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『LAZARUS ラザロ』渡辺信一郎監督インタビュー

フィクションというものは、常に現実の一歩先を行かなきゃいけない――『LAZARUS ラザロ』渡辺信一郎監督インタビュー|アクションと音楽、そして現実の“世界”から生まれた集大成

2025年4月6日(日)より放送開始となる、TVアニメ『LAZARUS ラザロ』。

西暦2052年。平和な時代が訪れ、脳神経学博士スキナーの開発した鎮痛剤「ハプナ」が大きく貢献していた。しかし、その開発者であるスキナーは突如姿を消し、その行方は誰も知らない。 3年後、彼は世界を破滅に導く悪魔として再び現れる。 ハプナは服用者を3年後に発症させ死に至らしめる、スキナーが仕掛けた罠だったのだ。

人類が助かる道は、スキナーが持つたったひとつのワクチンだけ。スキナーの陰謀に対抗すべく、世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」は、人類を救うことができるのか?  そして、世界を破滅に導く悪魔となったスキナーの目的とは?

本作の監督を務めるのは、『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』『残響のテロル』などを手掛けた渡辺信一郎監督。制作をMAPPAが担当し、アクション監修として『ジョン・ウィック』のチャド・スタエルスキ氏も参加。TVアニメの枠を超えた、豪華スタッフが名を連ねている。

アニメイトタイムズでは、渡辺監督にインタビューを実施し、キャリアの集大成と言える『LAZARUS ラザロ』に込めた想いやアクションシーン制作の裏側などを伺った。

 

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LAZARUS ラザロ
西暦2052年。世界はかつてない平和な時代を迎え、脳神経学博士スキナーの開発した鎮痛剤「ハプナ」が大きく貢献していた。副作用がない「奇跡の薬」として世界中に広まり、人類を苦痛から解放したハプナ。しかし、その開発者であるスキナーは突如姿を消し、その行方は誰も知らなかった。――3年後、彼は世界を破滅に導く悪魔として再び現れる。ハプナは服用者を3年後に発症させ死に至らしめる薬で、仕掛けられた罠だった。「あと30日。それまでに私の居場所を見つけだせば、人類は生き延びられる。」スキナーが持つたったひとつのワクチンを使用するしか、助かる道はない。そして、これが欲しければ私を見つけ出せと言う。スキナーの陰謀に対抗すべく、世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」。彼らは、人類を救うことができるのか?そしてスキナーの真の目的とは――?作品名LAZARUSラザロ放送形態TVアニメスケジュール2025年4月6日(日)〜2025年6月29日(日)テレビ東京系列にて話数全13話キャストアクセル:宮野真守ダグ:古川慎クリスティン:内田真礼リーランド:内田雄馬エレイナ:石見舞菜香ハーシュ:林原めぐみアベル:大塚明夫スキナー:山寺宏一ジル:中村悠一サム:杉田...

 

近未来と現実を結びつけた音楽

──まずは、『LAZARUS ラザロ』の企画が始動したきっかけをお聞かせください。

渡辺信一郎(以下、渡辺):2017年に『ブレードランナー ブラックアウト2022』という短編をやったんです。近未来が舞台のSFアクションもの、っていうのを久しぶりにやったけど、これがなかなか楽しくて。短編だしすぐ終わったこともあって、「もうちょっとこういう作品をやろうかな」という気分だったとこに、アメリカのカートゥーン・ネットワークからオファーが来て。SFアクションをやってほしいというオファーだったんで、ちょうどタイミングが良かった。ただその時点では、すでにTVシリーズ『キャロル&チューズデイ』をやることが決まってたんで、それが終わってから作業に入った感じです。

それで、どういう作品にしようか色々考えてる時に出会った曲が、本作のエンディングテーマ、ザ・ブー・ラドリーズの「Lazarus」。1992年に出た曲で、当時から好きで良く聴いてたけど、今やすっかり忘れてて(笑)。何十年ぶりかに偶然この曲を聴いた時、大きなインスピレーションを受けて、作品の土台ができた。その偶然がなかったら、まったく違う作品になってたかもですね。それでこの曲に敬意を表して、エンディング・テーマに使わせてもらいました。

 

 

──作中に登場する「ハプナ」は、現実のオピオイド問題にも通じるものがあると感じました。

渡辺:アメリカとかで社会問題になってるオピオイド危機は、日本ではあまり知られてないかもだけど、自分の大好きなミュージシャン達がそのせいで亡くなる、という事からだいぶ注目してました。「プリンスの命を奪うなんて、何なんだよその薬!」てな感じで。

でも、そういう現実の問題をそのまま取り上げている訳ではないんです。フィクションというものは、常に現実の一歩先を行かなきゃいけない。現実の後ろを追いかけているようじゃ負け、という考えなんです。

それと、そういう社会問題が根底にあっても、作品としてはあくまで娯楽アクション、エンタテインメントなんで、ご心配なく(笑)。

──先ほどエンディングテーマのお話がありましたが、Kamasi Washingtonさんのオープニングテーマはどういう経緯で決まったのでしょうか。

渡辺:Kamasi Washingtonさんは、今のジャズ界を牽引するような有名なミュージシャンなんですが、最初にリモートの打ち合わせで会ったら、「俺が、どれだけお前のアニメを好きか分かるか?」という感じで(笑)。最初は本編の劇伴をオファーしたら、もうノリノリでつくってくれて、さらに「オープニングもやらせてくれないか」と連絡があって。もう、イヤとは言えないでしょう(笑)。

 

 

──BonoboさんとFloating Pointsさんも、本作の音楽も担当されていますね。

渡辺:普段の彼らは、どちらかと言うとクラブミュージックやダンスミュージックを作っている人たちなんです。でも、そこに留まらない豊かな才能を持っている二人なんで、ぜひ映画音楽にチャレンジしてほしいなと思ってオファーしてみました。

……ちなみに、いい曲を書いてもらうには、ちょっとしたコツがあると思うんです。

──ぜひそのコツを伺いたいです。

渡辺:複数のアーティストに曲を発注して競わせることです。そうすると、みんな他のアーティストに負けたくないから、良い曲を作ってくれる…ような気がします。まあ、自分の思い込みかもだけど(笑)。

 

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