
森久保祥太郎さん&蒼井翔太さんが宮沢賢治の名作を現代テイストで紡ぐ──朗読劇「Weeknight Storytime -超訳文学 宮沢賢治-」10月30日公演レポート
“ちょっと疲れた平日の夜に、癒やしの時間を”がテーマの朗読劇「超訳文学」。その最新作「Weeknight Storytime -超訳文学 宮沢賢治-」が2025年10月23日・30日の2日間にわたり東京・池袋のアニメイトシアターにて上演されました。
朗読劇には、森久保祥太郎さんと蒼井翔太さんが出演。宮沢賢治の「風の又三郎」「なめとこ山の熊」「注文の多い料理店」「オツベルと象」を題材に、現代風のエッセンスを加えた会話劇が展開されました。
本記事では2025年10月30日に開催された、第2回公演の様子をお届けします。
名作の数々を現代テイストで紡ぐ
今回で第3回目の開催となる「超訳文学」のテーマは、“ちょっと疲れた平日の夜に、癒やしの時間を”。にぎやかなアニメイト池袋本店の地下・アニメイトシアターは落ち着いた照明に彩られ、そこに癒しを求める観客たちが集まりました。
開演とともに、「青いクルミも吹きとばせ すっぱいカリンも吹きとばせ どっどど どどうど どどうど どどう」の声でステージが照らされると、シンプルな白のシャツを身にまとった森久保さんと蒼井さんの姿。開幕を飾る「風の又三郎」でふたりは、岩手の田舎にある小学校の先生を演じます。
物語は「風の又三郎」のあだ名をつけられた転校生を巡り、ふたりの先生が何気ない話を繰り広げていくもの。なにかと話題となる風の又三郎は、風の神の子とまで噂され、ふたりの先生の話は日々盛り上がりますが、風の又三郎は最終的にまた転校してしまうことに。原作のテイストを感じさせつつ、すっかり風の又三郎の信者となっていくふたりの様子が紡がれました。
「なめとこ山の熊」はものまね大好き声優の蒼井さんが“ハヤミサオリ”に扮して、情報番組のMCに。驚きの展開に笑いが起こる中、MCは森久保さんが演じる熊狩りの猟師にインタビューを進めます。会話中、ふたりによる熊の親子の会話劇に発展したり、突然の面白エピソードトークが披露される場面も。
MCは楽屋で着替え中に服にタグが付いていたことに気付いた話、猟師は“知り合いの声優”が若い頃にズボンのお尻部分がパックリ割れていた話で客席を沸かせました。
「注文の多い料理店」は山の中にレストランを開こうとする山猫と、飲食専門コンサルタントの近猿太による会話劇。実は山猫は店に訪れた人を食べようと画策していますが、そんなことに気付かない猿太は続々とアイディアを提案するという嚙み合わない話が連続。上手く話に乗せて“いっぱい喰わせよう”とする猿太と“いっぱい食おう”とする山猫による風刺が効いた物語でした。
最後のエピソード「オツベルと象」は、工場を経営するオツベルと、彼のビジネスに利用される象の物語。最初は裕福なものの、次第に状況が悪化し、自分の幸せがどこにあるのか見失うオツベル。そんな彼のもとから助け出されることになった象は、利用されながらもどこか必要とされることに喜びを感じていただけに複雑な心境を覗かせつつ、死の間際に本音をこぼすオツベルをただ見守るのでした。
洒落の効いたコミカルな物語とふたりの小気味のいい掛け合いが繰り広げられた「Weeknight Storytime -超訳文学 宮沢賢治-」はここまで。「オツベルと象」の不思議で心地の良い後味が会場に漂う中、森久保さんと蒼井さんが再びステージに上がりました。
アフタートークでふたりは、事前に寄せられたお便りを紹介。「風の又三郎」の転校生にちなんだ質問では、子供時代は転勤族だったという森久保さんの各地の思い出話に花を咲かせます。また、転校生のように初めての人の輪に馴染むのは得意かと問われた蒼井さんは、初めての現場に行く際は仕事の話をきっかけに距離を縮めていくタイプだと明かしました。
印象深いお店に関する質問では、森久保さんの「世界一おいしいカレー屋」と書かれたお店に入ったエピソードで盛り上がると、蒼井さんは旅先のお店でファンと出会ったというエピソードで観客を驚かせます。さらに、蒼井さんの話を受けた森久保さんは、歯医者の施術中にファンだと告白され、「今!?」と驚愕した話で立て続けに爆笑をさらいました。
ふたりのトークで暖かな空気感に包まれた会場。ふたりは観客の笑顔を見て、満足そうにトークを締めくくりました。
【取材:MoA 撮影:胃の上心臓】
「Weeknight Storytime -超訳文学 宮沢賢治-」
原作:宮沢賢治『風の又三郎』『なめとこ山の熊』『注文の多い料理店』『オツベルと象』『雨ニモマケズ』
脚本・演出:村井真也
キャスト(敬称略):森久保祥太郎 蒼井翔太
(C)Rabbit Note Project


















































