
「今の私にしか歌えない気持ち」から花開く「寄り添いのアーティスト」──「色とりどりの花を咲かせて大きな花畑を作りたい」春咲 暖さん1st Single「リミナル」インタビュー
“春咲の三原則”も抱きしめて「寄り添いのアーティスト」へ
──1st Single「リミナル」収録曲についてご紹介ください。最初に表題曲「リミナル」からお願いいたします。
春咲:重永サウンドとクールでカッコいい歌詞が一瞬で気に入って、歌うことが楽しみでした!
先ほどお話しした、私が思い悩んでいたギャップをこの曲で表現していくためには、今までみなさんの前では見せないようにしていた弱い自分も出してあげないと成り立たないのかもと考えて、特にAメロの歌い出しは弱気な私からスタートしています。
その後も弱い部分と強がっている部分が代わる代わるやってくる構成になっています。曲中で葛藤を繰り返しているのですが、その表現の練習が結構辛くて……(笑)。最初は普段隠している部分を出すことが嫌すぎて抵抗があったんです。
でもそんな自分も結局自分だし、ファンのみなさんにお見せしている力んでいる自分も自分。葛藤している部分をどちらも見てほしいと思いながら、頑張って歌いました。コンテンツのライブで自主練習をする機会が増えて、自分自身と向き合う時間が増えたからこそできる表現なのかなと思います。
レコーディングのときも繊細な部分をどのように表現するかについて、重永さんとご相談させていただきながら何度も録りました。技術面でも、サビのアクセントをセーブするなど模索を繰り返しましたので、どのような反応をいただけるのかが楽しみですし、多くの方に聴いていただきたい曲です。
──「Awaking Step」はいかがでしょうか。
春咲:私は春が好きで、お散歩やワークアウトも好きなので、そんなときに聴きたい曲にしたいと考えていました。「今日も一日頑張ろう!」のような、朝イチから聴ける元気な曲にしたかったのですが、みんなの背中を全力で押す曲は私の雰囲気には合わないかなぁと……(笑)。なのでふわっと吹く心地良い風のような曲を目指しています。聴いた人が「ちょっと頑張ってみるか」というテンションになってくれるような曲、というオーダーを重永さんにお伝えさせていただきました。
「Awaking Step」は歌詞も可愛くてお気に入りの一曲です。みなさんにもぜひお散歩や通勤通学中に聴いて「頑張るかぁ」と思っていただけるような曲になったのではないかと思います。
──「GATCHA」についてもお聞かせください。
春咲:ライブ映えするノリの良い曲を作りたいという想いがありました。私は踊ることが好きなので、みんなと一緒に踊りだしたくなるような曲にしたくて。
実はそのイメージを伝える前に(重永さんから)「GATCHA」というタイトルの仮歌がきていたんです。「GATCHA」というタイトルが良いし、サビ前のフレーズの〈ありったけで GATCHA!〉がキャッチーでカワイイなと。重永さんの中で「ガチャをコンプリートしたくて頑張る人の歌」というイメージとのことで、遊び心あふれる感覚を活かしたいなと思っていたんです。
また、私の中で「GATCHA」が「スイッチを切り替える音」に聞こえていて。ダンスをみんなで踊りたいという私の気持ちと、重永さんの遊び心がかけ合わさったら面白くなるのではと。ライブでも〈ありったけで GATCHA!〉で、みなさんのスイッチを入れるので、思いのまま踊って最高のダンスタイムにできたらと思っています。
思い思いのダンスを楽しむために、私自身の振り付けはお客さんといっしょに踊れるようには作っていないんです。「ノリノリで踊れるような振り付けをお願いします!」という要望を出したらとんでもないものが上がってきて、自分の首を締めています……(笑)。そんなワチャワチャ感も含めて良い曲になったなと思いますので、みなさんといっしょにライブ会場で盛り上がれたらと思います。
──改めて、完成した1st Single「リミナル」はどのような一枚になりましたか?
春咲:個性的な3曲が集まったと思っています。3曲すべて、私のやりたかったことが詰まった曲なので「今の春咲 暖ってこういう人です」という名刺代わりになるような一枚になりました。表題曲の「リミナル」は、今の私にしか歌えない気持ちが詰まっている楽曲なので、このタイミングで「リミナル」という作品をリリースできることが嬉しいです。
──今の春咲さんにしか歌えない気持ち。
春咲:基本的に自分に自信がなくて、私は何もできない人間だと思っているんです。そうすると「できる人」が羨ましくなってくる。できない自分とできる人を、よく比べてしまうこともあって。
10個あるうちの2個ができなかったとしても「8個できている自分」を置いておいて「2個できていない自分」を責めるクセがあるんです。自分を否定するクセ、人と比べてしまうクセ、そしてできていない部分を過度に隠したがるクセ……これらが、先ほど言ったニュアンスとは別のベクトルで自分の首を締めているなと気づき始めて、良くないかもと思いました。
そんな自分もひっくるめて私だから、できている自分だけを褒めるのも違うなと。できない自分にもフォーカスを当てて、どうしてできなかったのかの自己分析をした結果、昔より明るくなれた気がします。が、陽高(真白)さんというドデカい太陽が隣にいるので焦がされています(笑)。
でも自分と向き合う大切さは、向き合う時間を増やすことができたからこそ気がつけたと思います。昔と比べて少しだけ自己肯定感が上がった私が今の自分です。昔は“春咲の三原則”である「人と比べる」「自分を否定する」「できない自分を隠す」が主軸にあったのですが、今はそんな自分にストップをかけられるようになりました。自分で自分を励ますことを覚え始めた今だからこそできる表現が「リミナル」に詰まっています。きっとこれからも順当に行けば自己肯定感は上がるハズ……ですが、逆戻りする可能性もあるんですよね(笑)。ただ、そうなった自分も私なので、否定しないで頑張ろうと思います。
──春咲さんを応援するファンの方の中にも、もしかしたら“春咲の三原則”と似たものを抱えていらっしゃる方もいるかもしれません。
春咲:みんなを元気づけられるように、といったことは、今の私にはまだ言えないと思っています。ただ私と同じような想いを持っている人の隣に、ちょっとだけ肩が触れるような距離に座って「わかるよ」「大丈夫だよ」と寄り添えるようなアーティストになりたくて。悩みや陰りを吹き飛ばすことはできないかもしれないけれど、悩んでいる人の話を聞くことはできる。自信がない人の隣に座って寄り添うし、手を優しく握れるような存在になりたいと思っています。そうやって寄り添った人の元気が少しでも戻ってきたら「やるじゃん」と肩を組めるようにもなりたいです。理想像は「寄り添いのアーティスト」ですね(笑)。
──個人的に、一日の終わりに「あのとき、あんなこと言っちゃった……」などと反省会が行われることがあり、そんな夜にも寄り添ってくれるような春咲さんの存在はありがたいなと思いました。
春咲:その気持ちわかります……! ある日、真白と似たマインドの友だちにその相談をしたことがあるのですが「そんなに考えこまなくてもイイんじゃない?」と言われて「えぇ……?」と(笑)。ビックリしちゃいました。
でも、夜に考え事をしてしまうタイプの方も一定数いらっしゃると思うんですよね。だからこそ、寄り添える音楽が必要だと思うんです。
──陽高さんが「ドデカい太陽」だったら、春咲さんは優しい月の光なのかなと。
春咲:そんなに大層なものではないですよ(笑)。そこに咲いているタンポポくらいかなぁ。何もないアスファルトに一輪咲いていたら嬉しいじゃないですか。今はそれくらいかなと思います。ここからもっと大きな花になれるように頑張りたいと思います。
































