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『スター・ウォーズ:ビジョンズ』『The Duel: Payback』水野貴信監督インタビュー

黒澤映画の魂に、「スター・ウォーズ」の“楽しさ”を乗せて――『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume3『The Duel: Payback』水野貴信監督インタビュー

映像と音楽がもたらした「スター・ウォーズ」の魂

──神風動画の代名詞とも言えるハイクオリティなCGアニメーションに加えて、今作ではあえてアナログなフィルムの質感を追求されています。

水野監督:フィルムの質感については、前作から引き続き黒澤映画を意識しています。

具体的に言うと、『七人の侍』はフィルムがすごく荒れているんですけど、それだとちょっと荒れすぎかなと。『用心棒』だとちょっと綺麗になりすぎている感じもあるので、その中間あたりを狙っていこうかなと。

分かりやすいところで言うと、風が吹いていて、砂煙がすごく舞っているとか。あとは、望遠レンズで撮ることで生まれる圧縮効果で、奥のものが大きく見えたりする迫力のある絵作り。そういった黒澤監督の作品でよく見られる空気感や手法を意識しました。

 

 

──その一方で、ライトセーバーなどのエフェクトは「スター・ウォーズ」らしさを追求されているように感じました。

水野監督:フィルム的には黒澤映画に近づける一方で、セーバーやブラスターのエフェクトは、「スター・ウォーズ」のままでいきたかったんです。セーバーの動きの残像などは必ず入れるようにして、光り具合も映画の「スター・ウォーズ」に近いようにしています。ちなみに、ライトセーバーの細さもエピソード4〜5へのリスペクトのつもりです。

──音楽も、壮大な「スター・ウォーズ」らしさと、時代劇的な雰囲気が融合した素晴らしいものでした。

水野監督:前作と同じ作曲家の、井内啓二さんにお願いしました。

前作の時は、僕は「時代劇感」を前面に出したい、井内さんは「スター・ウォーズ」を作りたいというせめぎ合いがある中で色々と話し合って、あの形にまとまったんです。

映像を作っている段階で「ちょっと時代劇に寄せすぎたかな」と不安になることもあるんですけど、そこで音楽が入った時に「あ、『スター・ウォーズ』だ!」と(笑)。今作では井内さんとの信頼関係もできていたので、「全面的に自由にやってください」とお願いしました。

 

何を削り、何を残すか。短編ならではの難しさ

──続編を描く上で、物語の構成に変化はありましたか?

水野監督:基本的な設定は引き継いでいます。ローニンとR5-D56(ドロイド)が旅をしていて、赤いカイバー・クリスタルを集めている。前回の旅の続きで、また新しいクリスタルを探している途中で色々巻き込まれていく感じです。

日本の時代劇も、明確な最終回を描かずにずっと旅が続いていく作品が多いので、そういったストーリーの流れを意識しています。

 

 

──短い作品の中に、これだけのアイデアと情熱を詰め込むとなると、尺との戦いがあったのではないでしょうか。

水野監督:そうですね。脚本があって、色々演出プランを考えていく中で、いっぱい詰め込んではいくんですけど、どうしても入りきらない部分が出てきて。

今作でも、最初のプランを固めている時に、前半の雪山での戦いだけで、もう20分ぐらいいきそうになっていて(笑)。いろいろと省きつつ、まとめていきました。

──最後に、シリーズのファンに向けて、メッセージをお願いします。

水野監督:前作『The Duel』よりもさらにパワーアップしたものをお届けできると思いますので、ぜひ観ていただけたらと思います。

そして『スター・ウォーズ:ビジョンズ』は、世界中の「スター・ウォーズ」ファンに、「日本には色々な面白いスタジオがあるんだよ」と知っていただける、すごく良い機会だと思っています。こういった機会を与えていただいて、本当に光栄です。

 
[インタビュー・撮影/失野]

 

『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume3

ディズニープラスにて独占配信中

 

『スター・ウォーズ:ビジョンズ』はアニメーション業界を牽引し、世界的評価を得るアニメーションスタジオがクリエイター独自の視点と発想で新たな「スター・ウォーズ」を描く、ルーカスフィルム熱望の一大プロジェクト。ジョージ・ルーカスが生んだ「スター・ウォーズ」は、黒澤明作品や、日本神話・文化などから多くのインスピレーションを受けており、現在まで続くすべての作品へと及ぶ。
日本はその“創造のルーツ”とも言われ、”フォース“の考え方に影響を与えた禅仏教の概念や、ジェダイのインスパイアの源の一つである侍たちは、壮大な宿命や、善と悪を巡る物語などスター・ウォーズのすべてに脈々と受け継がれている。Volume1 では、そんな“聖地”である日本の7つのアニメスタジオより、世界をリードするトップアニメクリエーターが独自の“ビジョン”で「スター・ウォーズ」を描き出し、「『スター・ウォーズ』とアニメーションの完璧な融合作品」「『スター・ウォーズ』への深い愛情を感じ、新たな魅力を生み出している」と絶賛され世界中のSW ファン、そしてアニメファンから人気を博した。そんな「ビジョンズ」が Volume3 で“聖地”日本に帰還!ヒット作を生み出し続ける9つのアニメスタジオが参加している。

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