4人のロック愛と熱量はもはや乗算！　まるでセッションのようだった収録の秘話とは──『ロックは淑女の嗜みでして』関根明良さん×島袋美由利さん×福原綾香さん×藤原夏海さん座談会インタビュー

罵り合いは「負けたくない」

──ここまで各キャラクターを演じた感想や、収録を終えた上で感じた想いをお聞かせください。

島袋：序盤から、りりさとのセッションを終えては罵り合いを繰り返してきましたが、最初は「言葉の中にお嬢様らしさも必要かな？」と考えていたんです。だけど、まったくブレーキを踏まずにぶつかってくる関根さんの演技を前に、「これはなにも考える暇がない」「今ここで熱量を下げたらこのシーンが壊れてしまうんじゃないか」と思わされました。

関根：嬉しい！

島袋：初めての気持ちでしたし、同時に、負けたくないとも思いましたね。

福原：すごい、セッションだ！

島袋：楽しい応酬でしたね（笑）。音羽としてもこれだけ言い合える相手はいなかったでしょうから、楽しく、熱く燃えているんだろうなと思って演じました。

藤原：二人の応酬は、見ている私たちもつい声が漏れてしまいそうなくらい、緊張感があるんですよね。

──その応酬に加わりたいと思ったことも？

藤原：ちょっと混ざりたいなと思いました（笑）。

島袋：おふたりもぜひ！

──関根さんは“罵り合い”に挑んでみていかがでしたか？

関根：罵り合うシーンは、声が被ってもそのまま進めていいというディレクションをいただいていたのですが、その分シーンのどこかで噛んでしまうと、最初から録ることになるんですよね。だから最初のうちは、もし噛んでしまったら、相手の方の負担にもなるかも、と考えてしまう時もあったのですが、でも、そんなことを考えられないくらい熱いものを島袋さんがぶつけてくださって。

──演技面でも乗算があったわけですね。

関根：そうですね。楽しい収録でした。

藤原：勢いがすごすぎて、なにを言っているのかわからない時もありましたよね。そこもリアルだなって思いました。

関根：「うるせぇ」でいいはずなのに、「うるせぇんだよ」にしてしまったこともあります（笑）。

藤原：それだけ気持ちがノッたということですよね。私も台本にないセリフが出てきた時は「よしきた！」「いいぞ、行け行け！」って気分が高まっていました（笑）。

関根：りりさって、モノローグを通して感情を吐露することが多いので叫ぶシーンも多くて。でも、苦しい時の叫びと気持ちいい時の叫びなど、「ただ叫んでいるだけ」にはならないよう何度も挑戦しました。

──ティナは「うさ美」も含めて、いろいろな演技が求められたのではないかと思っていました。

福原：実は「うさ美はあまり上手にやらないでください」と言われていたんですよね。ティナにとってのうさ美は、あくまで自分を落ち着かせるためのイマジナリーフレンドのような感覚で、私としても、その話を聞いて“うさ美自身もティナなんだな”と解釈することができました。うさ美をきっかけに、ティナの解像度が高まりましたね。

福原：ティナも一見、ギャップがある人に見えますが、それほど感情の切り替えというものはなく、あくまでその時の感情が続いていくキャラクターなんです。そこは演じるうえでの肝だなと思っていました。

あと、演じていく中で気付いたのですが、この作品は音楽はもちろん、お芝居もリズムなんですよね。りりさと音羽の罵り合いのシーンでは、ティナは離れたところでほっこりしていたり、環は環でなにかをたぎらせていて。それを見て「この収録は演奏なんだな」と思いました。

一同：おぉー！

福原：私としてはこの素晴らしいキャストのひとりに選ばれて光栄ですし、視聴者のみなさんには改めて作品を見返してほしいなと思っています。

──ありがとうございます。最後に、関根さんからクライマックスを楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

関根：「バッカス」はりりさたちや「ビターガナッシュ」とロックに対しての想いが違う相手です。そんな彼らとの対バンに向けて、4人各々のロックへの向き合い方やバンド内でのすれ違いなども描かれていきます。どう、自分の心に決着をつけるのか、そして彼女たちの熱量は止まるどころか、さらに増していくので、ぜひ最後まで見届けてください。

そして、実は収録前、音響監督に「バンドというものは感動が波で伝わるものだから、あなたたちが波を起こさないといけない」「かっこよくなきゃダメだからね」と言われていて。プレッシャーはありましたが、作品の集大成の場面でもあるので改めて気合いを入れ挑みました。そんな彼女たちの熱い波も感じてお楽しみいただけたら嬉しいです。

【インタビュー・文：MoA　編集：西澤駿太郎】

『ロックは淑女の嗜みでして』作品情報

放送情報

■4月3日（木）よる11時56分からTBS系28局にて全国同時放送中！
■4月5日（土）よりAT-Xにて放送中！
毎週（土）23:30～／毎週（火）29：30～　※リピート放送／毎週（土）8:30～　※リピート放送
■2025年4月4日（金）0時30分より各配信サービスにて順次配信中！

STAFF

原作：『ロックは淑女の嗜みでして』福田宏（白泉社「ヤングアニマル」連載）
監督：綿田慎也
シリーズ構成：ヤスカワショウゴ
キャラクターデザイン：宮谷里沙
ビジュアルディレクター：ソエジマヤスフミ
助監督：安川央里
色彩設計：大塚眞純
美術監督：坂上裕文
美術設定：浅見由一
CGディレクター：坂口遥佳
撮影監督：渡辺実花
編集：齋藤朱里
音響監督：菊田浩巳
アニメーション制作：BN Pictures