
「オメガ」は子供と同じ目線で友達になれるウルトラマン――『ウルトラマンオメガ』オオキダ ソラト役・近藤頌利さんインタビュー
「オオキダ ソラト」は“逆算”が求められる役
ーー演じる「オオキダ ソラト」の設定を見た時の印象はいかがでしたか?
近藤:どうやって作っていくかを計算しなきゃいけないなと。「何話でこれくらいの知能があって、この辺りから人間に見えていい」とか、そういう逆算はどうしても必要でしたね。最初から台本がいただけて、大体の流れは把握できたので、そこは助かりました。
ーー第1話から近藤さんのお芝居に引き込まれる映像でした。
近藤:最初の撮影は、コウセイ(演:吉田晴登)とソラトが初めて出会うシーンでした。焼きそばを食べているシーンですね。
個人的に、キャラクター芝居に見えすぎるのも嫌だったんです。台本を読むと、キャラクターらしい作り方もできる「宇宙人」ではあったんですけど、あくまで「人」に見えることが大事だなって。正体は宇宙人でも、見た目は人なので「ちょっと奇妙な人」に見えないと、後々苦しくなってしまう。そういう意味でも、際どいラインを攻めていこうと思っていました。
ーー特に序盤のお芝居は難しそうですね。
近藤:そうですね。序盤は苦労がたくさんありました。ただ、コウセイ、アユム以外のゲストの方と絡む段階では、「ちょっと変わった人だな」と思われるくらいにはなっているんです。人との受け答えもできますし、常識は教えられているので、その辺りからは「これでいいのかな?」みたいな迷いはなかったですね。
ーーソラトとウルトラマンオメガの同一視が強調されるカットも印象的でした。
近藤:スーツアクターの岩田栄慶さんともたくさん話し合いました。特撮シーンの撮影前に、栄慶さんが僕のお芝居を撮影したものを見てくださったんです。僕の動きに合わせてやりたいからと。なので、2人で作った”ウルトラマンオメガ」”だと思っています。
加えて、台本を読んでいるだけでは、ソラトが少女を守るために変身するというところに行きつかないんですよ。そこでキャラクター性が切れて違う人間になるという感じがするんです。撮影現場でも「メリハリをつけてほしい。パッっとカッコよく切り替えてほしい」というオーダーがありました。変身は変身、日常は日常という感じで割り切って演じています。
ーー宇宙人だからこそ、何を考えているかわからないような表情もありますよね。
近藤:全体を通して、表情の寄りのカットは結構多かったですね。視聴者にもお芝居する相手にも、「何か考えているんだろうな」「何を感じているんだろう?」と引き込めるような表情を意識しました。
僕自身も目が大きいので、自分の顔と役の趣旨がマッチしたのかなと。ぼけーっと何も考えずに外を見ているだけでも、何かありそうな感じがするんですよね。ソラトとしては何も考えてないのに、それが意味深に見えるカットもあったりします。
ーーコウセイ(演:吉田晴登)やアユム(演:工藤綾乃)とのお芝居はいかがでしょう?
近藤:ソラトと絡むのは大変だったと思うんですよね。なかなか掴みにくいキャラクターですし、向こうのペースで返せないから難しいはずです。ただ、僕が人間に近づいていくにつれて、心が通じ合える物語になっていくんですよ。
そこからは、会話シーンの撮影もすごく楽しかったです。ふざけるシーンも出てきて、僕自身が結構そういうことが好きだったりするので(笑)。
その話の監督次第では、現場で「こういうのを入れたらどうですか」と提案したら、オッケーをもらえて、僕がソラトをやる意味が出てくるシーンも増えてきます。
ーー最後に、『ウルトラマンオメガ』の見どころとソラトの注目ポイントを教えてください。
近藤:ソラトは、皆さんが言うように“今までにない主人公”になっていると思います。人で例えるなら正直、最初は赤ん坊のようなものなんです。
ソラトが成長していく様を見ていただけるので、お子さんは子供目線でソラトを応援できると思います。もしかしたら、一番子供と同じ目線で友達になれるウルトラマンなんじゃないかなと。
『ウルトラマンオメガ』という作品には、そんなソラトがいて、コウセイがいて、アユムがいて、オメガがいて、色々な人の目線で楽しめます。ソラトの成長過程はもちろん、コウセイとアユムが成長するストーリーでもあって。コウセイがソラトに振り回されたり、アユムがコウセイとソラトに振り回されたり、どこを切り取っても面白いので、人間同士の関係性も見どころの一つです。
大人向けに考えるのであれば、「なぜウルトラマンが地球を守るのか。なぜ怪獣がいるのか。そもそも人間とは何なんだろう」というメッセージも要所要所に込められているので、大人の方も楽しめる作品になっていると思います。この作品を通して、夢や希望が見つかる少年少女が出てきたら、僕は嬉しいです。
[インタビュー/田畑勇樹 撮影/MoA 編集/小川いなり]
『ウルトラマンオメガ』作品情報
あらすじ
それまでの記憶を失った宇宙人「オメガ」は、地球人の姿で現れ、「ソラト」と名付けられます。「ソラト」は初めて触れ合う生命体である「地球人」を理解しようと、興味津々に人々を見つめます。
ときに出現する巨大生物、ソラトの失われた記憶から蘇る「怪獣」という言葉。次々と出現する巨大生物「怪獣」を目の前にして、無意識に使命感を掻き立てられるソラトは「ウルトラマンオメガ」に変身し、シャープでパワフルな戦いを繰り広げます。
一方で地球人も、初めて遭遇する巨大生物と赤きスラッガーで戦う巨人が何者なのかを理解しようと、あらゆる視点からその姿を見つめます。やがて結ばれる「宇宙人と地球人」のバディ…ソラトと平凡な青年。見つめ合い響き合うバディの心を通して、「ウルトラマンがなぜ地球を守るのか?」の問いに迫る意欲作です。
今、目覚めの刻(とき)。最新TVシリーズ『ウルトラマンオメガ』にご期待ください。
キャスト
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京






































