
「ユニットにとって『超電磁砲』は無くてはならない」「誇りのような存在です」──「とある科学の超音楽集 −A Certain Scientific Railgun:Music Chronicles−」fripSide 八木沼悟志さん×上杉真央さん×阿部寿世さんインタビュー
TVアニメ『とある科学の超電磁砲(以下、『超電磁砲』)』シリーズの15周年を記念して、アルバム『とある科学の超音楽集 −A Certain Scientific Railgun:Music Chronicles−』が2025年9月24日にリリース。これまで作品を彩ってきた歴代の名曲に加え、新曲「PHASE NEXT」を収録。まさにファンにとって待望の一枚である。
「only my railgun」から始まったfripSideと『超電磁砲』二人三脚の歩みは、アニメ音楽シーンを語るうえで欠かせない存在。時代とともに進化を続けながら歌い継がれてきた楽曲群が作品の成長と重なり、再び新たな形で集約された。
今回、お話を聞いたのはコンポーザー・プロデューサーの八木沼悟志さんと、第3期ボーカルの上杉真央さん、阿部寿世さん。制作の裏側やステージに立つ緊張と覚悟、そして受け継がれる想いを率直に語ってくれた。
fripSideにとって、そして3人にとって『とある科学の超電磁砲』とは──。これまでも、そしてこれからも「誰も置いていかない」と強く願う、fripSide phase3 スペシャルインタビューをお届けする。
「超音楽集」はファンにとって“ご褒美のような一枚”に
──今回のアルバムは、どのように生まれたのでしょうか。
八木沼悟志さん(以下、八木沼):TVアニメ『とある科学の超電磁砲』が昨年15周年を迎えました。2009年に第2期(phase2)のfripSideが初めて担当させていただいたオープニングテーマ「only my railgun」の発表から、今年で16年目になるんですよね。
その間に『超電磁砲』の楽曲を作る機会をたくさんいただきまして、10曲以上を僕らの音楽として採用していただきました。fripSideが第3期(phase3)になってからも、それらの曲を大切にカバーしてきましたが、先日『超電磁砲』の遊技機で新しい曲を作る機会を設けていただきました。
新曲を出したこと、15周年という区切りのタイミングであること、そして第3期のfripSideで「only my railgun」のカバーを解禁して発売したこともあり、一度まとめてアルバムにして、皆さんに「15周年ありがとう」とお伝えしたい、と思ったのがきっかけです。
──作品を応援してきたファン、そしてfripSideのファンにとって、ご褒美のような一枚になるのかなと。
八木沼:そうですね(笑)。そうあってほしいですし、そうであれば僕たちも嬉しいなと思います。
──そんなアルバムのリリースを控えた現在の心境をお聞かせください。
上杉真央さん(以下、上杉):やはり『超電磁砲』という作品が持つ長い歴史、そしてfripSideというユニットの歴史があるからこそのアルバムだと思っています。そのアルバムに第3期ボーカルとして参加できることがとても嬉しいです。
ファンの方にお届けできる日が本当に待ち遠しくて、とても楽しみにしています。
阿部寿世さん(以下、阿部):率直に、もう「楽しみ」の一言に尽きます! 『超電磁砲』の楽曲はこれまで多くの方に愛されてきた名曲ばかり。その楽曲たちに、私たちが第3期ボーカルとして関わることができて本当に光栄に思っていますし、胸が高鳴っています。
八木沼:胸が高鳴るのね(笑)。
阿部:(笑)。
──ファンも同じ気持ちかと思います! 『超電磁砲』とfripSideにとっての第一歩でもある「only my railgun」について、当時の制作エピソードや楽曲に込めた想いを改めてお聞かせください。
八木沼:発売は2009年ですが、お話をいただいたのはそれより1年以上前のことでした。「大きなタイトルがあって、そのオープニングテーマを任せたい」「全力で当たってほしい」と当時のレーベルプロデューサーから相談されたんです。
何しろ、僕が当時所属していたレーベルの中でも、近年稀に見るくらい大型化が期待されるコンテンツということで、皆さんも力を入れていましたし、僕自身も「新人の自分に任せていいのか」という不安もありました。
でも「アニソン界に八木沼悟志という人間のサウンドを刻み込んでやろう」という野心もありました。抱いていた不安を良い形に消化して、一念発起して作ったのが「only my railgun」なんですよね。
その後、南條愛乃さんがボーカルを務めてくださることが決まり、彼女の歌声が楽曲と見事にマッチした結果、皆さんご存知のあの楽曲が出来上がった、というエピソードがあります。
──プロジェクトに参加し始めた当初、『超電磁砲』×fripSideがこんなにも大きな存在になると予想されていましたか?
八木沼:してないですね(笑)。当時を月日が経った今振り返ると『とある科学の超電磁砲』だったからこそ、あのサウンドが作れたと思っています。一つの発明のような感覚です。
「only my railgun」は、「『超電磁砲』とfripSideが掛け合わさると、こういうサウンドになる」という解を世に示した楽曲だったと思います。非常に、記念碑的な意味合いを持っているのかなと。
今回のアルバムを聴いていただけると分かると思いますが、苦しみながらもいろいろな形の楽曲を『超電磁砲』とともに作ってこられたという自負もあって。
これまで「『only my railgun』が偉大すぎる」というお話を様々なメディアで話してきましたが、今はフラットな心境になっています。「あれはあれでいい」「他の曲は他の曲でいい」と思えるようになりました。
──naoさん、南條さんと続いてきたfripSideの楽曲を歌い継ぐ、カバーするにあたって、技術的な面で意識しているポイントについて教えてください。
上杉:カバーする、歌い継いでいく楽曲に関しては、レコーディングのときにいただく八木沼さんのディレクションにどう応えるかをとても大事にしています。
どんなことを言われても応えられるように、自分を磨き続けることを常に意識しています。技術的な面で言うと……本当に「自分を磨くしかない」という思いですね(笑)。
──阿部さんはいかがでしょうか?
阿部:第1期のnaoさん、第2期の南條さんの歌を聴き込み、そこから離れないようにすることを意識しています。
これまでのfripSideの楽曲を徹底的に聴き込んでからレコーディングに臨むことが、一番大事なことだと思っています。
──八木沼さんは、お二人とレコーディングを行う中でどのような印象を受けていますか?
八木沼:二人とも本当によく頑張ってくれているなという印象が一番強いです。
ありがたいことにfripSideの楽曲は、アマチュアの方が「歌ってみた」を投稿してくださったり、他のアーティストさんがカバーしてくださったりしているのですが、そのようなカバーで「fripSideらしい歌」を歌っている方を見たことがないんです。
我々はプロですから、もちろんモノマネで終わるのでは駄目。でも「自分らしさを出しつつ、新しいfripSideの形として成立させる」というのは、非常に難しいことだと思います。
二人は苦しみながらも自分らしさと「fripSideらしさ」をきちんと出して、自分にしかできない形を見せながら、ユニットの楽曲として成立させてくれている。僕からすると感謝の一言しかなくて……二人にはそろそろご褒美をあげてもいいかなと思っています(笑)。
阿部:やったー(笑)。
──ご褒美が楽しみですね!
上杉:期待してます!(笑)












































