音楽
『キミプリ』石井あみ&熊田茜音&吉武千颯が結んだ〈決意リボン〉【インタビュー】

聴いてくださる皆さん全員が、“笑顔 Light Up!”できるように、私たちは頑張り続けます!──『キミとアイドルプリキュア♪』オープニング主題歌 石井あみさん、熊田茜音さん、吉武千颯さんロングインタビュー

 

3人の思いをひとつにした“プリキュアの日”

──『わんぷり』感謝祭の前には久しぶりのおひろめショーがありました(2025年2月1日(土)@横浜ランドマークタワー『キミとアイドルプリキュア♪』おひろめデビューライブ)。吉武さんは過去、参加されていましたよね?

吉武:はい。みんなに直接会ってお届けできたおひろめショーは『ヒーリングっど♥プリキュア』(『ヒープリ』)ぶりでした!(2020年2月1日(土)池袋サンシャインシティ『手と手でキュン!ヒーリングっど♥プリキュア おひろめショー』)

そのときも出させていただいていたので、私自身、みんなに会えるおひろめショーは3回目。「ああ、これがしたかった!」とすごく嬉しい気持ちでした。

──しかも今回は『プリキュア』の聖地である横浜の他、名古屋・大阪の3都市で開催されるという初の試みも(※プリキュアシンガーは横浜公演のみの出演)。

吉武:アイドル活動ならではの試みで「いいなあ」って思いました。東京だけだとどうしても来られない方も多いと耳にするので、「キミに会いに行くよ」って。色々な場所に直接行けるのはすごく素敵なことだなと思います。

 

 

──横浜公演は私も拝見させていただいたのですが、ものすごい盛り上がりでしたね。オープニング主題歌を初めて生歌唱でお届けされたときのお気持ちはいかがでしたか。

吉武:新しいシリーズの第一歩はまた違う感覚で、すごく緊張しました。しかもそれが“プリキュアの日”(『ふたりはプリキュア』第1話が始まった日)。色々な意味を感じながらステージに立たせてもらったのですが……新しいプリキュアたちを見るときの子どもたちの目って、期待感がすごく伝わってくるんですよね。「歌います!」って私たちが登場したとき、すでにみんなが笑顔で待っていてくれて、それがすごく嬉しかったです。

大人の方々は試聴動画などで楽曲を聴いてくれていたと思うんですけど、子どもたちは初めてお歌を聴く子も多かったはず。でも、そんな中でも「プリキュアの曲は一緒に踊っていいんだ!」って感じで、すぐに踊り始めてくれて。あの瞬間、心が温まるような、自分のなかのワクワクが弾けるような、そんな気持ちになりました!
たくさんの方が会いに来てくださって、お渡し会でも直接言葉をいただいて……。本当に『キミプリ』を楽しみにしてくださっている方が多いんだなと実感しましたし、より一層頑張らねばという気持ちになりましたね。

──生で3人がステージに立つのはあのお披露目ライブが初めてということもあって、特に熊田さんは、相当緊張されたのでは?

熊田:もう、本当に……!  包み隠さず言うと、すっごく緊張しました(苦笑)。プリキュアシンガーとして、ここから3人で活動が始まるんだという緊張もありましたし、ダンスや歌をしっかり届けたいという緊張もありましたし……。

それと、私は小さいお友だちが沢山いる場で歌うという経験が、初めてだったんです。事前にイメージはしていたものの、実際にステージに立つとどうなるのか……すごくドキドキしていました。でも、本当に温かく迎えてくれて、みんなが「ようこそ!」ってしてくれているような雰囲気で。しかも小さなお友だちは、お歌に反応してすぐに踊ろうとしてくれていて、すっごく嬉しかったです。その姿を見て、“キミからたくさんもらったこのキラキラを今度は私が届ける番だ!”と思い、気持ちを切り替えて歌うことができました。

しかもふたりが隣にいてくれたので、すごく頼もしくて……。出る前に「背中叩いて!」ってお願いして、気合いを入れてもらったり、3人で手を合わせて「キミプリシンガー!」って声を掛け合ったりして。

あれをやることで「大丈夫だ!」って思えて。私はお渡し会も初めての経験でした。恥ずかしくてお母さんの後ろに隠れちゃう子や、震えながら「大好きです!」って伝えてくれる子がいたり……。そんなひとつひとつの言葉や仕草が、すごく心に沁みましたね。もう「愛おしいなぁ」って。

 

 

──石井さんはいかがでしたか?

石井:実は珍しく緊張してしまって(苦笑)。アイドルプリキュアたちが登場したときに、小さなお友だちの声がすごくよく聞こえてきて、そこで緊張しはじめたんですよね。例えばキュアアイドルの「笑顔のユニゾン♪」の〈ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)〉のコール&レスポンスがあったり、お歌が流れていないときにも「キュアアイドル〜!」「キュアウインク〜!」「キュアキュンキュン〜!」と名前を呼ぶ声が響いてきたり……。そういう声を聞けたことで「絶対にキミ一人ひとりにお歌を届けたい!」という気持ちが強くなって、逆に緊張してしまったんです。

それと「キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!」は3人の息がぴったり合わないと難しい楽曲で。練習の時から「3人で揃えるのって、こんなに難しいんだ……!」って何度も感じていたんです。それを初めてお友だちのみんなに見てもらうというプレッシャーもありました。特に〈もっと照らすよ〉っていう部分のタイミングが難しくて。でも、突っ込む時は思い切っていかないと、逆に崩れてしまうんですよね。そういった緊張する要素もあってドキドキしていました。

──石井さんが緊張されることは珍しいとは言え、初めての生歌唱ですし、無理もないですよね。

石井:でもやっぱり3人ってすごく心強いんです。円陣もそうですし、ステージに出る直前、ちはちゃん(吉武さん)がマイクに「私たちも行くよ!」って声をかけてくれて、その声を合図に3人で顔を見合わせるんです。その時に、お互いに目を合わせるんですけど、そのときにものすごくパワーをもらって。

 

 
吉武:そうそう。お客さんだけじゃなくて、ふたりに対しても「届け〜!」って気持ちでした(笑)。そしたらふたりともニッコニコで(笑)。

石井:その勢いのままステージに向かったから、緊張しながらも「3人なら、何でもできる!」っていう気持ちの方が強くなりました。

──3人だからこその厚みがありますよね。それにしても、石井さんはソロから始まり、次はふたり、そして今回は3人と、いろいろな形で主題歌を彩っていますよね。

石井:本当に、貴重な経験をさせてもらっているなと感じています。『ひろがるスカイ!プリキュア』の時は、歌手デビュー自体が初めてだったので、とにかく全力で1年間を走りきったという印象が強いです。一方、『わんぷり』では2人で歌わせてもらって、パートナーがいることの心強さや感謝の気持ちを改めて感じて。当たり前でいてくれる存在は、当たり前じゃないんだって。そして今回3人で歌うことになって、その気持ちがさらに倍増した感じですね。特に今回は「キミ」がテーマなので、この3人の想いをひとつにして一人ひとりに届けたいと思っています。

 

最初から3人曲であることは決まっていた?

──オーディションについてもおうかがいさせてください。熊田さんは今回、オーディションを受けられていたのでしょうか?

熊田:はい、受けさせていただきました。すごくドキドキしていて、オーディションの会場で待っている間、ずっとトイレに行っていました(苦笑)。でも、その時に『プリキュア』のスタッフさんが「大丈夫だよ、安心して」と声をかけてくださって。いざスタジオに入った時も「落ち着いて歌っていいよ」って言ってくださったんです。

 

 

──それで少し落ち着くことはできましたか?

熊田:はい。それと、「キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!」は本当にキラキラした楽曲で、音楽の力に引っ張ってもらえた感じがしました。終始緊張はしていたんですが、それでも歌っている時に「楽しい!」って感じたんです。人生で初めて、スタジオオーディションの後に「楽しかった!」と思いました。この歌を歌えたことが嬉しかったし、この音楽に出会えてよかったなって。

──その後、「お願いします」と言われた瞬間は、どんな気持ちでしたか?

熊田:とにかくビックリしました。「どうしたら『プリキュア』の歌が歌えるんだろう?」って、何年も向き合い続けてきたことだったので、すっごく嬉しくって。しかも、プリキュアシンガーとして活躍されているおふたりと一緒に歌えるなんて! “どんな未来が待っているんだろう……?”って、ワクワクが止まりませんでした。

──おふたりは熊田さんが新しいプリキュアシンガーに加わると聞いたとき、どんな印象を持ちましたか?

吉武:オーディションの時点では3人の楽曲とは聞いていなかったんです。オーディションではTVサイズの楽曲を一人で歌う形だったので、まさか3人で歌い分けることになるとは思っていませんでした。熊ちゃんがプリキュアシンガーとして仲間になった喜びと同時に「3人曲だったんだ!?」という驚きがありました。「おお、3人!? どんな感じになるんだろう?」って。期待とワクワクでいっぱいになったのを覚えています。

石井:私はまだ当時、熊ちゃんとはまだお会いしたことがなかったので、「あの熊田茜音ちゃんが新しい仲間が加わるんだ!」ってワクワクしました。ちはちゃんから熊ちゃんが同じ事務所の方だということは聞いていましたし、また、別作品でお名前を知っていて。『プリキュア』とは関係なく、お歌を耳にする機会もあったので、「すごく楽しみだな」と思いました。ちはちゃんとも一緒に歌えるという驚きもありましたね。

 

 

──井上さんに楽曲制作の舞台裏をおうかがいしたいのですが、3人曲というのはオーディション段階では決まっていたのでしょうか?

井上 洸さん(以下、井上):僕の中では決めていましたね。最初は、1人で1年間走り続けるのか、それとも複数人で進めるのか、いろいろと考えていたんですが、(エンディング主題歌の)「Trio Dreams」とのバランスも考えて3人が良いなと思ったのと……オーディションを経て、「複数人で歌った方が楽曲や作品にとってプラスになる」と判断しました。純粋に、「キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!」がすごく良い曲なんですよね。それで、オーディション後の会議で、そういった提案をした記憶があります。

──作曲は『プリキュア』シリーズ初となるMONACAの広川恵一さんですね。

井上:広川さんとは以前から顔見知りでしたが、楽曲のコンベンションには何曲も候補をいただいているので、当然フラットな立場で判断しています。それは歌手のオーディション然り、特別視することはありません。ただ、今回こうやってお仕事でご縁ができたのはすごく嬉しいですね。

 

 

──井上さんは広川さんの曲を聴いてどのような印象を持ったのでしょうか?

井上:恐らくですが、広川さん自身、自分のカラーをどう曲の中で見せていこうか、試しながら作曲されたんじゃないかなと思っています。でも、最終的に彼が出した答えが「原点回帰」を感じるようなサウンド。広川恵一の原点回帰とも言える曲なんじゃないかなと感じています。彼の持つ良さが最大限に詰まっているというか……さらに、『プリキュア』シリーズのオープニング曲にふさわしい要素がたくさん詰め込まれている印象がありました。昨今、間奏をスキップする楽曲が多い傾向にある中で、歌だけでなく、ベースやドラム、ギターといったすべての楽器がしっかりとフィーチャーされていて、すごくバランスの良い楽曲になっています。

──明るいだけじゃない切なさが混じっているところも良いなと感じました。

井上:そこは『ひろがるスカイ!プリキュア』の作品にも通じる部分ですよね。光があれば影もある。特に表舞台に立つ人たちは、ただ明るいだけではなく、辛いことも抱えている。そういう部分も、楽曲に反映されているのかもしれません。

──そのうえで、子どもたちにはまっすぐ届く楽曲ですよね。

井上:そうですね。子どもたちにも響きつつ、アイドルコンテンツを好きな方々にも楽しんでもらえる楽曲になったと思います。

──もう少し踏み込んだところもおうかがいしてもいいでしょうか。フラットな視点で歌手も選んでいるというお話がありました。この3人を今回のプリキュアシンガーに選んだ理由もお聞きしたいです。

吉武:初めて聞く! ドキドキする……!

 


 
井上:作品スタッフと話し合いながら、最終的に5人ほどに絞ったんです。僕の中では正直、かなり悩みました。
 
まずは吉武さん。この記事を読まれている皆さんは予想していたかもしれませんが……昨年、吉武さんの『プリキュア』シリーズの楽曲をまとめたベストアルバム『“えがおのおくりもの” 〜Chihaya Yoshitake Precure Song Best〜』をリリースした時点では、「一区切り」という気持ちがあったんです。でも、それが覆った。今回の選考で、それまでの考えを見直すことになったのは、自分にとってもイレギュラーな出来事でした。ただ、彼女を選んだのは「吉武さんだから」ではなく、「この楽曲に合うから」です。彼女はものすごく、この曲に似合うんですよね。

石井さんも最終候補の5人の中にいました。本人にも伝えていますが、彼女は非常に上手に歌いこなせるので、逆に“色がない”と感じる部分もあります。でも、それが重要なピースだったんです。複数人で歌うという前提があったからこそ、“つなぐ”という意味で、彼女は絶対に必要な存在でした。じゃあ、もうひとりはどうするのか、というところなのですが……。

最後に熊田さんを選びました。その理由としては、以前から彼女には才能があると感じていましたし、過去にオーディションも何度か受けてもらっていたからです。当時はまだ機が熟していませんでしたが、今回は違いました。オーディションで歌う姿を見たとき、ここに立つために、彼女がものすごい努力を積んできたことを感じたんです。最終的には、歌の声質よりも、オーディションに向けてどれだけ努力してきたかを見たような気がします。

もちろん、オーディションの合否は努力だけでも、上手さだけでも決まるものではありません。どれだけ頑張っても受からないこともあります。でも、熊田さんは、オーディションでの緊張感の中でも、なるべく綻びを見せないようにしていた。その姿勢を見て、「彼女が適任だ」と感じました。熊田さんは今まさに“『プリキュア』というコンテンツの中で自分をどう見せていくか”を模索している時期だと思います。2019年には吉武さんがそうしていて、2023年は石井さんがそうしていた。そして今、熊田さんがその道を歩んでいるという印象ですね。

一同:ありがとうございます!

 

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