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『ダーウィン事変』うめざわしゅん&種﨑敦美&神戸光歩インタビュー

『ダーウィン事変』うめざわしゅん先生&種﨑敦美さん&神戸光歩さんインタビュー|「種﨑さんが話した演技がヒューマンジー」「満場一致でルーシーは神戸さん」

 

普通のアフレコではしないことをする

──演技に関してお伺いさせてください。先ほど、オーディションでチャーリーを受けられたとおっしゃっていましたが、公式サイトでは指名だったと書かれていました。

種﨑:私は、オーディションだと思っていたんです。

うめざわ:そうなんですね(笑)。いやあ、違うんですよ(笑)。

一同:(笑)。

うめざわ:チャーリーがオーディションで決まらなかったんです。で、監督が一本釣りしたんです。

種﨑:あとから知りました。

 

 

──決まった時のお気持ちはいかがでしたか。

種﨑:そのことは後から聞いたんですけど、もう一通りオーディションは終わったけど、決まらなかった。だから、さらにオーディションだと思って。そう聞いた、はず。なので、普段のオーディションの時の「やったー受かったー!」みたいな感じというよりは、厳かな気持ちで「承りました」という感じでした。

──(笑)。

種﨑:決まって嬉しかったですけど、オーディションテープを録った時はなぜかわからないんですけど、考えずにやれて。本当になぜか「あ、どうやればいいかわかる気がする」と。でもいざ決まって作品やキャラクターと改めて向き合うと「私はこの世に存在しないものを演じるのか…あれ、ヒューマンジーとは…」みたいな(笑)。月に1回の収録というのも聞いていたので、きっと大変な1年以上が始まるぞ……っていうのと同時に全力で役を全うしなきゃなと思いました。

──そんな長期スパンだったんですね。

種﨑:月1の収録ってあんまりないですけど。私は初めてでした。

神戸:私もです。

──先生の「これがチャーリーの声だったのかと納得できる」というお話が公式サイトに掲載されていました。具体的に納得できる説得力というのは、どういうところに感じましたか?

うめざわ:オーディションは僕も最初から参加させていただきました。チャーリーはどういう声なんだろうと監督とも話し合ったんです。僕もわからないし(笑)。誰もわからないなかでも、いろいろな注文をたくさんして。「チャーリーは感情は出ないけど無いわけではないんです」という微妙な感じの注文ですね。そういったこともあって基本的に、感情のチューニングをしていただいていたオーディションだったと思います。

その中で種﨑さんのチャーリーは、感情のアプローチ以前にすーっと最初から元々そこに存在していたような感じでした。人間社会に異物として扱われている、そういう立ち位置故にトラブルに巻き込まれているキャラクターではあるんですけど、チャーリー本人からしたら、自分が存在すること自体は非常にフラットなこと。それを粒立てて表さないといけないようなことではないんだなというのを、種﨑さんの演技でハッとさせられたのはありますね。感情のアプローチと同時に存在論アプローチというか(笑)。そうしたものを感じて、チャーリーからしたらそうだよなと思いましたね。

 

 
種﨑:オーディションの時、良い意味であんまり考えずにやれたんですが、その時に自分の中にあった感覚を今先生に言語化していただいた気がします。

うめざわ:(笑)。自分の存在自体に別に疑いはない、みたいな。

種﨑:はい。感情はあるけど、出てくる時にわかりやすくポーンじゃなくて、心の中でちょっと変わる、動くみたいなやつが、ちょっと音にのるくらいの感じで、オーディションの時はやってた……!

一同:(笑)。

種﨑:と思ったんですけど(笑)。さっきも言ったとおり、いざ13話分チャーリーを演じるんだと思った時に「しっかり考えなきゃ!」と思ってしまって。改めて「ヒューマンジーとは?」みたいなところから考え始めてしまったが故に、月に1回収録なのもあり、話数が進んでもだいぶ悩みながらではあったんです。

序盤の頃から先生や監督に「ヒューマンジーは、この世に存在しないから、種﨑さんがやったチャーリーが正解。それがヒューマンジー、チャーリーです」と言っていただいてからは、自分を信じようじゃないですけど(笑)。それを持つことと、人のお芝居を受けない時に生じる空気の違和感を恐れないこと。できあがったものを聞いていると、あまりわからないかもしれないんですけど、アフレコブース内だとわかるんですよ。「うわー嚙み合ってない!」みたいなのが(笑)。

──(笑)。

種﨑:人間を演じている時は相手役の方のお芝居を受けて返すので、この当たり前のことをやっている時には違和感は生まれないんですけど、それが当たり前に生まれることを「生まれてる! 怖い! 怖いけど、これでいいんだ……!」と思いながら演じていました。気持ちを強く持ってやり続けるという、普段、普通ではやらないことをやっていたなと思います。

── 一方で神戸さんのルーシーは、満場一致で決まったとのことでしたが、ご存知でしたか?

神戸:はい、あとでお聞きしました。

──それを知った時のお気持ちは?

神戸:嬉しかったです。アニメーションはすごくたくさんの方が関わっていて、そんななかで満場一致というのは、やっぱり特別に感じます。

 

 

──先生も意見があったと思うんですけど、実際に声を聞いてみていかがでしたか。

うめざわ:本当に満場一致。「わあ、ルーシーだ」という感じでしたね。オーディションのテープから聞かせていただいた時、物凄い数の声優さんのテープがあって、その中で良さそうな人に丸をしてくださいと、神戸さんにちゃんと丸をつけてたなと(笑)。

──(笑)。「ルーシーだ」と思える理由というか、どんなところに感じましたか。

うめざわ:シナリオを見た時に、ルーシーの台詞をテキストだけで取り出すと、結構皮肉屋だったり、わりとロジカルすぎて冷たく感じるというところがあるんです(笑)。ちょっと怖いなこの子、というのが少しあったんですね。漫画では、そういう部分はコマを小さくするとかちょっとコミカルな顔にするとか、なにかアジャストをしていたりするんです。

一方アニメで神戸さんが演じてくださるルーシーは、感情の機微をもう少しフォローしてくれる感じがあります。表面上、皮肉なことを言っているんだけど、奥には誠実さがあるというのを、演技だけではない、神戸さんの人柄とかもあるかもしれないですけど(笑)、そういうものがにじみ出て。そういうのが、みんなルーシーだと思ったんじゃないかなと思います。

神戸:ありがとうございます。漫画を読んでルーシーを知った時から、思考回路とか言動とか、すごく共感できる部分が多かったんです。「どうやろう?」「こういうふうにしよう」「どうしようかな」というのを、あれこれ考えたというよりは、自分がやりやすいようにやったものが、すごく合っていると言ってくださったので、そういう意味では悩むことはあまりなかったかなと思います。

だけど、例えばチャーリーとの会話のシーンは悩みました。チャーリーってすごく無口で、聞き上手で話を聞きだすタイプでもないので、ルーシーがバーッと喋って、チャーリーはほぼ無反応だけど、ルーシーは「うんうん、そうなんだよ」みたいな感じで勝手に解釈して進んでいくことが多いんです。

私は人と話す時に相手の反応を見てしまうし、どういうふうに伝わっているかを確認するタイプだったので、そうやって自分がバーッと喋っていくようなところは、難しい部分ではありました。

 

 

──しかし、一方的に喋っているという感じがなぜかあまりしません。

神戸:ルーシーは、チャーリーをよく見て、その視線や動きから思っていることを受け取って返答しているはずで、実際には自分勝手にしゃべっているわけではないと思うんです。

実際のアフレコでは画が完成しているわけではないので、そこは脳内でチャーリーの姿を想像しながら挑んでいました。

 

キャストの声がネームからも!?

──お二人から先生に伺ってみたいことはありますか?

うめざわ:好きな食べ物とか(笑)?

二人:(笑)。

神戸:作風的にも、最新まで含めてすごくいろいろな情報をインプットして形にしていると思うんですけど、先生的にどこから一番インプットすることが多いですか?

うめざわ:『ダーウィン事変』を描く前に結構な量の本を読んだんですけど、そういうのは書籍からインプットするのが多いかなと思います。テーマ的な部分を深く探るという意味では本なんですけど、それがどのように今の社会で受け取られているかというのは、わりとSNSとかで、別物として参考にしてみたりすることはありますね。

種﨑:アニメーションになったことにより、それプラス私たちの声とかお芝居を聞いたことにより、アニメになる前の部分で「あ! こうしておいた方が良かったかもな」みたいに思ったところありすか?

逆に、アニメ以降のお話で、アニメを経たからこうしたみたいな部分あったりしますか?

うめざわ:ネームを描く時に、自分の中で出るキャラクターの声がキャストの皆さん声になって再生されるんです(笑)。既にアニメがインストールされてしまったというか、脳が浸食された後みたいな(笑)。

一同:(笑)。

 

 
うめざわ:あとは確実に、描いているネームに影響は出ていると思いますね。

こうしておけば良かったというのは、チャーリーはあんまりないかもしれません。

僕も「この人ってどんな人なのかな?」って探りながら描いていることが結構あるんです。ルーシーは最初の方は「自分がナード、陰キャ」ってちょっと自嘲的に言っていましたよね。特に最初3話目ぐらいで、チャーリーの養父母の家に行って「私もヴィーガンになった方がいいと思っている?」みたいなことを尋ねるシーンがありましたが、読み返したらルーシーは論破するつもりはないと思うんだけど、「すごくズケズケ聞くなこの人」と思ったんですよね(笑)。

自分の知的好奇心だけで、結構なんでも聞いちゃう人だろうと思って描いたんですけど、アニメで演じてくださった神戸さんは、単にロジカルに詰めようとしているわけではなく、人に対する畏れのような感情も表現されていると感じました。

今言ったシーンって、アニメの序盤の中ではサスペンスフルなシーンだと思っていて。テロとかも怖いけど、そういうのを人に聞くって怖いことだと思うんですよね。ヴィーガンになった方がいいと思う?とか、なんでヴィーガンなのかって人の家の食卓で聞くって。そういう時の、人の心の踏んじゃいけないところを踏んじゃうんじゃないかっていうような感情の機微まで演じていただいていたなと思って。もうちょっとそういうふうに描くべきだったんじゃないかとか思うことはあります。

神戸:それは、なんか、私が出ちゃったかもしれないですね。

うめざわ:それが良かったので、そっちに合わせて描きます(笑)。

神戸:私も、読んだ時はルーシー自身が気をつかうタイプではないというか。

うめざわ:そうですね。

神戸:本当に自分が知りたいと思ったことに対して貪欲に突っ込んでいくという印象は、私も持っていたはずなのですが…。

うめざわ:でも、人を傷つけない気づかいや配慮もできるのがルーシーだと思うので。僕の描き方だと、ちょっとクール過ぎない? と今見ると思うみたいな(笑)。そういうことがちょっとありますね。

 

作品情報

ダーウィン事変

あらすじ

なんで、人間だけが特別なの?
アメリカ・ミズーリ州の片田舎に暮らす少年・チャーリーは、人間を超える知能とチンパンジーを超える身体能力を併せもつ、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」。
15歳になったチャーリーは、人間の里親の勧めで初めて学校に入学。
そこでチャーリーは、頭脳明晰だがコミュニケーションが苦手なルーシーと出会う。
平穏な学校生活もつかの間、チャーリーはその出自の特異性ゆえに、「動物解放」を掲げるテロ組織・ALAにつけ狙われることに!
チャーリーは家族やルーシーを守るため、ALAと対決する道を選択する——
「テロ」「差別」「人権」「炎上」……ヒトが抱える問題に、「ヒト以外」のチャーリーが、ルーシーとともに対峙する。
ヒューマン&ノン・ヒューマンドラマが、ここに開幕!!

キャスト

チャーリー:種﨑敦美
ルーシー・エルドレッド:神戸光歩
リヴェラ・ファイヤアーベント:大塚明夫
ギルバート・スタイン/バート:森川智之
ハンナ・スタイン:佐藤利奈
フィリップ・グラハム/フィル:上田燿司
ゲイル:石川界人
レスリー・K・リップマン/少佐:江頭宏哉

(C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会

 
■公式HP:https://darwinsincident.net/
■公式X(旧:Twitter):@darwins_anime
■公式Tik Tok:https://www.tiktok.com/@darwinsanime_pr

<原作情報>
〈原作〉うめざわしゅん『ダーウィン事変』
〈連載〉講談社「アフタヌーン」(毎月25日ごろ発売)にて好評連載中!

 

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