
『CITY THE ANIMATION』石立太一監督に訊く、“楽しい”と“可愛い”の作り方。“優しい”フィクションが持つパワーとは?【インタビュー】
「可愛い」を"楽しく”創る
──特に序盤においては、視聴者に『CITY』の“らしさ”を伝えるのも中々大変だったのではないでしょうか。
石立:あらゐさんも何度か仰ってたんですけど、「第1話って何を描いたら良いかわからないんです」って。作品が展開した後のネタやエピソードよりも、スタートの部分が難しいみたいですね。
アニメ化するにあたっても、原作のエピソード構成を少し変更しているとはいえ、ある程度は時系列に沿わないと、視聴者の方が混乱してしまいます。それを踏まえて、#1、#2は作品の雰囲気を示しつつ、“らしさ”がちょっとずつ見えるようにしていました。
──放送が進んでいく中では、実写のジオラマを使ったエピソードも印象的でしたね。
石立:#5で登場したタナベさん(CV:後藤邑子)の家ですね。あのエピソードは、それこそブルース・リーの『死亡遊戯』みたいなお話です(笑)。
あらゐさんが「普通にアニメ化したら面白くならないかも?」という風に仰っていたんですよ。制作の過程で「本読み」を行うのですが、本作では演出や脚本だけでなく、制作現場で画作りを行うスタッフにも入ってもらって、皆で案を出し合っていました。そこで、「タナベ家を実写にしてはどうだろう」というアイデアが出てきて。ジオラマを作れるスタッフに白羽の矢が立ちました。
──ジオラマを作れるスタッフ!? すごい方がいらっしゃるんですね。
石立:ベテランの美術スタッフなんですけど、ジオラマ作成は趣味でやっている人です。
しかも「ただ写実的なだけでなく、『CITY』が持つ世界観やルックをジオラマ化したい」という難しい相談をさせていただきました。予算や期間などを諸々詰めて、「できますか?」と聞くと「はい、できますね」って(笑)。
──職人のような返答(笑)。
石立:そこから、3ヶ月くらいで作っていただきました。すごいですよね。#5のためにジオラマを作るという(笑)。でも、本当に楽しかったんですよ。ジオラマの裏にマグネットが付いていて、キャラクターや車を実際に動かしながら、撮影しているんです。教育番組のような手作り感のある、人の温かみが収められた映像になったと思います。
──作品だけでなく、制作現場も楽しそうですね。
石立:ジオラマ作った人も実写映像を撮影した人も、うちのスタッフなんですけど、すごく楽しそうでした。
──以前、キャスト陣にお話を伺った際にも、皆さんから「楽しい」という言葉が出ていました。インタビュー中にも思い出し笑いをされていて。
石立:アフレコ現場も、良い雰囲気だったと思います。ただ、残念だったこともあって。登場人物がすごく多いじゃないですか? 通常のアフレコでは、#1の収録時に、作品のコンセプトやキャラクターの役割をお伝えするんです。今後の展開も含めて、仕込みのような情報共有をしたいんですが、今回はあまりにもアフレコブースに人がいたので諦めました(苦笑)。ただ、それを補うようにキャストさんそれぞれが作品を理解しようと一生懸命になってくれたんです。
また、皆さんが掛け合いの中で、どんどん理解度を深めていって、楽しさを膨らませてくれたんじゃないかなと。そういうキャストの皆さんに携わっていただけて、本当に助かりました。
──キャストさんの相乗効果で「楽しさ」が出来上がっていった。
石立:特に鬼カマボコ(CV:宮崎遊)には注目してほしいですね。どんどん“らしさ”が増していくというか、常に進化し続けたキャラクターだと思います。
──その他に、思い入れのあるキャラクターはいますか?
石立:思い入れ的には、#2で登場した長野原大介先生です。
──『日常』のキャラクターである長野原みお(CV:相沢舞)のペンネームですね。
石立:漫画家になりたかったみおちゃんが、連載を勝ち取って立派な漫画家になっている。それも100万部のベストセラー作家ですよ! どうしても色々感じるところがありますね。『日常』ありきの思い入れではありますが、どちらも深く関わらさせていただいた作品なので、すごく嬉しいです。





































