
「誰も嫌われるために生きているわけじゃないですから」──TVアニメ『【推しの子】第3期』有馬かな役・潘めぐみさん【連載インタビュー第2回】
「彼女の紡ぐ言葉一つひとつが気遣いなんだなとすごく感じました」
──有馬かなを演じることの楽しさや、やりがいについてお聞かせください。
潘:1期が終わった時は、「仲良くなれたんじゃない? ね、有馬かな」と思ったんですけれど、2期・3期と重ねていく中で、また少し距離ができたような気がしていて。でも、その距離をもう一度埋めていくこと自体が毎回すごく楽しくて、やりがいを感じています。彼女を理解していく、演じる身として受け入れていく、その過程が楽しいんですよね。
かなは自由奔放な時こそ一番輝く子なので、そういう瞬間をきちんと魅力的に見せなければいけない山場がたくさんあって。感覚的にできる部分と、ちゃんと考えて積み上げなければいけない部分、その両方があると感じています。
──潘さんは感覚派と考えて演じる派、どちらのタイプですか?
潘:私はどちらかというと本能的な感覚派なんです。だからこそ、かなが本当に人のために会話をしている子だということを常に感じています。
──例えばどういった場面で感じられたのでしょうか。
潘:例えば何気ない場面でも、空気が沈んだらおどけてみせたりだとか。その突拍子のなさが誰かを思っての行動であるということが、最近は会話の構成から見えてくるようになってきたんです。気付くのが遅いかもしれませんが(笑)、その機微が見えてきて、彼女の紡ぐ言葉一つひとつが気遣いなんだなとすごく感じました。
その気づきも、私一人ではなく皆さんとの掛け合いの中で見つけさせてもらっている感覚があって、とてもありがたいことだと思います。自分が一番自分のことを分かっているつもりでも、相手とのやり取りの中でハッと気づかされることってたくさんありますよね。その感覚が『【推しの子】』の現場ではとても強くて、掛け合いの中で自分の輪郭ができていくような感じがします。
──潘さんにとって、有馬かなは本当に大きな存在なのですね。
潘:本当にそうですね。でも毎シーズン苦戦していますし、リテイクも重ねてしまって、「一回でできたらいいのに」と思うこともたくさんあります。ただ現場でスタッフの方にお話を伺うと、「本番のお芝居を受けて、こちらもまた変化していっているんです」とおっしゃってくだっさって。
描きたい方向性は決まっていると思いますが、それだけでなく私たちのお芝居によってもキャラクターがさらに歩き出していくのだなと、それを聞いて実感しました。声がついて初めて見えてくる部分があるというのは、まさにアニメの醍醐味ですよね。
これまでは針の穴に糸を通すような感覚だったものが、その先にはものすごく広い世界が広がっている。「これもありなんだ」「それもいいんだ」と、演技の可能性を感じる瞬間がたくさんありました。
──制作陣とのやり取りもあってのアニメなんですね。
潘:お互いに高め合っている感覚がありますね。これまでの積み重ねで、ここまできて圧倒的な信頼関係ができたからこそ、作り手の皆さんにどこ委ねて、私自身も自由に演じられているのかなと。本当に感謝しています。
そういった意味では、有馬かなにも通じる部分もありますよね。「私を見て!」と言っている時の彼女が一番輝くように、私も自由にお芝居をやらせていただけています。
──アフレコ現場でほかに印象に残っていることはありますか?
潘:1期の時から変わらない、和気あいあいとした空気ですね。時間が経って、作中で置かれる状況が変化していく中で、この変わらない雰囲気はとても安心できます(笑)。作品の中ではどれだけ過酷なことが描かれていても、マイクを離れて席に戻ると日常が戻ってくる。そのありがたさが、今回は特に身に沁みました。
あと、雑誌記者である板野役の中谷さんが本当に優しくて。役柄としては矢面に立つ立場ですが、本当に素敵な方でした。五反田監督役の加瀬さんもたくさん話してくださって、まるで五反田監督のようでしたし、鏑木さん役のてらそまさんも常に真摯に向き合ってくださって。それぞれの役柄の良いところがそのままその人に重なって見えるのも印象的でした。
──潘さんにとっての『【推しの子】』の“推し”は誰ですか?
潘:ミヤコさんが大好きです! 理由を言うとネタバレになってしまうのですが、物語の先を見据えたうえでの推しはミヤコさんですね。彼女だからこそできたことが、しっかりと届く展開になっています。
曲がりなりにもアイが生んだ子どもたちを、本当のわが子のように育ててきた。その姿は本当に、一人の人間としても、母としても立派だと思います。
──最後に、7話以降をより楽しむための注目ポイントを教えてください。
潘:「みんなアイのことが忘れられない」、ここがポイントですね。彼女によって巻き込まれた、あるいは関わらざるを得なくなった人たちがたくさんいて、でも彼女がいなければ誰一人として出会えていなかった人たちばかりなんです。そう思わせてくれる展開が続いていきますので、ぜひそこに注目していただけたら嬉しいです。
【インタビュー:西澤駿太郎 撮影:胃の上心臓 文:柴山夕日 編集:太田友基】


































