたくなかった。では新しいアクションをやるにはどうするか? アクションにこだわりのあって、実力もあるアニメーターって、実は結構いるんですよ。動きから考えて作りたいという、実写映画でいうスタント・コーディネーターみたいな人にコンテからやってもらって、作画も自分でやる、という風にできないかなとまず考えました。

そのうえで、いま最先端の現代的なアクションをやってるのは『ジョン・ウィック』のチャドさんのチームだろう、彼らのアドバイスなり、アクションに対する考え方を聞きたい。そう思ってコンタクトしてみました。

──音楽と同じく一歩踏み込むため、チャドさんにオファーしたという訳ですね。

渡辺:彼らはハリウッドのトップチームだし、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の撮影で忙しいはずだからアドバイスだけでも貰いたい、という気持ちでコンタクトしたんです。そしたらなんと、チャドさんは『カウボーイビバップ』や『サムライチャンプルー』が大好きでインスピレーションも受けた、だからお返しに参加するよ、と言ってくれて。アドバイスだけのつもりが、実際にアクションをつくってくれる事になり、マジでナイスガイでしたね(笑)。

すでに進んでた話数とか、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の撮影が佳境で参加できなかった話数もあるんだけど、それでも多くの話数でアクションシーンを作ってくれました。実写でスタントマンたちがアクションシーンを丸ごと演じて、編集までされたムービーを送ってくれて。「これでよろしく」みたいな(笑)。

 

 
渡辺:ただ、それを単に模写するということじゃなくて、アニメならではのデフォルメとかタイミングを加えています。アニメ的にブラッシュアップした、という言い方が近いかな。

チャドさんたちが参加してない話数は、アニメーターが動きからカット割りまで考えたり、絵コンテでアクションを考えたうえで、チャドさんに見てもらったりもしてます。アニメ側のスタッフも、チャドさんが送ってくれたムービーを見たりして影響を受けてる。だから、チャドさんが直接参加していないシーンにもチャドさんのスピリットは流れているんじゃないか、とは思ってます。

──ちなみに、チャドさんたちが作った実写映像は今後見れたりしないでしょうか…?

渡辺:オフィシャルページとかXとかで、徐々に公開していく予定なんで、お楽しみに。チャドさんのアクションチームは若者も多かったけど、アニメ好きな人が多いみたいで。アクションとアニメは共通項が多いのかもですね。

 

世界を見渡して、世界に作品を届ける

──渡辺監督は海外の制作会社とのお仕事も多いですよね。そこでの経験が本作に活かされることもあったのではないでしょうか?

渡辺:そうですね。作品を作るうえでは、常に「視野を広く持ちたい」と思っています。ずっと日本にだけいると視点が偏ってしまうんで、仕事が片付いた後はなるべく海外に行くとかしたいなと。まあ、元々旅好きでもあるんですけど、単に遊びたいとか、そういう事じゃない……ということにして(笑)。

──渡辺監督がそういった考え方を持つようになったのはいつ頃ですか?

渡辺:『マクロスプラス』の時に初めてロケハンでアメリカに行ったんですけど、その時にだいぶ刺激を受けたんです。サンフランシスコとかロサンゼルスに2週間ほど滞在して、向こうの色々な人と話す機会もあって。日本にいるだけだと分からない空気感だったり、物事の考え方だったりに触れて、視野が広がった感じがしました。

それから、機会があるごとに海外に行くようにしています。コンベンションとかに呼ばれると期間中は忙しいから、何日か延泊してひとりで街を歩きまわったりして、その土地に触れるようにしてます。だいたい25カ国ぐらいは行ったかな。新しい国に行くと、いまだに刺激を受けますね。

 

 

──『カウボーイビバップ』以降は、海外からの反響も徐々に大きくなっていたのでは?

渡辺:90年代には、まだ日本のアニメを海外の人が観るのも一般的じゃなかったし、アメリカでも数本ぐらいしか見られてなかったらしい。そんな中で、フランスとかイタリア、ドイツとか多くの国では、「はじめて放送された子供向きじゃないアニメ」がビバップだったそうです。

──本作に参加されているKamasiさんとチャドさん然り、海外には熱量の高いファンも多いですよね。

渡辺:そうですね。日本のファンはシャイな人が多いけど、海外のファン中には物凄く語る人もいますね。Kamasiさんもそうですけど、「自分がどれだけこの作品が好きか」「自分のの人生がどれだけ変わったか」とかを熱く語りかけてきたり(笑)。

──そういう意味では、日本のみならず、世界中に『LAZARUS ラザロ』を楽しみにしているファンの方がいらっしゃると思います。

渡辺:TVアニメとしては、類を見ないほど力が入った作品だと思うし、個人的にも相当気合が入っています。自分の中でも集大成と言える作品になったと思うので、是非観てほしいです!

 
[インタビュー/失野 編集/小川いなり]

『LAZARUS ラザロ』作品情報

4月6日(日)夜11時45分からテレ東系にて放送開始! (全13話)

配信情報

▼4月6日(日)夜12時15分より最速配信
U-NEXT、DMM TV、アニメ放題

▼4月9日(水)以降、順次配信開始
dアニメストア、dアニメストア ニコニコ支店、dアニメストア for Prime Video、ABEMA、バンダイチャンネル、Hulu、FOD、Lemino、Netflix、Prime Video、ディズニープラス、WOWOWオンデマンド、ニコニコチャンネル、ニコニコ生放送、TELASA(見放題プラン)、J:COM STREAM(見放題)、milplus見放題パックプライム ほか

イントロダクション

西暦2052年。
世界はかつてない平和な時代を迎え、脳神経学博士スキナーの開発した鎮痛剤「ハプナ」が大きく貢献していた。
副作用がない「奇跡の薬」として世界中に広まり、人類を苦痛から解放したハプナ。
しかし、その開発者であるスキナーは突如姿を消し、その行方は誰も知らなかった。
――3年後、彼は世界を破滅に導く悪魔として再び現れる。
ハプナは服用者を3年後に発症させ死に至らしめる薬で、仕掛けられた罠だった。
「あと30日。それまでに私の居場所を見つけだせば、人類は生き延びられる。」
スキナーが持つたったひとつのワクチンを使用するしか、助かる道はない。
そして、これが欲しければ私を見つけ出せと言う。 スキナーの陰謀に対抗すべく、
世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」。 彼らは、人類を救うことができるのか?
そしてスキナーの真の目的とは――? 監督に、渡辺信一郎(『カウボーイビバップ』)、
キャラクターデザインに林明美(『BANANA FISH』)、
アクション監修にチャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』)、
制作にはMAPPA(『呪術廻戦』『チェンソーマン』)、
企画プロデュースにSOLA ENTERTAINMENT(『ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い』)、
Kamasi Washington/Bonobo/Floating Pointsが音楽で作品の世界をよりスタイリッシュに華を添え、
国内外のクリエイターたちがタッグを組み、迫力のアクションと、緻密なドラマを描く。

スタッフ

原作・監督:渡辺 信一郎
脚本:渡辺信一郎/佐藤大/小沢高広(うめ)/近藤司
アクション監修:チャド・スタエルスキ(87Eleven Action Design)
キャラクターデザイン:林 明美
コンセプトデザイン:ブリュネ・スタニスラス
美術監督:杉浦美穂
色彩設計:田辺香奈
画面設計:坂本拓馬
撮影監督:佐藤光洋
音楽:Kamasi Washington/Bonobo/Floating Points
オープニングテーマ:「Vortex」Kamasi Washington
エンディングテーマ:「Lazarus」The Boo Radleys
音響効果:Lauren Stephens(Formosa Group)
音響制作:dugout
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA
企画プロデュース:SOLA ENTERTAINMENT

キャスト

アクセル:宮野真守
ダグ:古川 慎
クリスティン:内田真礼
リーランド:内田雄馬
エレイナ:石見舞菜香
ハーシュ:林原めぐみ
アベル:大塚明夫
スキナー:山寺宏一

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