音楽
Ave Mujica・佐々木李子&高尾奏音が怒涛の’25年上半期を振り返る/インタビュー

TVアニメの放送やMyGO!!!!!との合同ライブ、フェス参加……Ave Mujicaが駆け抜けた半年間を佐々木李子さん&高尾奏音さんが振り返る|5th LIVE「Nova Historia」から始まる新たな歴史の幕開けと、その先にある理想のバンド像とは【インタビュー】

仮面を外すようになってからも、“見えない仮面”はずっと付けている

――バンドの立ち上がりから数えると、1年半以上は素顔を見せずにステージに立っていたわけですよね。仮面を取ってパフォーマンスする上で心境の変化などはあるのでしょうか?

高尾:私は変わったと思います。仮面を付けていると、やっぱり表情が固定されてしまうので、演奏でしか感情が出せないんですが、外してからは自分がどんな表情もできるので、そのときに思っていることとか、キャラクターの心情をより出せているなと思います。

佐々木:0th LIVE「Primo die in scaena」のときはローブを着たり、以降も仮面を付けていましたが、個人的にAve Mujicaのステージは「鎧を着て戦いに行く」ような気持ちがあって。でも仮面がなくなっても、私は逆に変わらなかったかも。ドロリスがそもそも生まれたときから仮面を付けているような存在なので。(衣装としての)仮面を外しても、「Ave Mujicaのドロリス」という概念的な仮面を付けている感覚で、その曲ごとの主人公になっている感じがします。

……もちろん(物理的に)視界が開けたという意味では変わっていますけど(笑)。みんなの仮面も外れて、「もっとみんなを見て!」という気持ちは強まりましたが、私は“見えない仮面”をずっと付けている感覚があるかもしれません。

高尾:カッコいい……!

佐々木:Ave Mujicaの世界観が綿密に構築されているからこそ、素のままでは歌えない、何かを降ろさないとできない気がしています。ライブ中は役に入り込み過ぎてトリップしちゃうこともあって……自分自身がAve Mujicaに落ちていく感覚というか。

高尾:前に幽体離脱した、みたいなこと言ってなかった?

佐々木:そういう瞬間もある(笑)。自分でもすごく不思議な感覚なんですが、(キャパシティを)限界突破しているのかもしれないです。ギターを弾きながら歌って、その曲の内容も簡単には歌えないもので……というギリギリの状態で神経を研ぎ澄ませながら表現していると、何かこう、離脱していって。どこか第三者的な視点で歌っている瞬間があります。

高尾:たぶん、りこちの才能なんだと思う。

佐々木:ちょっとうまく言葉にできないんですが、この感覚はもっと研究していきたいなって。「佐々木李子」として歌っているときには起きない、Ave Mujica限定で起きる現象ですね。キャラクターたちもそれぞれの道があって、過去があって、いろいろなものを背負ってきているからこそ、リンクしているのかなと。その間は精神も魂も削りながら音に込めている気がします。

――高尾さんもそういった感覚はあるのでしょうか?

高尾:私も演奏しているときに、実際はどこにも痛みはないのに、すごく“痛い”瞬間があって、Ave Mujicaでしか感じたことのない感覚があります。Ave Mujicaのライブをやるたびに、寿命がちょっと削れている気がする……もちろんいい意味で! いい意味でですよ!(笑)

――生を実感できるということですね。

高尾:そうです! 命を感じています。

佐々木:なるほど。「LIVE」ってそういう2つの意味があるんだなって。

――たしかに。「生きる」と……

高尾:「死ぬ」!?

佐々木:いや、「生の(演奏)」(笑)。

一同:(笑)

高尾:そういうことか。ごめんなさい……(笑)。

佐々木:でもまさにライブをするたびに生きている実感を、命を感じています。それはきっとファンの人も同じ気持ちなんじゃないかなって、合同ライブのときに思いました。SNSを見ても、アニメが終わって、それぞれの想いを抱えながらライブに来てくださっていて、ただ「楽しみ! 遊びに行くぞ」というだけじゃない感じが空気感から伝わってきて。「戦いに行くような気持ちで来ました」みたいなコメントもあったりとか。

実際にライブをしていても、劇中で流れる曲を披露しているときは、そのシーンのことが蘇ってきて、一緒にちょっと苦しくなったり、切なくなったりするのを楽しんでくれて。もちろん笑顔も多く見られたけど、痛みも一緒に共有できた、同じ熱量でライブを受け止めてくれたことが嬉しかったです。ファンの人にも感謝ですね。

高尾:確かに。一緒に人生を歩んでいる感覚があります。Ave Mujicaのライブは芸術に近いような気がしていて。個人的に芸術は、おもしろい、楽しい、ハッピーなものだけではなく、苦しい、辛い、消えてしまいそう、みたいなネガティブな感情すらも美しさに変えてくれるものだと思うので。そういった感情も表現することで、誰かに生きる意味を少しでも与えられているんじゃないかなと自負していて、嬉しくなります。やりがいがあるなと。

――ただ楽しみ、盛り上がりつつも、見入ってしまう感覚もあるというか。

佐々木:呆然と立ち尽くして観ている方も(ステージから)見えたりします。

高尾:スタッフさんに演出や構成を説明されたときに、「あ、ここきっとファンの人驚くだろうな」と思うポイントがあったり、そういうのを考えるのもライブ作りで楽しいところです。

佐々木:本当にみんなで一緒にライブを作っているなって。演者もスタッフさんもファンの人も、みんなでその世界を楽しんでいるなと思います。

高尾:その三者が揃っているからこそAve Mujicaの世界は成立していると思うので、ぜひ皆さんも一緒に作っている感覚になっていただけたら嬉しいです。

――作品の枠を飛び出して、「JAPAN JAM 2025(5月5日)」「ANISAMA WORLD 2025 in MANILA(6月7日)」といったフェス形式のライブへの参加もありました。

佐々木:これはもうやっぱりですね、「Unmask」がキーワードです!

高尾:急に口調が変わった(笑)。

佐々木:「Ave Mujica」というバンドとして、アニメをまったく知らない方にも、とにかく音を楽しんでほしい、ちゃんと音をぶつける気持ちで行くぞと意気込んでいました。なので、あえて作りこみ過ぎないというか、全然リハでやらなかったことをしたりもして。その瞬間に心が動いたままに演奏したり、歌ったり、語りかけるのが、普段のライブとはまた違った楽しさだと思います。

高尾:まずMCがあって演者として喋ることが、普段のAve Mujicaのライブではありえないので。それも特別感がありますし、いい意味で行き当たりばったりというか、そのときに吹いた風に乗ろうと。お客さんの反応を見て、自分のテンションも上がって、その気持ちをパフォーマンスに乗せたりとか、相乗効果でライブを作っている感覚があって、普段の作り込まれた世界観とはまた全然違いました。

佐々木:それに普通にフェスとしても楽しんでいました。出演前にはいろんなアーティストさんのステージをみんなで見に行ったんです。それぞれバンドの個性があって、それぞれの音の芯を感じられたので、そこからもらった刺激で「Ave Mujicaをもっと広めたい!」という気持ちになりました。「アニメのバンド」の枠をいい意味で越えられるように頑張ろうと思いました。

高尾:日によって全然違うものが生まれてくると思うので、Ave Mujicaのライブは一回でも逃しちゃうとダメだと思うんです。全部に意味があるので、全部見届けてほしいと思います。

佐々木:確かに、空気感も気持ちも、毎回全然違うからね。

――「ANISAMA WORLD 2025 in MANILA」は、海外でのフェスということもあってまず環境から違いましたし。

佐々木:いろいろな場所でライブができて、本当にありがたいなと思います。マニラは、私としては珍しく、直前に少しだけ不安感が生まれて。

高尾:確かに。珍しいと思った。

佐々木:でもステージに立ったら、不安がなくなったどころか、むしろ元気になったんです。私はライブで自分の気持ちを放出するだけじゃなくて、ライブからいろんなものを吸収してパワーにするタイプなんだって、そこで改めて気付きました。

高尾:私は逆に不安はまったくなかったです。いつもの慣れている地じゃないからこそ、「ここでなら何をやっても大丈夫!」みたいな謎の自信があって。ファンの皆さんがすごい熱量で盛り上げてくださるから、それに応えようという気持ちでした。

佐々木:言語や文化が違っても、歌や音は伝わるんだって改めて思いました。いろんなアーティストさんとコラボもさせていただいて、すごく楽しかったです。

高尾:あとはシンプルに、海外にも応援してくださる方がいることを実際に感じられて嬉しかったです。

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