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『カラオケ行こ!』堀江瞬&小野大輔が「紅」の歌唱シーンを振り返る/インタビュー

聡実と狂児の関係性は、自分の感情を表に出さない「ドライ感」が魅力的。『カラオケ行こ!』堀江瞬さん×小野大輔さんインタビュー|リミッターを外して挑んだ「紅」の歌唱シーン

 

お互いのキャラの印象は「かわいい人たらし」「ヤクザなのにヒロイック」

──お互いのキャラクターの印象をお聞かせください。こちらも小野さんからお願いします。

小野:聡実くんはかわいいです、ずっと(笑)。声変わりなど、思春期の体の変化は自分ではどうにもなりませんが、どうにもならないことに立ち向かっていく若者の姿は見ていてすごく気持ちがいいんですよね。僕の年齢になるとよりそれを感じますが、微笑ましくて、つい手を差し伸べたくなります。なので、狂児の気持ちがすごくわかります。最初は歌がうまくなりたい一心で近づいて接していたのに、かなり早い段階で、聡実くんのために考えて動くようになって。しかもそれを少しも表に出さない。そういう無意識に人を引き付けるところ、人たらしなところが聡実くんにはあるのかなと思います。

 

 
それは狂児に対してだけではなく、学校の合唱部においてもそうで、周りが聡実くんのことを常に気にかけているんですよね。例えば、少し当たりがきつかった後輩がいるじゃないですか?

堀江:和田のことですか? 

小野:結局はいいヤツだったけど(笑)。和田が聡実くんに接する様子を見て、「僕もこんな後輩がいたら良かったな」と思ったくらい。和田はドライな中にも、聡実くんへの想いが感じられて、「めっちゃいい青春してるな」と思いました。それらはひとえに聡実くんの人を引き付ける力、求心力があるからだと思います。

──でも聡実の視点で見たら、狂児も十分、人たらしだと思います。

小野:彼の人生経験がそうさせている部分があるんだと思います。若い頃はもっと不器用だったし、女性に対してもどこかドライで、浮世離れしているというか。だからこそ放っておけないのかもしれませんね。もしかしたら、合唱部の部長だったからだけではなく、自分と似たものを聡実くんに感じて、声を掛けたのかもしれないなと思います。結局、彼は一生懸命生きているからで、そこについても好感しかありません。

──では、堀江さんから狂児の印象もお聞かせください。

堀江:「ヤクザ」というと、まず怖い印象があります。僕が小さい頃に住んでいたあたりを歩いていると、どう考えてもヤクザにしか見えない人がたくさんいて、その人たちの身なりがとても怖かった記憶があります。今もその時の心象が強くて、「なるべく関わらないようにしなきゃ」と。聡実も最初は、狂児に対して同じように感じていたと思いますが、それでもここまでの関係性を築けるのは「一人の大人の男としてカッコいい!」という憧れた部分もあったからかなと。

ヤクザなのにどこかヒロイックで、例えば聡実が組員の通称「宇宙人」に絡まれていたところを助けてくれたり、ヤクザの人たちとカラオケに行った時も同じ組員のはずなのに、聡実の腕をぐっとつかんでくれたり、どこかで心の拠り所にさせてくれるような懐の深さがあって。そんなところが、同世代の男性と比べてより狂児から感じられたことが、思春期の聡実にとって、心地よくフィットしたのかなと。

小野:「それでもいいか」って?(笑)

 

 
堀江:狂児から感じる危うさに「溺れてしまおう」と思ってしまうほど、不思議な魅力があるなと。だって中学生の男の子が、20歳以上年上のヤクザと親交があると知ったら、親御さんは卒倒したり、気が気じゃないと思います。

小野:もう絶縁だよ(笑)。

堀江:そんな状況さえも許容させてしまう狂児には、魔性の魅力があると思います。

小野:ありがとう。狂児はやっぱりドライなんですよね。聡実くんに助けを求めるシーンも、泣きついているわけではなく、「よろぴく。俺を助けると思って」と。その時の目つきもホラー由来の作画の描写力も相まって(笑)。本来ならもっと体温がのっていて、熱くウェットなものになってもいいはずなのに、ドライで感情が読めなくて。そこにお互い引き付けられてしまうのかもしれませんね。「この人は放っておけない」って。やっぱり二人は似ているんじゃないかな。

堀江:そんな感じがありますね。狂児はどこか少年っぽいというか、心が欠けたところ、不完全なところがちゃんとあると思います。

小野:あるよね。

堀江:聡実の視点ではそこは見えないけど、俯瞰して見ると、完全ではないなと思えて。だけどそこがいいんですよね。

小野:改めて二人で話してみると気付かされることが多いですね。今までのことを踏まえて、収録し直したいくらい(笑)。

堀江:確かに。違うものが生まれそうですね。

小野:でもわかってからやると、狂児をウェットに演じてしまうかもしれない(笑)。

 

二人の関係性は、自分の感情を表に出さない「ドライ感」が魅力的

──改めて、聡実と狂児の関係性についてどう思われますか?

小野:もっとお互いに表現し合うような関係性のほうが、観ていて熱いのかなと思っていましたが、実際は特別に自分の感情を表に出すのではなく、相手に対する想いがあった上で、胸に秘めるみたいな関係性なのかなと思います。長年連れ添ったバディみたいな関係性なら、何も言わずにツーカーで伝わると思いますが、この二人は出会って一緒にカラオケに行っただけなのに、既に言葉にしなくても通じ合っている「バディ感」が生まれているんですよね。不思議なんですけど。

物語の途中で描写される狂児の過去があるから今があると思うと、聡実くんに自分と似たものを感じているんでしょうね。でもそれすら狂児は意識していないと思うし、お互いに意識しない関係性って素敵だなと思います。「この子は自分に似た目をしているから声を掛けよう」とか「良くしてやろう」なんて一切考えていなくて。しゃべればしゃべるほど、考えれば考えるほど、その「ドライ感」が魅力なのかなと。

堀江:それを演じ手の小野さんだけではなく、原作の読み手やアニメの視聴者の方にもそう思わせる仕組みがあるのではないでしょうか。本編に狂児のモノローグがほとんどないことで、より狂児が何を考えているのかがわからない、聡実目線での狂児像が捉えやすくて。まだわからないピースを、視聴者の方が少しずつ埋めていきながら繋げていくことができるので、この二人の物語をより楽しめるのかなと思います。

堀江:聡実が思春期なことも相まって、揺れ動く感じが二人の関係性の魅力じゃないかなと思います。そして何よりも、中学生とヤクザという普通ではありえない関係性は、他の作品ではなかなか見ることができないので、その関係の歪さなど、すべてがミスマッチでチグハグなはずなのに、どこか噛み合ったりするおもしろさもありますね。

それと、聡実は狂児に対してどこか対等に感じていたり、あるいは見下しているのに、実は狂児のほうが聡実を手の平の上で踊らせていたりして。そういう絶妙な感じも観ているとこそばゆくて、歯がゆくて、愛くるしくて。そこが魅力かなとも思います。

 

作品の目玉シーンの一つである、狂児が歌う「紅」。レコーディングで意識した点は?

──原作ファンにとっては狂児が「紅」を歌うシーンが注目ポイントですが、小野さんはどのように歌われたのでしょうか?

小野:聡実くんから「終始、裏声が気持ち悪い」と言われていましたが、原作に忠実にしようと思った時に最初にぶち当たる壁で。実際にレコーディングの時にやってみたら、気持ち悪いというよりは「それで組長主催のカラオケ大会に出ようとは思わないだろう」と。リアリティがないんですよね。なのでレコーディングは何テイクも録って、裏声のバランス、裏声の成分をどれくらい入れようかと。「ここはうまく歌えるだろう」というところはキーが安定しているので、「ここから歌いにくい」というところを探す作業から始まりました。

オーディションの時は自由に歌いましたが、それが良かったらしくて。歌よりも「紅だ~っ!!」と叫ぶところの言い方にこだわって、オーディションテープを収録しました(笑)。勢いだけでやっているように聴こえますが、実は繊細なところまで気を遣って歌っています。僕がこだわったところでもありますが、スタッフさんも長時間、レコーディングに付き合ってくれました。その結果、いい感じでファルセットが要所要所に入って、いい塩梅でキモくなりました(笑)。

──確かに「紅だ~!!」と叫ぶところは、カラオケシーンの最大の見せ場と言ってもいいですからね。

小野:たぶんアレが言いたくて、狂児も「紅」を歌っていると思うし、僕が歌う時もそうですから。「紅だ~っ!!」と叫んだ後はむしろオマケみたいな(笑)。

堀江:でもカラオケでは「紅だ~っ!!」と叫ぶところは字幕では出ないですよね?

小野:うん。アレはライブでやったやつだから。でもあの曲は振りオチがしっかりしているんだよね。歌い出しの英詞の部分はしっとりときれいで、しかも洋楽的なアプローチをしていて。その後の「紅だ~っ!!」で笑わないわけないんだよ! 素人がやった時に。狂児は自然にこの曲を選んでいますが、そのカタルシスと振りオチはしっかり作りたいなと思って、レコーディングに臨みました。聴いた皆さんに笑っていただければ幸いです(笑)。

 

 

──聡実も「紅」を歌うシーンがありますね。

堀江:同じ曲を歌うのはおもしろくて、ある意味でアンサーソングみたいな感じだなと(笑)。実はこの取材を受けている段階では、小野さんがどれくらい気持ち悪く歌われたのかを聴いていなくて。アフレコは歌の部分を飛ばして収録していて、「紅だ~っ!!」だけは何度も聴いていますけど(笑)。

小野:現場でもそこだけはやってたからね。

堀江:その時もすごい勢いだったから、さぞ小野さんは気持ち悪く歌われているんだろうなと。

小野:それはほめられているのか? けなされているのか?(笑)

堀江:「こういう感じでくるだろうな」と想像しながら「終始、裏声が気持ち悪い、以上です」というセリフを言いました(笑)。

僕が歌った時は、ヘタに歌うというよりも、ちょっと声が出にくくなっていたり、かすれる感じで、聴いている人が「ノドは大丈夫?」と心配になるような、でも歌の音程などは整っているという歌い方をするのが難しくて。意識しすぎるとわざとらしく聴こえちゃうし。僕自身の本心としては、世に出てしまうものなので、上手に歌いたかったんです。でもこのアニメをご覧になる原作ファンの方は「狂児と聡実は「紅」をどう歌いこなしてくれるのかな?」と期待する声もチラホラ目にして。そういう方々が、聡実が「紅」を歌うのを聴いた時にどう思うだろう? と今はドキドキしています。

小野:確か、僕よりも堀江くんのレコーディングが先だったんだよね?

堀江:そうです!

小野:スタッフさんから「堀江くんが何テイクもやってくれました。本当に声がガラガラになるまで歌ってくれて」と聞かされて。その話を聞いて「声変わりの声で? 大丈夫?」と思いながらもグッときちゃって。「じゃあ、俺もやらなきゃ!」と気合が入ったのを覚えています。

堀江くんを傍から見ていると不安になる時があって。アフレコで「そんなにやって大丈夫?」と心配になることが多いし、いつものど飴をなめているし。

 

 
堀江:それはどの現場でも、ライブやイベントでもそうなんです。

小野:人づてではあるけど、堀江くんがリミッターを外してやっていたと聞いてしまったので、僕もリミッターを外しやすかったし、その前をしっかり歌って、振りオチにしようと自信を持って決められました。

僕もまだ聡実くんの「紅」を聴いていないので、「こいつ、どれだけやったんだ?」と楽しみです。

堀江:そこまで(ハードルを)上げられちゃうとドキドキしちゃいますから!

小野:でも声変わり前の声ってどうやるの? 実際にノドを痛めたの?

堀江:「テクニックではできないかも? 実際に自分の体でやるしかない」と思ったし、やっていく中で後半になったら自然と声が出にくくなって。何テイクも録ったので、どれが採用されているのかは僕もわかりません。

小野さんが先ほどおっしゃられた通り、キャラソンなら歌った後に、世に出てもおかしくないように修正や調整をしてくれますが、「紅」を歌った時に(中谷亜沙美)監督に「この歌のシーンに関しては、一切修正せずにそのまま出します」と言われました。

小野:僕の場合は、「ここからここまで」ではなく、勢いのままに1曲通して何度も歌った気がする。

堀江:僕もそうでした。

小野:考えてみればカラオケってそういうものだもんね。なので、お互いの「紅」を聴くのが楽しみです。

 

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