『あそびのかんけい』が『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と並んで「このライトノベルがすごい！」3冠達成！なぜ“3”冠がすごいのか、作品の魅力は？まるっと解説します！

「このライトノベルがすごい！2026」で、総合部門・文庫部門・新作文庫部門でそれぞれ1位を獲得し、見事「3冠」に輝いたファンタジア文庫の『あそびのかんけい』。著者は、『生徒会の一存』や『ゲーマーズ』の葵せきな先生。イラストは『冴えない彼女の育てかた』の深崎暮人先生という豪華な布陣です。

しかも、このライトノベルがすごい！での3冠受賞というのは、殿堂入りした『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。（俺ガイル）』と同じということで、『あそびのかんけい』は、今、大変注目されています。（『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は、このライトノベルがすごい2015の作品部門、男性キャラクター部門、女性キャラクター部門の3冠）

これだけで『あそびのかんけい』がただならない作品だとわかるはず……！

物語の舞台は、東京都荻窪（おぎくぼ）にある雑居ビルの四階、あまりお客さんも遊びにやってこないボードゲームカフェ「クルマザ」。この「クルマザ」で一緒になってボードゲームで遊ぶ「遊びの関係」の常盤、小鳥遊、歌方ら登場人物たちが、お互いの恋心を隠しつつ、ボードゲームで遊びながら恋愛の駆け引きや会話（いじり？）をテンポよく弾ませているラブコメ要素のある物語です。

恋愛要素だけでなく、ボードゲームカフェが物語の舞台でもあるので、実際に発売されているボードゲームも複数紹介されています。ボードゲームの駆け引きが、登場人物たちの心理的駆け引きにもなっている、という面白い仕掛けも人気の秘密。

ということで、今回は、ボードゲームカフェ好きオタクが、『あそびのかんけい』の魅力だけでなく、作品を読んだときに理解が深まるボードゲームカフェに関するあれこれ、そして個性あるキャラクターたちや作品に隠された「ひみつ」の一端もご紹介していきます。

　
（若干のネタバレや解釈・考察が含まれていますので、ご注意ください）

そもそもボードゲームカフェって何ができるの？

ちなみに、現実の世界のボードゲームカフェは、一緒に遊びに行った家族や仲間と飲み物や食べ物も楽しみながら、お店の中に置いてあるボードゲームで遊べる場所です。

1人でボードゲームカフェに来店したお客さんは、同じように1人で来店している他のお客さんと「相席」という形で、「はじめまして」の状況から、ボードゲームを一緒に遊んでいくということが多いです。他のお客さんがいないときには、店員さんと1対1で、ボードゲームを遊ぶこともあります。

ゲーム中の交渉では対戦相手を名指ししてプレイすることも多いため、ボードゲームカフェ来店時に白紙の名札に「自分が呼ばれたいあだ名」を記載し、退店時まで身につけてもらうお店も多いです。

『あそびのかんけい』の主な登場人物たち

常盤孤太郎（ときわ　こたろう）

「クルマザ」の店長代理。ボードゲームオタク男子。黒髪短髪メガネで高校中退の陰キャフリーターだと自称。あだ名は「バンジョー」。超絶イケメンな彼氏がいる小鳥遊みふるのことが大好きですが、告白できず、想いを胸に秘めています。

あるとき、小鳥遊たちに好きな人はいないのかを糾弾され、自分の小鳥遊への気持ちがバレるのを恐れて、「好きな人は女流棋士の歌方さんだ」と、嘘をついてしまいます。

また、小鳥遊の彼氏の宇佐とは、お互いボードゲームが大好きということで、意気投合。ですが、小鳥遊の彼氏である宇佐に対しては、自分の大好きな女の子の彼氏ということで、ちょっと複雑な思いも持ってしまっています。小鳥遊への想いをかなりこじらせている主人公です。チキン疑惑も。

小鳥遊みふる（たかなしみふる）

「クルマザ」でアルバイトをしているピンクのボブカットが特徴的な女子高生。ネイルやメイクもしっかりキメて、おしゃれを楽しんでいますが、スカート丈は下品になりすぎないラインで留めているという令和ギャル。ボードゲームの知識はほとんどない。金髪の超絶イケメンな彼氏の宇佐とめっちゃラブラブ。

彼氏がいるにも関わらず、常盤に対しては、小悪魔的に接していきます。例えば、常盤に飴を取らせて、小鳥遊自身の口の中に入れるよう頼むだけでなく、その飴を指ごと咥えて食べるといった具合に翻弄しながら、バイトの暇つぶしをしています。

小鳥遊は、お客さんがいないときには、常盤を口撃していじりながら、ボードゲームカフェ内でネイルを塗り直すといったやる気のない店員さん。でもお客さんに対しては、相手の話も聴きながら、笑顔が絶えない場を作れるといった明るい接客が持ち味で、人気の店員さんです。

歌方月乃（うたかたつきの）

黒髪ロングの女子高生で、女流棋士としても活躍中。将棋の勝率は悪くはないものの、最近自分の殻を脱しきれていないと感じています。将棋の師匠から、「遊びが足りない」と指摘され、凹む。そんなときに偶然見つけたボードゲームカフェの「ボードゲーム」に遊びの要素があるのではと感じて、ふらっと入店。そこから常連になりますが、ボードゲームカフェに行くお金をどうするかで悩み中。

地元では、美人女子高生棋士としてちょっと有名だと自分で思っていたので、「クルマザ」では「ウタマル」と名乗り、身分がバレないようにしています。口癖は「重畳（ちょうじょう）」と古風。冷静な性格で、分析力に長けていますが、頑固な一面も。常盤のことを「いい人」と思っています。