
【独占対談】『温泉むすめ』は総合プロデューサーの交代で次なるフェーズへ。初代・橋本竜から二代目・森島昌洋へ託される「地域とファンの未来」
日本全国の温泉をモチーフにしたキャラクターと声を担当する声優たちが、全国の温泉地を盛り上げるべく、アイドル活動を通じて、地域とファンがともに歩む関係性を築いてきたプロジェクト『温泉むすめ』。
2025年12月28日には「温泉むすめ 5th LIVE Five 温☆Sparkle!!!!!!!!!」が開催され、2026年も毎月のように日本各地の温泉地とコラボしたイベントを行うなど、プロジェクト始動から9年目を迎えて、今なお精力的に活動の場を広げています。
そんな『温泉むすめ』プロジェクトを運営する株式会社エンバウンドは、2024年5月に天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営する株式会社ALiNKインターネットとグループ体制となり新たなフェーズへ突入しました。体制進化の一環として、エンバウンドの社長職と、全体を統括する総合プロデューサーのポジションを、ALiNK執行役員の森島昌洋さんにバトンタッチすることになりました。
アニメイトタイムズでは、初代プロデューサー・橋本竜さんと二代目プロデューサー・森島昌洋さんによる独占対談を実施。 プロデューサー交代の意図や、これからの『温泉むすめ』などについてお話しいただきました。
なぜ「今」、バトンが渡されるのか?体制変更の真意
▲左:二代目プロデューサー・森島昌洋さん、右:初代プロデューサー・橋本竜さん
──まずは森島さんのパーソナルな部分からお伺いしたいのですが、ご出身はどちらですか?
森島:岐阜県出身です。岐阜は日本三名泉のひとつである下呂温泉を始め、奥飛騨温泉郷など、非常に豊かな温泉文化がある土地です。ただ、私自身は田んぼが広がるのどかな美濃地方で育ちました。それでも、車を少し走らせれば温泉がある、という環境が当たり前だったんです。
──学生時代などはどのように過ごされていたのでしょうか。
森島:沢木耕太郎さんの『深夜特急』に強烈に憧れていて、暇さえあればバックパックひとつで旅に出ていました。特に東南アジアを旅することが多かったのですが、地元の人たちの生活に触れるなかで、「旅」が持つ人の心を動かす力を肌で感じてきました。数年前にも、当時5歳だった娘とふたりでタイへバックパック旅行に行ったりして。スーツケースと娘のカバンを抱え、さらに娘を抱っこして夜行列車から降りるような、今思えばかなり過酷な旅でしたけど(笑)。
最近はサウナにもハマっていて、いろいろな意味で「ぽかぽか」な毎日です。
──今の話を聞く限りでも、温泉地への送客を目的とする『温泉むすめ』のプロデューサーに最適な方に感じましたが(笑)
橋本:自分が森島さんに信頼を置いている理由のひとつに、この「旅が好きで、かつ地方の現状を肌で知っている」という点があります。東京で生まれ育った方だと、どうしても地方を「客観的な観光地」として見てしまいがちですが、森島さんは、地方出身者として駅前が空洞化していく景色や、かつての活気が失われていく町の寂しさを、自分のこととして捉えられる。その感性があるからこそ、温泉地の方々の複雑な胸中に寄り添えると確信しました。
森島:ありがとうございます。まさか旅の経験や湯巡り好きが、今の仕事に直結するとは思いもしませんでしたが(笑)。実際、昨年からいくつかの『温泉むすめ』のイベントに立ち合わせていただくなかで、特に印象深かったのが、2025年10月の「輪島かさねちゃんお披露目イベント」です。
能登半島地震という大きな困難に立ち向かう地元の方々の姿、そして、そこへ真っ先に駆けつけるぽかさん(『温泉むすめ』ファンの通称)たちの熱量。エンターテインメントが直接的に復興の力になる瞬間を目の当たりにして、身が引き締まる思いでした。
──あらためて、『温泉むすめ』の原点について教えてください。
橋本:原点は、東日本大震災です。震災後、地域が元気を失っていく様子を目の当たりにし、自分の無力さを強く感じました。そのとき、「自分の大好きなこの土地を訪れる理由をつくれないか」と考えたのが始まりです。
コンテンツの力で町を救う、といった大それた思いがあったわけではありません。ただ、来訪のきっかけを生み出すことはできるかもしれない。その小さな積み重ねが、地域の灯りを少しでも守ることにつながるのではないかと信じました。中央が一方的に育てるものではなく、地域とファンが一緒に育てていくプロジェクトがあってもいいのではないか。それが本当に成立するのかどうか。この9年間は、その挑戦でもありました。
結果として、温泉地の方々がキャラクターを大切にしてくださり、ファンの皆さんが何度も同じ土地を訪れてくださる関係性が生まれました。単なるコンテンツの枠を超え、地域に根づいていく姿を見ることができたのは、本当にありがたいことだと思っています。
だからこそ、この挑戦を次の10年につなぐ体制づくりが必要だと考えるようになりました。
──今回、プロデューサーの交代という大きな決断に至った経緯を教えてください。
橋本:プロジェクトを立ち上げてから9年、ありがたいことに130を超える温泉地とご一緒させていただくまでに成長しました。ここまで続けてこられたのは、地域の皆さんとファンの皆さんのおかげです。
その一方で、ここ数年はずっと考えていたことがありました。それは、「創業者が先頭で走るフェーズ」は、どこかで次の段階に移行しなければならない、ということです。
立ち上げ期は、少人数で、とにかく走り続けることが必要でした。判断もスピードも求められましたし、自分が責任を持って決めることで前に進めた部分もあります。ただ、10年、20年と続くプロジェクトにするなら、属人的な体制ではなく、より強い組織へと進化させる必要があると感じていました。
だからこそ、次のフェーズへ進むために、役割を変えるタイミングなのだと思いました。
──ALiNKインターネットとのパートナーシップは、その延長線上にあったのでしょうか。
橋本:はい。2024年にALiNKインターネットとともに新たな体制へ移行したのは、単なるバックオフィスの強化という話ではありませんでした。『温泉むすめ』を、より長く続くプロジェクトにするための基盤づくりです。
森島さんは、旅を愛し、地方の現状をよく理解されている方です。地方出身者として、町の変化を肌で感じてきた経験を持っている。その感性があるからこそ、温泉地の皆さんの思いに寄り添いながら、次のフェーズをつくっていただけると感じました。
私自身がこれまで大切にしてきたのは、「地域ファースト」という姿勢です。効率よりも信頼を重ねること。短期的な成果よりも、関係性を育てること。その軸を理解してくださっているからこそ、安心してお任せできると思いました。
──ALiNKインターネットは天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営する会社ですね。
森島:ALiNKグループ代表の池田(洋人)は、tenki.jpに代表されるような社会性の高い事業を手がけ続けており、エンバウンドをグループに迎えた理由も、その事業が「事業成長と社会公益向上」を両立させるものだと考えたからです。この事業を次の成長フェーズに進めるため、ALiNKのミッションを理解し、「tenki.jp」を始め「Yahoo!地図」や「ウォーカープラス」など地域情報メディアの運営経験がある私に、不肖ながら白羽の矢が立ったと理解しています。
──森島さんは、実際に関わるまで『温泉むすめ』をどのように見られていましたか?
森島:外部の人間として『温泉むすめ』を見ていた時は、非常に不思議なコンテンツだと思っていました。アプリゲームが爆発的にヒットしているわけでも、アニメが放送されているわけでもない。私はエンタメにも少し携わった経験がありますが、そこでの常識で言えばコンテンツは数年で「旬」が過ぎ、忘れ去られていくのが普通です。ですが、このプロジェクトは8年、9年と経っても、逆に地域との絆が強まり、ジリジリと人気が上がり続けていることが不思議でした。
──その「不思議」の正体は、どこにあると感じましたか?
森島:この1年半、橋本さんの隣で見させていただいて、ようやくわかりました。このプロジェクトは「運営が主体ではない」んです。主役はあくまで「温泉地」であり、そこに住む「人々」なんです。キャラクターを自分の子供や孫のように大切に想ってくださる温泉地の方々と、そのキャラクターに会うために何度も足を運ぶファンのみなさんの間に、血の通った交流がある。これは、単なる「IPビジネス」の枠を超えた、ひとつの「文化」に近いものだと感じました。
橋本:森島さんが言ってくださった通りだと思います。ただ、それは決して偶然に生まれたものではありません。
プロジェクトを立ち上げたきっかけが東日本大震災からの復興だったこともあり、当初から「地域ファースト」という考え方を軸に設計してきました。運営が主役になるのではなく、あくまで主役は温泉地であるということ。
私たちは黒子として支え、温泉地とファンが自然に交わる関係性を育てていく。押しつけるのではなく、共通理解を重ねながら、楽しく、前向きに、能動的に取り組んでいただける土壌を整える。その仕組みづくりに、9年間向き合ってきたつもりです。意図してきたのは、IPを“消費”させることではなく、地域に“残る関係性”を設計することでした。



















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