
マリーと両親の対峙は“復讐”ではなく、自身の“けじめ”として描いた──アニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』リレーインタビュー第6回 監督・北川隆之さん&副監督・砂川正和さん
それぞれ意識したのは“溺愛”と“ピュアさ”
──マリーとキュロスの距離感という点では、演出面でどんな工夫がありましたか?
北川:これも難しかったですね。お互いに早い段階で両思いになりながらも、マリーはネガティブさが拭い切れていないという状況が続くので、極端に近づきすぎず、離れすぎずというバランスを探っていきました。
やはりキーワードになったのは“溺愛”ですね。あくまでもキュロスが積極的にマリーに接していく。その構図を大事にしつつ、マリーの心情変化に合わせて、たとえば彼女のセリフがタメ口になるといった変化をつけていきました。
砂川:僕は、全体としては中学生の恋愛のようなピュアさを大事にしました。自分が絵コンテと演出を担当した第3話、北川さんと演出を担当した第9話がそうですが、どこか初々しい雰囲気を出せたらいいなと思ったんです。第9話でリュー・リューが話していましたが、「初恋が実ったカップルみたい」なイメージでした。
──そんな初々しいふたりに影を落としたのが、シャデラン家の謎やアナスタジアの存在でした。後半話数ではどのようなことを大事にされましたか?
砂川:サスペンス要素をどの程度の割合でどこに入れるかは、何度も検討を重ねました。後半に詰めすぎると終盤が急ぎ足になるし、前半に詰めすぎると“溺愛”という点で盛り上げづらい。北川さんや猪原さんと相談した結果、現在の形になりました。
北川:その点で、ひとつ原作サイドからオーダーがあったのは、第10話でマリーがキュロスを拒絶して城を去る一連の場面ですね。アナスタジアの生存を確信して、ここは姉の場所だと思い込んで城を去ってしまう。このあたりはなるべく柔らかい描写にしてほしいとのことだったので、マリーがあまり自分勝手に見えないような見せ方を心がけました。
砂川:そうなんですよ。マリーは自分自身を否定しますが、当事者としての意識と客観的に見たときの印象はやっぱり違うんです。マリーからすれば深い苦悩だったとしても、視点が変われば周囲を振り回しているだけにしか見えないこともあるので。そのバランスは後半悩ましかったところですね。
北川:だからこそ、第12話でキュロスや城のみんなに謝罪するシーンはカットしないようにしました。コミカライズにもありましたが、あのセリフは自分自身にけじめをつけ前を向きますというマリーの宣言でもあるんですよね。それが伝わっていたらいいなと思っています。
──両親との対峙もマリーの成長として重要なポイントでした。
北川:復讐として描くのではなく、けじめとして描くことで、マリーが親の呪縛から解き放たれる通過儀礼にしたんです。
──いわゆる“ざまあ”展開ではなく、あくまでマリー自身の物語の決着である、と。
北川:そうですね。両親の出番が限られていたので、復讐物語にすると唐突感があるかもしれないという理由もありました。
砂川:仕返しをしたり、徹底的に突き放したりするよりも、両親に救済の余地を残す形にしたいというのもありましたよね。
北川:やりすぎると「エルヴィラがかわいそう」という感じにもなってしまうので。同情はできないけれど、気の毒だなとは思えるくらいがちょうどいいのかなと思いました。
砂川:マリーがすぱっと脱皮した感じでけじめをつけ、最後は幸せなふたりを見せられたのもよかったですよね。
北川:最初は、Aパートはもう少し長かったのですが、吉武(真太郎)プロデューサーが後半のラブラブパートを伸ばしましょうと提案してくださったんです。結果的に大団円感が増してよかったですね。本当に気持ちのいい終わり方になりました。
──ありがとうございます。では最後まで応援してくださったファンの方へひと言お願いします。
砂川:ありがとうございますのひと言につきます。僕自身も楽しんでつくることができました。アニメから入った方はこれを機会に小説、コミカライズもぜひ読んでみてください。
北川:最後までお付き合いいただきありがとうございます。ご覧になった方が少しでもポジティブな気持ちになっていたらうれしく思います。これからBlu-rayも発売されるので、ぜひそちらも楽しんでください。よろしくお願いします。
作品情報
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あらすじ
ずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われている貧しい男爵家の次女・マリー。それでも素直で優しい心を持ち続け、彼女は家族に尽くしていた。
ある日、マリーのバースデーパーティが開かれる。ところが、主役はお姫さまのような姉のアナスタジア。会場の外で哀しそうに佇むマリーは、偶然にも大富豪のキュロス・グラナド伯爵に遭遇する。
お互いに惹かれ合い、マリーにひと目惚れしたグラナド伯爵だったが、ある勘違いからマリーではなく、アナスタジアに求婚してしまう!
急速に進んでいく、グラナド伯爵と姉との婚約。しかしアナスタジアが事故死してしまい、代わりにマリーが伯爵家へ嫁ぐことになり……!?
勘違いから始まる“ずたぼろ令嬢”のシンデレラストーリー、開幕!
キャスト
マリー:本村玲奈
キュロス:濱野大輝
アナスタジア:田中美海
ルイフォン:木村良平
ミオ:日笠陽子
リュー・リュー:大原さやか
トッポ:柿原徹也
トマス:小林竜之
チュニカ:相坂優歌
















































