
「キャラクターというよりも、生身の人間が描かれていると感じる物語だと思います」──アニメ『違国日記』田汲 朝役・森 風子さんインタビュー【連載第2回】
朝は他者のテリトリーにスッと入り込むのが上手なんだと思います
──森さんは、演じる朝をどのような人物だと感じていますか?
森:天真爛漫で、良くも悪くも素直で明るい子。誰に対しても人見知りせず、人に頼るのが上手な子なのかなと感じています。気づいたら槙生ちゃんの友人である笠町信吾さんのことを「笠町くん」、醍醐奈々さんのことを「奈々ちゃん」って呼んでいるんですよね。誰に対しても初手の関係値の築き方があまり変わらない子なのかなって。他者のテリトリーにスッと入り込むのが上手なんだと思います。
──そんな朝を表現するうえで、意識していたことは?
森:「とにかく素直に」ということを心がけていました。第1話で槙生ちゃんに「傷つくからやめて」って言われたときに「えっ、ごめん。大人でも傷つくことってあるんだ」と朝がポロっと言うシーンがあるんです。あそこで、知らないことについても素直に「そういうこともあるんだ、なるほどね」と受け止めていく子なんだと思いました。そして、素直がゆえに、分からないことは分からないって匙を投げることもある子だとも感じています。
素直さを持っているがゆえに人を傷つけてしまう、特に槙生ちゃんの地雷を踏み抜いてしまう朝ですが、決して嫌味を込めて言っているわけではないんです。本当に無垢で、傷つけることになるかもしれないという想像ができていないだけといいますか。なので、言葉に「嫌」というニュアンスが乗らないように心がけていました。
──演じるうえでどのようなディレクションがありましたか?
森:第1話のアフレコで「そんなにハキハキしないほうがいいです」というディレクションを受けました。本作は、朝が事故にあって両親をなくすというシーンから始まるんです。なので、まだぽわぽわしていて夢うつつというか。現実感がないんですよね。第1話、第2話の朝は本当にボーっとしているような、周りが起こしてくれるアクションにただリアクションしているような感じなんです。そこを意識して演じました。
──第3話でえみりに怒りを露わにしたとき、私は「そこまで!?」と驚いたのですが、今のお話を聞いて、改めて第1話からの流れを見返してみようと思いました。
森:あそこの怒りって「現実感がないこと」を表す片鱗なんですよね。夢うつつで、まだ両親が死んだことも、自分が天涯孤独になってしまったことも現実味がない。その状態だからこそ「普通に卒業式に出たかったのに」という言葉が飛び出してしまったのかもしれません。
──本作は料理などの背景描写の繊細さも見どころです。映像をご覧になってみての感想をお聞かせください。
森:ずっと絵がきれいなんですよね! 原作でも料理のシーンは印象的でしたが、アニメでも気合が入っていて。切って・焼いて・混ぜてという一動作、一動作がきちんと描かれているので、ぜひ細かいところも見て欲しいです。
あとは『違国日記』というタイトル通りに、朝の心情を受けて砂漠などのイメージ描写が所々で入ってくるのですが、それも美しいので、ぜひ期待していてください!
──本作は音楽も印象的ですよね。
森:(アニメーション制作における)ダビング作業のとき、とても良い音響で音楽を聞かせてもらったのですが、ピアノの鍵盤を叩く音やペダルを踏む音、バイオリンの弦をはじく音まで聞こえてきたんですよ。立体的な音楽になっていて、生っぽいリアルな世界観を構築する大きな立役者になっているなと思いました。先ほどお話したイメージ描写のシーンで流れる音楽は本当に「違国」っぽくて、色々なところに旅行している気分になります。
──様々な魅力が詰まっている本作。森さんが思う今後の見どころをぜひ教えてください!
森:見て欲しいところが多すぎて悩みます……!(笑) 本当にたくさんあるのですが、第3話以降からで言えば、槙生ちゃんと朝以外の関係も見て欲しいです。一つひとつの関係の描かれ方がとても素晴らしくて。ぜひ注目していただけたら嬉しいです!
【取材・文:M.TOKU 撮影:福岡諒祠(GEKKO) 編集:西澤駿太郎】
『違国日記』作品情報
あらすじ
思いがけずはじまった同居生活によって、それまで静かだった槙生の日常は一変。他人と暮らすことに不慣れな性格のため、15歳の朝との生活に不安を感じていた。
一方、両親を亡くし居場所を見失った朝は、はじめて感じる孤独の中で、母とはまるで違う“大人らしくない”槙生の生き方に触れていく。
人づきあいが苦手で孤独を好む槙生と、人懐っこく素直な性格の朝。
性格も価値観もまるで違うふたりは、戸惑いながらも、ぎこちない共同生活を始めていく。
共に、孤独を生きていく二人の、手探りで始まる年の差同居譚。
キャスト
(C)ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会
















































