音楽
[Alexandros]の川上洋平(Vo&Gt)がオグリキャップの“走る理由”に共鳴|『ウマ娘 シンデレラグレイ』OP「超える」インタビュー

オグリキャップの“走る理由”に共鳴。ウマ娘たちの美しさも取り入れた制作秘話ーーアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第1クールOP主題歌「超える」を手掛ける、[Alexandros]ボーカル・ギターの川上洋平さんにインタビュー

オグリキャップが自分と戦い気付いた様子を表現したかった

――どんなイメージで「超える」を作られたのでしょうか?

川上:オグリキャップが自分と戦い、気付いていくところまでを描きたいと思いました。まず数パターン作って並べてみて選んだ感じです。歌詞についてはそこでまとまりましたが、サウンドはイントロがあって、Aメロの後、1回沈むんですけど、そこからBメロでまた這い上がっていきます。[Alexandros]の公式YouTubeで「超える」のMVのコメント欄を見たら、上手に表現してくれている人がいて。

[Alexandros] - 超える (MV)

「1回深呼吸で整えて、幕が上がるところを表現してくれているに違いない」と書かれていて、「そうなんだ」と気付かされて(笑)。歌詞に関しては考えているけど、音楽に関してはそういうことはあまり考えていなくて。思いついたまま作っただけですが、無意識にそのあたりを汲み取っていたのかもしれません。いろいろな方が表現を当てはめてくれてありがたいなと思っています。

またサビでファルセットを多用していますが、ウマ娘たちはただカッコいいだけではなく、走る時の美しさ、たゆたう感じがあるので、力任せの歌い方で表現したくなかったんです。だから少し柔らかな音色を使うためにファルセットで歌いました。そしてDメロでピークに持っていく時に地声を使っています。本当ならファルセットを使ってもいい音程ですが、より必死感が出せたらと。ただ無意識に作っているので、自分でも後で気付くことが多いんですけどね(笑)。

歌詞も歌い方もレコーディングでやってみてハマるまでやってみます。レコーディングよりもレコーディング前後のほうが時間がかかりますね。「あそこのアレンジはやっぱり変えたいな」とか「歌い方を変えてみようかな」と思ってやり直すことも多いけど、全然苦ではなくむしろ楽しいし、僕はいくら時間をかけても大丈夫なんですよね。むしろ大変なのは待っている皆さんのほうかもしれません(笑)。

「武者震い」や「私が私を追い抜き去っていく絵」はオグリキャップを象徴するフレーズ

――なぜタイトルを「超える」にしたのでしょうか?

川上:タイアップだけど自分の歌でありたいなと思ったんです。冒頭でお話したようにコミックを読んで「自分と共鳴するな」という瞬間が何度もあって、まず1つ目で引っかかったのは「武者震い」。自分も「ライブ前や何かに挑む時の緊張感は武者震いという表現がふさわしいんだな」と気付かされたところでもあったので、どこかで取り入れたいなと。

そしてサビ最後の「私が私を追い抜き去っていく絵」はオグリキャップが何のために戦うのかという問いかけに、「私は自分を超えたいんだ。これは私自身との戦いなんだ」と気付くシーンがありましたが、そこが書きたいところでもありました。

僕はデモを歌う時の歌詞は適当な日本語や英語が混ざった理解不能なものなんですけど、サビに「私が私を追い抜き去っていく」とあって、たまたまハマったのでぜひ使いたいなと思ってそのままにしました。そこから紐解いて他の歌詞を書いていき、最終的にタイトルの「超える」につながりました。

――サビ前の「武者震いの訪れ」や「青みがかりのハレの舞台で」などまさにレース直前のイメージで、聴いているだけで昂まりました。

川上:あと書きたかったのはサビの出だしの「物語の手綱を解いて」です。2番の「物語の幕が開いて」はすぐに思いつきましたが、もっとウマ娘を表現する言葉が欲しいなと思って。用意されたコースを走るだけではなく、枠をはみ出すくらいのものはないかなと考えてました。またコントロールから解放されたキャラクターたちだと思ったので、物語をはみ出したいなと思った時、この作品には手綱は出てこないからこそ、使おうと思いました。

サビの最後の「絵」は最初は「イエ~」だった!?

――歌詞を聴いているとオグリキャップが地方でくすぶっていたトレーナーの北原と出会い、ライバルたちと戦い、競い合っていく姿が浮かんできました。

川上:何度もコミックを読み込んだので、それぞれの場面に合う表現はあるはずという自負はあります。

――お聞きしていると川上さんの音楽の作り方もいわばスポ根みたいですね。

川上:僕はあまり音楽の勉強をしたこともないし、理論を学んではいないので、ただ思いついたものを鼻歌やギターで鳴らして作るやり方で。だから計算できないからただやるしかないんです。

――エモーショナルで熱い歌詞も印象的ですが、サビの最後が「私が私を追い抜き去っていく絵」と「絵」で終わるのもおもしろいですね。最初は「イエ~」と歌っているのかなと思っていました。

川上:僕が書いた時も最初は「イエ~」でしたが、それはちょっとなと思って(笑)。1サビ頭で「物語の手綱を解いて 生きとし生けるものは浮かべる」まで思いついた後に「浮かべるものは何だろう?」と考えたら「絵」かなと。だからタイトル案が「瞳孔」に行きかけたことがありましたが、もう少し強い言葉が欲しくてこうなりました。

MVは今までの自分たちの映像をバックに、それらを超えていくイメージ 

――MVでは過去のいろいろな映像をバックにバンドで歌われているシーンとパーカーを着たアスリートっぽい人が走るシーンがあって、ウマ娘のイメージにピッタリです。

川上:MVはうちのマネージャーが監督しています。今までの自分を超えていくことがテーマだったので、それを感じ取ってくれたんじゃないでしょうか。僕らが今までやってきたライブ映像などを流して、「こんなに大きくて素敵な会場でやっているけど、もっと行けるでしょ」ということを言いたかったのでしょうし、僕たちもいつもそう思っていることを改めて気付かせてくれました。

――あのパーカー姿の方はどなたですか?

川上:僕です。朝からめちゃめちゃ走らされました(笑)。本当はもっとあのシーンのカットは多かったんです。でもオグリキャップの走り方はすごくカッコよく、それと比べると自分が恥ずかしくなっちゃって、「自分の走り方はこんなにカッコよくないのでカットしてください」と僕から監督にお願いして、9割くらいカットしました(笑)。

――撮影の時の裏話があれば教えてください。

川上:ギターの白井(眞輝)くんがサングラスをして、髪を編み込みしてきて。「超えてきたな」と思いました(笑)。何でサングラスをしたのかはいまだに謎で、うちのベースくん(磯部寛之さん)とドラムくん(リアド偉武さん)は真面目で硬派なので飛び道具がない人たちですが、白井くんは飛び道具でしかなくて(笑)。ある日、急に金髪にしてきたり、何をしでかすのかわからないのが魅力でもあるので、「ちゃんとしなさい」とあまり言わないように、むしろもっとやってほしいと思っています。いつも自分を超えている人です。

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