
冬アニメ『シャンピニオンの魔女』白石晴香さんインタビュー|短いセリフに込めた膨大な思考――ルーナの“迷い”をどう表現したか
白泉社の『マンガPark』にて好評連載中の樋口 橘さん原作の人気マンガ『シャンピニオンの魔女』がアニメ化! TBSにて1月8日(木)深夜1時58分~、BS11にて1月9日(金)よる11時00分~、AT-Xにて1月12日(月)よる11時00分~放送開始!
体に毒を持つ黒魔女・ルーナは、相手に触れたり、吐いた息を浴びると毒におかされてしまうため、街の人に恐れられていました。ルーナの最近の趣味は自作の薬を売ったお金で本を買って読むことでした。ある日、街で目にした少年が気になったルーナは家に帰ってからある行動をします。そこから想いも寄らぬ出来事が起きて……。
孤独な黒魔女の偶然の出会いから始まる恋と冒険と感動の魔法ファンタジー『シャンピニオンの魔女』で、ヒロインのルーナ役を演じる白石晴香さんに作品の印象やルーナを演じる時に意識した点、アニメの見どころなど語っていただきました。
童話のように優しい世界観で、読んでいるとこちらの苦しみに寄り添ってくれる作品
──原作を読んだり、演じてみた作品の印象と魅力を感じた点をお聞かせください。
白石晴香さん(以下、白石):原作の絵柄がとてもかわいくて、ルーナたちの一つひとつの表情に心を奪われました。お話を読み進めていくと、優しい世界観でありながら、どこかにほの暗さも感じる作品で、でもそのほの暗さは見ていて苦しくなるようなものではなく、自分自身も持っている苦しみに寄り添ってくれるように感じました。そこが『シャンピニオンの魔女』の魅力の一つなのかなと思いました。
ルーナを演じさせていただくにあたり、接する人々や、いつも一緒にいるミノス(CV.加藤英美里)やメリノー(CV.岡咲美保)、シシィ(CV.福圓美里)に対する感情の向け方などを繊細に表現したいと思いました。例えばあるシーンでは「この言葉をこの人に向けたら、どう受け取られるだろう」と、ルーナが色々考えながら言葉を選ぶ、迷い感のようなものを出せるよう意識して演じました。すごく優しい世界観なので、私も優しい気持ちでアフレコに臨めたなと思っています。
──劇伴の美しさも相まって、童話のような世界観ですね。
白石:私もPVを観た時、童話の世界みたいだなと思いました。ほっこりするような、かわいらしさがあって、魔法生物の動物たちが動く瞬間も愛おしく思えました。またルーナは街の人に疎まれたり、嫌われているのでかわいそうに一見思えますが、彼女自身はすごく些細なことにも幸せを感じているんです。「どんな境遇や状況下の中でも見つけられる幸せってあるんだな」という大事な気付きもあったりして。童話は何か教えがあることが多いですが、そういったところも通ずるものがあるなと思います。
──原作を読んでいる中で印象的だったシーンやエピソードを挙げるとすれば?
白石:ルーナが歩くとキノコが生えるんですけど、大きなキノコも小さなキノコもかわいくて。毒キノコではあるんですけど(笑)。なのでアニメで動くキノコたちが観られるのが楽しみでした。ミノスがキノコをパクっと食べるシーンを見て、「生命の循環ってこういうこと!?」と思いつつ(笑)。キノコがかわいらしいからこそ印象深いです。
口数が少ないルーナのそばにミノスがいてくれることで、代わりに言葉を発してくれたり、状況説明をしてくれるので、とてもありがたい存在です。見た目や話し方は幼い子供のようですが、言葉の一つひとつに芯を突くものがあるんです。「その考え方すごいな」と感心させられたり、ルーナの恋に関しても重要なことを言ってくれるので、察しがよくて、頼りになる、ルーナにとって素敵な家族の一人です。
ルーナは優しいけど芯の強さがあって、人との会話でも言葉選びに悩んでしまう繊細な魔女
──ルーナの印象をお聞かせください。
白石:ルーナはとても優しい魔女ですが黒魔女であり、彼女が歩いた後に毒キノコが生えたり、触ったり、吐く息を浴びるだけでも強い毒性があるということで、街のみんなから怖がられて、ひどい言葉を浴びせられてしまって。そういうこともあり、街には進んで行きませんが、そんな中でも自分が作った薬で救われた人を目にしたり、「この薬はすごく効くのよ」という言葉を耳にすることで、直接自分に向けられた言葉ではないけど、ひっそりと自分に返ってきて。だから喜びを感じて、街に足を運ぶんです。一般的に見たら不幸なのかもしれないけれど、その中でも健気に生きていて。
芯の強さはありつつ、もちろん弱さもあり、そんな時にはミノスたちが寄り添ってくれて。いろいろな状況や想い、感情などを飲み込みながら、一つひとつ丁寧に向き合ってきた結果、相手に対しての言葉の運び方が独特なんです。1話のアフレコで「言葉を出す時の迷い感を短い尺の中に入れてください」というディレクションをいただいた時、難しいと感じつつも、ディレクションの意図には深く納得しました。
続けて「その場その場で生み出しているルーナの言葉はすぐに口から出ているものではなくて、いろいろな想像を巡らせたり、いっぱい葛藤しながらかみ砕いて、かみ砕いて、「ああじゃないか、こうじゃないか」と考えた結果に絞り出した言葉であり、優しさや恐れなどいろいろな想いがこもった言葉なんです。なので、そこに至るまでの経緯を決められた尺とテンポ感にのせられたらいいですね」と丁寧に説明してくださって。特に最初のほうは新しい出会いもあったりしたので、ルーナならではの言葉の出し方みたいなところは気を付けて、より繊細に演じるように意識しました。
──ルーナはセリフが短く少ないので、難しさが増しますね。
白石:そうなんです。例え少ない言葉であってもルーナにとっては感じ取って、生み出すまで、いろいろ考えて想像しながら思考回路を駆け巡らせて、相手に届けるまですごく複雑で膨大なプロセスがあるんです。1話のアフレコを通して、「隠キャ」と「コミュ障」の違いを実感しました(笑)。「普段、他の人に接していない人ならではのコミュニケーションの取り方です」と説明されて、「なるほど」と。
確かに人とあまり話す機会がなかったらそもそも自分の想いや考えを言葉で相手に伝えるのは難しいかもしれません。でもルーナが一緒に暮らしているミノス、メリノー、シシィはルーナの気持ちをすぐにくみ取ってくれるので、あえて言葉にする必要もありませんでした。そんな中で突然、アンリ(CV.千葉翔也)という素敵な少年と出会って、どう想いを伝えようかと考えていたからすぐに言葉を出さずにじっくり大切に言葉を絞り出していました。そのシーンはルーナという人そのものを表わす大事な部分だなと思いました。
──ちなみにご自身とルーナの似ている点を教えてください。
白石:この取材中も感じられたかもしれませんが、私も言葉を選びながら話すタイプです。尺が限られているラジオや生放送に出演させていただく時にはマイナスポイントだと思いますが、「相手を傷つけないように」とか「この発言で誰かが悲しむかもしれない」と相手の気持ちを考えたり、想像することは決してマイナスなだけではないかなと。
ルーナの中にも同じような感情があって、共感できました。
──相手から何か言われた時、話半分で聞いたり、聴いている風に「そうだね」とやりすごすことができますが、白石さんもルーナも相手の話の一字一句を真剣に聴いているから「ちゃんとした言葉を返さなくちゃ」という気持ちになってしまうんでしょうね。







































