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『魔神英雄伝ワタル』「METAL ROBOT魂」×「コンプリート・サウンドトラック」コラボ対談【前編】

劇中で描かれた姿を最大限追求。関節のない龍王丸にいかにして関節を入れていくか――「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」×「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」コラボレーション対談【前編】

幾多の困難を乗り越えて実現した「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」

ーーここからは生地さんを中心に、バンダイナムコミュージックライブの鈴木則孝氏にも加わっていただき、「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」の制作エピソードをうかがっていければと思います。

鈴木則孝氏(以下、鈴木):よろしくお願いします。

生地:企画の出発点として、自分が企画参加している仙台フィルハーモニー管弦楽団様のアニメーションなどの音楽によるコンサートシリーズ「エンターテインメント定期」があります。その第4回の公演として“ワタル”が浮上しました。時期的には『魔神創造伝ワタル』が放送中で、『ワタル2』が35周年になるので、タイミング的にも良いなと。

ーー公演に向けての苦労はありましたか?

生地:セットリストを作る必要がありましたが、昔の作品なのでまずは譜面があるのか?という課題が。基本は聴音、つまりは耳コピでオーケストラ用に編曲いただく方針でスタートしました。ですので、次に必要なのは“音源”になります。

放送当時、ビクター(現フライングドッグ)さんから2作品で合計4枚の「音楽篇」がアルバムとしてリリースされていましたが、これに入ってない重要な曲がけっこうありまして。でも、龍神丸の召喚、登龍剣、龍王丸への変身などでかかる曲はどうしても演奏したいわけですよ。

そこで超荒技なのですが…編曲の佐野秀典さんに、映像の「何話の何分何秒からの何分何秒までの曲」とお伝えして、編曲していただくというスタートでした。当然SEやセリフも入っていますので本当に申し訳なさでいっぱいな状況でした。

鈴木:2024年の12月頃ですよね。

生地:そうです。それで「どうにか他に音がないのか?」と思っていた中、最初にご連絡が付いたのが「ワタル」シリーズの作曲家が神林早人さんでして、しかも奥様の神林名里さんが元ビクターのディレクターで『ワタル2』以降の歌モノから「ワタル」シリーズを担当されていた方だったんです。そして、フライングドッグさんへ問合せしてくださいましてテープがあることは確認できました。

鈴木:ただ、アナログの6ミリテープなので、実際に回してみないと、何が入っているかは分からないんですよね。

生地:再生できる環境も限られているため、予算も大きくかかってしまいます。それもテープの箱には楽曲の管理制作番号であるMナンバー(※MUSIC NUMBERの略)が書いてあるだけなんです。

ーー補足しますが、いわゆるサントラCDの曲名は後で付けられたもので、現場ではMナンバーと呼ばれる整理番号で分類されて映像使用時に選曲されるわけですよね。

生地:はい。例えば「A-1」「A-2」……といった番号がひたすら続いていきます。しかも我々は音を聴けていないので、この番号だけではどの曲か特定できずテープも断定出来ないんですよ。アニメを作った際には、各話毎に使った曲を記した「ミュージックキューシート」という資料があるのですが、35年前ですのでこれも見つかりませんでした。(なお後日発見されました!)

加納:では、そこで探す手立てがなくなってしまったんですか?

生地:別途で「ワタル」シリーズの音響制作会社であるクルーズの藤野貞義さんにお会いしに行きまして、「音楽発注メニュー」という作曲家にどういう曲を発注するかを記した資料をいただくことができました。さらにエンジニアの西澤規夫さんが『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』の際に『ワタル』と『ワタル2』のアニメーションのミュージックトラック(※アニメ本編で使用している音楽部分だけを収録したテープ)から使えるようにされた音源を作られており、コンサートの参考用にそれを提供していだくことで編曲に着手できました。その後、神林さんが保管されていた楽譜と、兼崎順一さんが捜索してくださった譜面も見つかりまして、それも佐野さんへ都度お渡しさせていただきました。

加納:まさに総力戦だったんですね。

鈴木:しかもここまで話して、まだ CD-BOX の話にならない(笑)。それこそ、創界山を登っているかのような長い旅路が続きます。

生地:まだまだ第二界層くらいですよ(笑)。

ーー次回、後編ではサントラ完成までの道のりとコラボレーション秘話が明らかに! ハッキシ言っておもしろカッコイイぜ!

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[インタビュー/トヨタトモヒサ 編集/小川いなり]

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