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『ゴジュウジャー』脚本家・井上亜樹子×東映・松浦大悟インタビュー

遂に最終回!吠は「日常」を手にすることができるのか?——『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』脚本家・井上亜樹子さん × 東映・松浦大悟さん最終回直前スペシャル対談

アニメと特撮の脚本制作の違い

―― 井上さんは『キミとアイドルプリキュア♪』などアニメの脚本も書かれていますが、特撮・スーパー戦隊の脚本制作との違いはありますか?

松浦: 何日かは井上亜樹子脚本サンドイッチだったらしいですが(笑)。

井上 : コメディの大変さはありますね。アニメでギャグをやって滑っても勢いと演出で、そのままスルーしていけるんですけど、実写で滑ると本当に痛い感じになるっていう空気をちょっと感じました。その間の扱いっていうのはちょっと違う感じがするなって思いましたね。アニメだと流れていく感じがするんですよね。

松浦: 滑ってるところありました?

井上 : まあちょいちょい……(笑)。自分の笑いのハードルが結構高いんですよ。普段バラエティ見ていても笑わないんです。ギャグは無責任に書くんですけど(笑)。

松浦 : 確かにアニメの笑いを描くシーンとは違うかもしれない。

井上 : あと東映特撮は2話ずつ発注されます。アニメは1本での発注が多くて。『仮面ライダーガッチャード』の時は前後編みたいな感じで一つのお話でしたけど、『ゴジュウジャー』は単発で2話書かないといけなかったのは大変でしたね。

松浦: 撮影の問題というか、1話ずつだと撮影が1年間から飛び出しちゃうんじゃないかな。撮影のまとまりを1週間くらいは欲しくて、東映特撮の長い歴史の中で1組2話で進めるやり方が丁度いいんじゃないかと導き出されたんだと思います。

井上 : 今までは各話で参加したのなら、その各話なりに自分が参加した作品は自分の物でもあるという意識はあったんです。全然向き合い方が違うなというのを知り、キャラクターを通して自分のことを知れるような感じというか。それぐらい深く向き合うようなことが出来たし、周りの私のこと知っている周りの人からは、やっぱり書いてる人が出るなとか。

松浦: キャラを通して、どの辺が自分を見据えるなって思ったんです?

井上 : 吠ですかね。最初は自分と重なるところが微塵もないキャラクターになっちゃったと思っていたんですけど。でも書いてるうちに、「一番近いのは吠だった!」っていうことに気づいて。

松浦: 最初は「私には吠がいないんです」とか言っていて「嘘つけ!」と言った覚えがあります(笑)。でもそれって脚本家さんが、ある意味芳醇だから、色んな所に自分を切り売りできるじゃないけど、それが出来る人はすごいですよ。それは今まで培われてきた人間力だと思います。

――台詞力に惹きつけられる脚本でしたが、お気に入りの台詞はありますか?

井上 : 終盤でお気に入りなのは最終回の吠の台詞で、作品のテーマになる台詞があるんです。それは自分の中にもある問いだし、この作品のキーワードになります。最終回はその辺りも気にしながら見てほしいですね。

松浦:終盤なら僕は熊手の台詞で「指輪争奪戦、戦ってやれなくて悪いな」がすごく好きですね。あとレクス周りは亜樹子さんがノって書いているなと感じました。厄災というのは、善でも悪でもなくて、疫病のようにずっとある存在。大事なのはそれにどう対処していくか、というのは良く分かる話だし、そこは亜樹子さんと思想がシンクロしているなと思いました。あとスイートケークの台詞も凄かった(笑)。

井上 : 第46話の「なんぞやぽん」は褒めてくれましたよね。実はスイートケイクのモデルは、「家での私」なんです。

松浦:「ただいマウンテンゴリラ」っておうちで言っているなら、生活を疑いますけど……(笑)。「なんぞやぽん」は、本当に「なんぞやぽん?」ってなったし。でも上田麗奈さんはそんな台詞でも韻を踏むように読んでくれるからスゴイ! スイートケークの台詞は逆立ちしても書けないなあ。

スーパー戦隊シリーズの1つの節目

―― 『ゴジュウジャー』はスーパー戦隊シリーズの1つの節目の作品になりますが、当初からその想定だったのでしょうか?

松浦:実はこれで区切りってことは、数年前から決まっていたことだったらしいのですが、僕には全く知らされてなかったんです。知ったのは、第10話が放送された辺りだったかな。「よし、これからが新時代だ、1番バッターのつもりでイイ点取るぞ!」と思っていたら、「お前が立ってるの9回裏だから」と言われて「マジか!」みたいな(笑)。聞いた瞬間はショックでしたけど、今は逆に光栄に思っています。だって「区切り」だと知っていた白倉さんや上の人たちが、分かってた上でアサインしてくれたのって、凄いことじゃないですか。

それに、恐らく意図的に隠してくれていたんだと好意的に解釈しています(笑)。もし最初から聞いていたら、自分は色んな意味で萎縮しちゃっていたと思うので。そういう意味では、むしろすごく感謝しています。亜樹子さんに言ったのはだいぶ後ですね。

井上 : 私はスーパー戦隊が続かないっていうのはショックでしたね。『ゴジュウジャー』が終わらせた感が出ちゃうのかなとも思いましたし...。

松浦:でも『ゴジュウジャー』って、戦隊という枠からはみ出したい風を装っていますけど、実は最初から「スーパー戦隊ってこういうところがいいんだ!」という部分を僕らなりにやってきたつもりなんです。だから、安易に方針転換するよりも、結局『ゴジュウジャー』という番組としてよき終わりを迎えるってことが、シリーズにとっても良いことなんだと思い込んで突っ走りました。

スーパー戦隊シリーズの総決算感は、Vシネクスト『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』の方に込めていますので、楽しみにしていてください!

―― 「DXセンタイリング」や「DXテガソード」など年間を通して好評なアイテムでした。

松浦:『ゴジュウジャー』って、有難いことに数字の上では非常に優等生だったんです。視聴率や玩具の売上は年間を通して良かった。「DXリョウテガソード」なんかもバンダイさんから「クリスマスに店頭から消えました!この10年ないことです!」と喜びのお電話があったくらいだったので、少しはお役目が果たせたのかな、とホッとしています。夏映画も『仮面ライダーガヴ』さんのお力ありきですが、すごくいいゴールラインを切ることが出来ました。

スーパー戦隊シリーズが一区切りになることも含めて、いろんな強風・暴風があったんですけど、全部それが追い風になって、結果としてはすごく良い着地になったと思います。

最終回まで届けられたのは、東映の底力

――松浦さんはチーフプロデューサー初担当でしたが、走り抜けた感想を教えてください。

松浦:準備期間を含めて、人生で一番長い2年間だった感じはしますね。でもやりたいことは全部出来ました。

ここで予告しておきますと、最終回で、如実にキャスト交代の問題が現れているシーンがあるんです。もはや笑っちゃうぐらい(笑)。実は最終回が一番大変な時期に撮らなくてはいけなかったから、その中での最善策を尽くしたのですが、そのツギハギを見ると、とても悔しい気持ちにはなります。でもそんなことを思う度に、吠から叱られるような気がして。吠って、過去にいろんなことがあったけど、それでもなんとかこの世界で頑張って生きようとしている人じゃないですか。そう思うと吠を見習って、この番組も吠みたいに立派な作品になれたらいいなと思っているんです。だから、その辺はもうチャームポイントだと思うようにしていますので(笑)。出来ることなら、皆様もそのおつもりでご覧いただければ幸いです。何より、そんな大変な状況の中、撮影をやり切ったキャスト陣の堂々たる表情を、ぜひ見ていただきたいです。

ここまで走り抜けてお届けできたのは、東映というスタジオの力強さと底力のおかげです。本当に凄いスタッフ・キャストだと思っていますし、いろんな状況が、この番組で伝えたいこととリンクしていた。色々悔しい思いをしましたけど、後悔はないし、今は晴れやかな気持ちでいます。

――予期せぬことも多い番組制作だったと思いますが、ピンチをチャンスに変えて乗り越えた場面もありましたね。

松浦:『ゴジュウジャー』はなんでもありの世界観でやってきているから、志田こはくさんへの交代劇もできたのかなとは思います。

でも第40話で一番良かったのは、最初の1分は志田さん効果で「おぉ!」ってなるけど、終わった頃には僕たちが育ててきた『ゴジュウジャー』の本軸、つまり陸王とブーケの関係で、みんなを引き込めたかなっていう体感があったことです。そうやって巻き返せたのは、まるぴさんの頑張りあってのことだと思いますし、陸王とブーケを育ててくれた亜樹子さんの力だと思いますし、山口監督も頑張ってくださいました。負けない番組で良かったです。どの番組でもできることじゃないと思いますね。

――どんな状況でも沢山のゴジュウジャーのファンの方が、応援し続けてくれましたね。

井上 : いろんなことがあって悔しい思いもしたんですが、愛せる作品になったことが嬉しいですね。

松浦:そうですね。ファンの皆様が変わらずに、応援し続けてくれていることがすごく嬉しい。でも、ひとつずっと謝りたかったことがあって。それは子どもたちも含めて、キャスト交代で、角乃を好きだったファンの方々が、好きでいられなくなっちゃう可能性を作ってしまったこと。そこは本当に申し訳なかったと思っています。

だからこそ、まだ角乃というキャラクターを見続けてくれている方が居るのが本当に嬉しくて。SNSで角乃のファンアートとか、Gロッソでユニコーンの団扇とかを見ると、本当に泣きそうになるんです。だから「角乃を好きでいいんだ」と思ってもらえるように、我々もずっと大切なキャラクターのひとりとして作っていくつもりです。角乃ファンの皆さんには、「引き続き、角乃をよろしくお願いいたします。そして応援してくれて、ありがとうございます!」と強くお伝えしたいです。

――最後に、最終回の見どころと1年間応援してくれたファンに向けてメッセージをお願いします。

井上 : 最終回のテーマは“日常”なのかなと思っています。吠は幼い頃にノーワンワールドに迷い込んで、その後も帰ってきてからも人間界に毎日馴染めず指輪争奪戦に巻き込まれ、ずっと“日常”というものから縁遠い人だったと思うんです。「そんな吠が“日常”を手にすることができるのか?」「それはどんな日常なのか?」というところをぜひ注目してください。

ファンの皆さんには自分が生み出したキャラクターをすごくたくさんの人に愛していただいて嬉しかったです。いろんなファンアートや考察とか書いてくださる方もいて。自分も割とオタク側だったので、そういうものを書く側だったんですけど、改めて自分の作品でやっていただいて、すごく嬉しかったし、励みになりました。

松浦: “日常”っていうワードについて「『ゴジュウジャー』はそれを大切にしていたんだな」と1年をかけて分かったというか。過去とか未来ではなく、今、生きてる世界をみんなどうしていくのか。今を肯定できる作品になればいいなと思います。

最終回は堂々とした仕上がりになっているので、笑ったり泣いたり、全力で皆さんの感情をぶつけてください。「この野郎!」と思っていただいても構いませんし、「最高だ!」と思っていただいても構わないです。

こちらも全力をぶつけますので、皆様も全力でぶつかっていただけますと幸いです。よろしくお願いします!

[企画・インタビュー・撮影/田畑勇樹]

『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』作品情報

ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー

あらすじ

すべてのスーパー戦隊のロボが死力を尽くしたユニバース大戦。
その唯一の勝者、巨神テガソードは深い眠りについた。
テガソードの力をわけた指輪をすべてあつめると、
なんでも願いがかなうという…。

そんな指輪を、5人の“はぐれ者”が手にした!

はぐれアルバイター・遠野吠はゴジュウウルフ

元スーパーアイドル・百夜陸王はゴジュウレオン

テガソード信奉者・暴神竜儀はゴジュウティラノ

パリピ高校生・猛原禽次郎はゴジュウイーグル

ハイクラス名探偵・一河角乃はゴジュウユニコーン

ナンバーワンは1人しかありえない!?
戦士になった5人は、指輪をもとめて戦う!
さらには、悪の軍団・ブライダン、
そして歴代スーパー戦隊とも、 おきて破りの頂上バトル!

新時代のナンバーワンになるのは誰だ!?
“最高最強ヒーロー”
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー
戦いのゴングが今、鳴りひびく!

キャスト

遠野吠/ゴジュウウルフ:冬野心央
百夜陸王/ゴジュウレオン:鈴木秀脩
暴神竜儀/ゴジュウティラノ:神田聖司
猛原禽次郎/ゴジュウイーグル:松本仁
一河角乃/ゴジュウユニコーン:今森茉耶→志田こはく
熊手真白/ゴジュウポーラー:木村魁希
ファイヤキャンドル:三本木大輔
ブーケ:まるぴ
クオン:カルマ
飯島佐織:中越典子

【声の出演】
テガソード:梶裕貴
シャイニングナイフ:杉田智和
Mrs.スイートケーク:上田麗奈
テガジューン:ゆかな
グーデバーン:KENN
べアックマ:KENN
リボン:伊瀬茉莉也

(C)テレビ朝日・東映 AG・東映
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