
『機動戦士ガンダムエイト』第1巻発売記念! シナリオ:鴨志田一先生×漫画:高木秀栄先生対談インタビュー|外宇宙探査の候補生たちにフォーカスした新たなオルタナティブシリーズ……その世界観構築に至るアイディアに迫る
いよいよ2025年10月23日(木)に第1巻が発売となった「ガンダムエース」で連載中の漫画『機動戦士ガンダムエイト』。
ゼロベースで漫画から立ち上がる初のオルタナティブシリーズ(※)として、注目を集めている本作ですが、記念すべきコミックス第1巻の発売に際して、シナリオを担当する鴨志田一先生&作画を担当する高木秀栄先生へのインタビューを実施しました。
連載がスタートするまでの経緯や、ガンダムシリーズのオリジナル作品として新たな世界観・物語を構築する上での苦労、さらにはおふたりのガンダムのルーツに至るまで伺いました。
※『機動武闘伝Gガンダム』からはじまり、『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム 水星の魔女』なども属する“宇宙世紀”ではないシリーズ作品のこと
ダメ元で提案したオリジナル作品のアイディアと実現するまでの苦労とは
――まずは本作に携わることになった経緯からお教えください。
鴨志田一先生(以下、鴨志田):僕の方は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼』の連載終了が近づいたタイミングで、ガンダムエース編集部の方から「引き続き誌面上で何か一緒にお仕事をしませんか?」とお声がけいただいたのが発端です。そこから何をするのか考え始めたところが、この作品のスタート地点だったかと思います。
ただ、今まで関わったことのない作品のスピンオフを急に僕がやるのは何か変な感じがするので、冗談半分で「オリジナルってどうなんですかね?」と提案しました。
そこからプロットを作ったんですけど、ガンダムエース編集部がバンダイナムコフィルムワークスさん(※当時はサンライズ)へ確認に行ってくださったんです。僕としては流石に駄目だと言われると思っていたけど、OKが出てこの方向で企画を進めていくことになりました。
高木秀栄先生(以下、高木):僕としては2023年の後半くらいでしょうか。『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』が最終巻まで残り1冊となったタイミングで、「こういう企画があるんですけど、どうですか?」と本作についてお話をいただきました。
それ以前から告知だけは出ていたみたいなのですが、お話を伺ったり資料を拝見して面白いなと思ったんです。こういうオリジナル作品を雑誌でやることも凄いなと思いましたし、ぜひ自分にやらせてくださいと手をあげました。
その後は、プレゼン用の原稿を7ページくらい描かせてもらいました。第1巻でガンダムジリウスがフェザーエクステンションを使って敵をなぎ倒していくところですね。『コード・フェアリー』と並行しての作業だったのでめちゃくちゃ大変でしたが、プレゼン用の資料として出すならここが一番良いんじゃないかと考え描かせてもらいました。
実際、評価してもらえたみたいですし、ガンダムエースに掲載された鴨志田さんのインタビューでもこのシーンがきっかけでぜひにと言っていただいたことを知りまして。だから、あの時に頑張って良かったなって思っています。
鴨志田:きっとその熱量が伝わったのだと思います。実際に完成したページを見ると凄い躍動感でしたし、メカもクリーチャーもあれだけ鮮明に描ける人はなかなかおらず、高木さんがいてくれたおかげでこの作品を始められました。
――鴨志田先生は完成した絵をご覧になって最初にどんな印象を持たれましたか?
鴨志田:内容に関しては既にご覧いただいた通りだと思いますが、これを毎月続けるのは地獄だろうなと思いました。なので、高木さんの健康の心配ばかりしていますね(笑)。凄い迫力で躍動感もバッチリ伝わってくる漫画になっているし、そのために労力をかけていることはおそらく読者のみなさんにも伝わっているのかなって思っています。
――第1話から物凄いページ数でしたよね。
鴨志田:あれだけのページ数を第1話として掲載すると決めたのは、今このインタビューの場にも同席してくれているガンダムエース編集部の偉い人たちなのですが、編集部サイドから第1話としてあれだけの物量を掲載したいと提案いただけたのはありがたい話でした。
高木:連載の作業が始まる前にかなり時間がもらえたので、第1話はじっくり描けたかなと。現段階の方が追われている感覚があるのですが、あの第1話に時間をかけられたのはありがたかったです。
――ガンダムシリーズでオリジナル作品を作るプレッシャーはあったのでしょうか?
鴨志田:ダメ元だった企画が通ってしまったので、緊張を感じる暇もなく次々と前に進まざるを得なかった、というのが実情です(苦笑)。作業していく中で、この世界のスペースコロニーの成り立ちや社会情勢の流れ、そこにはこんな人たちが生きていて……と、1から世界観を作っていくと、結局オリジナルのアニメーションを制作するのと変わらないのではという膨大な量の作業が必要となったので、そのあまりの物量に眩暈がするような気分にはなりました(笑)。
――先ほどもお話にもありましたが、企画自体の告知はかなり早い段階で行われていましたよね。
鴨志田:確か2018年ぐらいからもう動いていて、2021年のガンダムエースの創刊20周年のタイミングに最初の告知をしました。その後、3年以上も沈黙していたので楽しみにしてくださっていた方にはお待たせしてしまいましたが、満を持して連載に漕ぎつけることができました。
――前日譚として小説も掲載されました。
鴨志田:いきなり第1話から漫画で始めても良かったのですけれど、先行して世界観を明かしてもいいんじゃないかと考えたんです。後はこの先にどんなキャラクターが出てくるのか、それを文章だけだとしてもお伝えできるのなら、少しは興味を持ってもらえるんじゃないかとも思いました。
――第1話が掲載された後はSNS上でも結構反響があったと思います。そういった場で読者の反応はご覧になられていましたか?
鴨志田:色々な方の協力で第1話の掲載に漕ぎつけているので、反応があって嬉しかったです。僕と高木さんだけではなく、キャラクターデザインをやってくれた左さんであるとか、メカデザイナーのカネコツさんであるとか、この作品はその他にも色々な方の協力があって成り立っています。反響が大きかったことで、ようやくお世話になった方たちに顔向けできる状態になったので、ホッとしました。
高木:僕は『コード・フェアリー』の時は、色々なことが終わるまでは見ないようにしていて、連載中はあえて検索するようなことはしませんでした。ですが、カネコツさんとかをフォローしていると、ジリウスを肯定的に受け止めてもらえている投稿も流れてくるので、その時は嬉しくなりました。
――オルタナティブ作品としてガンダムシリーズのオリジナル作品を作り上げる上で難しいと感じたことややりがいを感じていることも教えてください。
鴨志田:決まった設定がある訳ではないので、そこを0から積み上げていくところでしょうか。自由であるが故に大変な部分はもちろんあるんですが、思った通りの設定を作って思い描いた物語を作れる環境をいただけた……それがやっぱり一番のやりがいだと思っています。
――高木先生はやりがいを感じていることについていかがですか?
高木:モビルスーツはカネコツさんや片貝文洋さん、キャラクターは左さんにデザインを担当していただいているのですが、背景などに関しては僕の方で色々と描かせてもらうことが多いです。だから僕も1から作るところ、車や建物、小物とかは連載前の企画の段階でアイディアやイメージを出しました。
打ち合わせでは鴨志田さんをはじめ、みなさんが色々な意見をくれるので、そうやってやり取りしながら世界観を作り上げていったのは楽しかったです。そういう自由なところは良かったというか、やりがいがあるなと思っています。
鴨志田:これからも色々増えると思うのでよろしくお願いします。












































