
これまで培ってきた関係値や成長があるからこそ、最終話は安心して見られるはず。双見と佐藤の関係性の“ゴール”にも注目!?|アニメ『笑顔のたえない職場です。』双見奈々役・夏吉ゆうこさん×間 瑞希役・伊藤美来さん対談インタビュー
くずしろ先生が描く、漫画業界を舞台にした“ワーキングガールズコメディ”『笑顔のたえない職場です。』(講談社「コミックDAYS」連載)。本作のTVアニメが、2025年10月6日(月)よりTOKYO MX・AT-Xほかにて放送中です。
アニメイトタイムズでは本作をより深く楽しむためのインタビュー連載を実施中。最終回となる第9回は、双見奈々役・夏吉ゆうこさんと、間 瑞希(はーさん)役・伊藤美来さんが登場!
第12話までで印象に残っているエピソードや、掛け合いをして感じたこと、イチオシのキャラクター、そして第13話の見どころを語っていただきました。
第10話のはーさん姉の言葉に、伊藤さん自身もハッとさせられた
──第12話まで放送を終え、残すところあと1話となりますが、今の心境はいかがですか?
双見奈々役・夏吉ゆうこさん(以下、夏吉):双見視点で言うと、ちょっとずつ精神が成熟してきたのかなと感じます。職場に手のかかるキャラクターが加わってきたことでちょっとバランサー的な役割もやってみたり、双見のいろんな一面が見られるようになって。話数を経て行く中でどんどん楽しくなっていったので「ここからもっと続けばいいのに~!」と思っているところです。
間 瑞希役・伊藤美来さん(以下、伊藤):個性的で濃いキャラクターが増えていって、楽しい部分もありつつ、一人ひとりが抱える、それぞれの視点でのお仕事の悩みだったり、辛さだったりも描かれました。
そういうことを一個一個重ねてきたからこそ、チーム感が出来上がってきた感じがします。あとはシンプルに「あと1話か、寂しいな」と。もっとこの職場の人たちを見ていたいなという想いです。
── 一人ひとりの悩みが描かれるという意味では、はーさんはトップバッター的な位置づけでした。
夏吉:第2話は、はーさんも心の底で才能に焦がれているということが分かるお話です。双見としては、それでもなお「え~でも、いつかいなくなっちゃうんでしょ~!」と危惧していて、演じている私自身も「そうではないんだ!」と思っていました(笑)。役の気持ちと自分の言いたいことがぶつかっていた回でした。
第2話は双見よりもはーさんにすごく共感したんです。好きなことがあって、それに焦がれているけど、才能に愛された人間の眩しさを感じている。それを真っすぐに見つめられるはーさんの人格に惚れた回でした。
そんなはーさんの良さを全部味わったうえで、双見として泣き言を言っています(笑)。自分の心が二つになったみたいで楽しかったです。
──そんな双見先生に対するはーさんの「やめねーから」というくだけた言葉使いも良いなと。
伊藤:けっこう強めなツッコミが多かった気がします(笑)。個人的に、はーさんの心の動きを表現するためには、繊細に演じないといけないなといつも思っていて。演じながら、深く沈み過ぎず、でもはーさんの気持ちを見てくださる方々に分かってもらえるように、と気を付けながら演じています。
──そのほかに、お二人が印象に残っているエピソードはありますか?
夏吉:劇中劇のシーンが印象に残っています。双見がネームを描いていて、その登場人物の声を読んでいるという構図なのですが、最初にやったときに「双見じゃなくて、そのネームのキャラになっちゃってます」というディレクションをいただいて(笑)。「うわ、難しい!」と感じました。
伊藤:そのシーンは、はーさんも一緒に掛け合ったんですが、演じ過ぎない、上手くやり過ぎない、と同じようなディレクションをもらった気がします。演じていて楽しいシーンでした。
夏吉:(頷いて)双見は声優ではないけれど、漫画(作中で双見奈々が描く『昴へ』)の全部を知っているので、そんなにたどたどしく読まないはずだなと。色々な弱音を吐く子ではあっても、別に何かが拙いわけではない、双見はプロなんだということを忘れないようにしないと、と気付かされた回でした。
その回を経てから、双見を演じるときは自分で面白くしようとして慌てふためかないようにしようと思いました。双見は何かを突き詰めているプロだけど、脆いところがあって、わ~っとなってしまって……でも結果としてそれが面白く映っている、という流れになればいいなと。
──伊藤さんの印象に残っているシーンについてもお聞かせください。
伊藤:はーさんのお気に入りのシーンは、第10話でのはーさん姉(柚希)とのやり取りですね。ものもらいに罹って半ば強制的にお仕事を休むことになって、家で「みんな才能があって、自分にしかできない仕事をしてて」「私だけ、替えがきくんだな」と悩んでいるところに、はーさん姉が「替えがきくのは誰だってそうでしょ」と返す……。私自身もそれを聞いてハッとさせられました。「何かを持っている」あるいは「持っていない」でくくっていたなと。
本質はそういうことじゃないんだと伝わる、泣けるメッセージだなと思いました。あのシーン自体はすごくコミカルだし、はーさんも「はあ!?」となっていたんですが、その言葉があったからこそ、彼女もまたひとつ大人になったのではないかなと。そのあとに双見先生が来てくれたシーンも微笑ましくて良かったです。
──ほんわかとした空気感で物語が進行する本作ですが、時折、深く心に刺さるメッセージもありますよね。
伊藤:梨田さんもコメディ要員かと思いきや、言っていることにとても共感できるんです。「今すごく良い状況だから、この後地獄に落ちるんだ~!」には「わかる……!」となりました(笑)。
夏吉:共感したことで言うと、第8話での、デザイナーの月縄さんとのお話が印象に残っています。「素材の味も知らないまま、デザインは組めませんよ」と、双見が何かを突き詰めているプロに出会って、その矜持を聴くシーンですが、そこで私もハッとしました。プロの人って慣れてくると手癖とか技術で何とかしちゃえるときもあると思うんですが、やっぱり第一線で走っている人は初心を忘れていないんだなと。
可愛い雰囲気の中で、このような“刺す”台詞をサッと入れてくれるから、アフレコしていても「あ~、痛い!」と思ったりしていました(笑)。でも双見はそれに「痛い!」じゃなくて、すごくポジティブな力をもらっていて、「嬉しい! 目の前にそんなプロの人がいる、ありがとうございます! 表紙何とかできそう!」とパワーをもらっているから、視聴者も沈んだままにならないというのが、この作品の良いところだなと思いました。















































