
岡咲美保が表現する“内なる光”と“等身大の葛藤”――パブリックイメージを鮮やかに裏切る2ndミニアルバム『MY GLEAM』制作秘話に迫る!
声優アーティスト・岡咲美保が放つ2ndミニアルバム『MY GLEAM』は、これまでの明るく元気でポップな彼女のパブリックイメージを、いい意味で裏切ってくれる意欲作だ。彼女がタイトルにある「GLEAM」という言葉に込めたのは、葛藤や迷いを含んだ「小さく煌めく光」。UNISON SQUARE GARDENの田淵智也をはじめ、自ら熱望したクリエイター陣と共に作り上げた、ボカロ曲のカバーを含む全5曲に投影されているのは、岡咲美保自身の内面の輝きであり、誰かの気持ちや思い出に寄り添う音楽そのものの輝きだ。その制作の裏側や自身の変化、そして初のライブツアーへの意気込みを語ってもらった。
“小さなきらめき”を集めた一枚――『MY GLEAM』に込めたコンセプト
──2ndミニアルバム『MY GLEAM』は、これまでの岡咲さんの作品とはまた違った、多彩な表情が見られる一枚だと感じました。タイトルにもある「GLEAM」は“きらめき”“輝き”を意味する言葉ですが、どのようなコンセプトで制作を進めたのでしょうか。
岡咲美保さん(以下、岡咲):「GLEAM」は、大きな輝きというよりは“小さく煌めく光”を表現する時によく使われる言葉で、今までの私の作品は明るくてキラキラした印象が強かったと思うのですが、今回は自己の内面にある光を投影できるような楽曲を集められたらと思い、『MY GLEAM』というタイトルにしました。
1stアルバム『BLOOMING』では私自身の“開花させたい気持ち”、2ndアルバム『DREAMING』では“夢見る気持ち”を中心に据えていて、前作のミニアルバム『SHAKING』は3rdライブ「Miho Okasaki 3rd LIVE 2025 ~ハートシェイキング~」と連動して心も体も揺らせるようなアクティブな楽曲を多めに収録していたなかで、今回は私自身を中心に据えるというよりも、楽曲それぞれが持つ光を表現してみたくて。今までの作品はコンペ主導で制作していたのですが、今回はカバー曲を除いて、私がお願いしたい各作家さんにお声がけして楽曲を書いていただきました。
ジャケット写真も、今までのパステルカラー満載な方向性ではなく、白と黒をベースに光と影で表現することで、自分自身の内側を覗かせるようなデザインにしていただきました。
──『MY GLEAM』の光とは、自分の中にある灯火のようなイメージですか?
岡咲:そのイメージに近いかもしれません。私自身は“内面にずっとある光”という捉え方をしています。人には爆発的に輝く瞬間があると思いますし、私もライブではそういう自分を見せたいですが、そこに辿り着くまでの葛藤もひとつの小さな光だと思うんです。自分自身がそういう解釈をできるようになったことが、今回の作品に繋がりました。
ジャケットの衣裳が白と黒の2パターンあるのも、どちらが良い悪いではなく、「両方あるからこその私」ということを表現していて。なので、あまり成功していない状態や、絶好調ではない瞬間を切り取った楽曲もありますし、憧れや夢に向かっていく過程の“輝き”に焦点を当てた作品になります。
──自分の中の葛藤やくすぶりを否定しない、ということですね。以前はそういった考え方は難しかったのですか?
岡咲:できなかったです。やっぱり「上手くできる自分」が好きでしたし、私は誰かに対して憧れを抱く気持ちが強かったので、学生時代はお友達の良いところと自分を比較してしまうことが多くて。もちろん、その分成長できた面もあったと思いますが、今は、自分が持っているものや開花する前のものも『MY GLEAM』だと感じています。
──表面上の輝きや華やかさだけではないものを表現したかったと。
岡咲:私自身、明るい曲も大好きなのですが、落ち込んだ時は自分のテンションとかけ離れた曲を聴くのが難しい時があるんです。その時々で色んな音楽に救われてきた中で、明るいだけでも暗いわけでもなく、ただ受け入れてくれるような音楽を表現してみたい気持ちがありました。
──岡咲さん自身は自分の気持ちが晴れない時、どんな音楽に寄り添ってもらっていますか?
岡咲:ここ数年はヨルシカさんをよく聴いています。自分の中のくすぶりや、言葉にすると過激に聞こえてしまうような感情も、音楽なら心にスッと入ってくる。n-bunaさんはもともとボカロPさんということもあって、私のルーツとも重なりますし、世界観やサウンドも大好きなんです。あとは、人の歌声を聴くことにさえ疲れている時はボカロ曲を聴きますし、逆にラップ系を聴いて気持ちを上げることもあります。梅田サイファーさんとか。
──おお! 意外なアーティスト名が出ました。
岡咲:自分の気持ちがくすぶっている時に、勢いのある音楽を聴くことで、自分の代わりに誰かが発散してくれるような気持ちになって救われることがあるんです。疑似体験というか、もしかしたら声優として役に入る感覚と似ているのかもしれないですけど、その世界にトリップできるのが音楽の良いところだと思うんですよね。今作では『MY GLEAM』というテーマのもと、失恋ソングから楽しい曲までいろんな曲があるので、皆さんにもそれぞれの世界を感じ取ってもらえたら嬉しいです。
──ちなみに、自分自身の“きらめき”“輝き”を磨くために普段から心がけていることはありますか?
岡咲:ステージに立っている時は、客観視している自分と楽しんでいる自分の両方がいるのですが、「こういう自分になれたらいいな」という理想の自分が一歩前を歩いている感覚があるんです。その自分の中の「輝ける理想像」になるために、ライブ中に一瞬迷いが生じた時は、必ず「輝ける理想像」になれる選択をするよう勇気を出しています。ステージ上では強くいることを常に癖づけているので、最近ではそれが板について自分らしさになってきたのかなと思います。
あとは、人に薦めてもらったことは即行動するようにしています。人から何かを教えてもらうというのは巡り合わせで、それは然るべきタイミングだと思うんですよね。時間を置くと機会を逃してしまいますし、今までの人生を振り返った時に、結果的に行動したほうが上手くいっている気がするので、出来る範囲ですぐ実践するようになりました。
──そういった何事も前向きに捉えて行動する精神は、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが提供した今作のリード曲「HAPPY LUCKY JET!!」に反映されているように感じます。
岡咲:確かにそうかもしれません! この曲は田淵智也さんが「ジェット(JET)」という言葉をキーワードに作ってくださったのですが、最初はもっとアクティブで元気な楽曲という印象が強かったんです。でも、私自身は夢や憧れの力が原動力になっているタイプなので、自発的に行動する言葉よりも「ハッピー」や「ラッキー」のような単語の方が自分に合っていると思い、私から提案させてもらって今の形にしていただきました。
──そもそも田淵さんとは、どのような経緯でご一緒することになったのですか?
岡咲:田淵さんの楽曲は学生時代から聴いていて、ご本人のやっているUNISON SQUARE GARDENはもちろん、戸松遥さんの「Q&A リサイタル!」や提供楽曲も好きだったので、アーティスト活動を始めた頃から、いつか田淵さんに楽曲を書いていただきたいと思っていました。
以前に私がレギュラー出演していた文化放送のラジオ番組「LIVE DAM Ai presents ANISON INSTITUTE 神ラボ!」に、田淵さんがゲスト出演されたことがあって、その時に「岡咲さんの楽曲、聴いています」と言ってくださったことがあったんです。当時はデビュー間もない時期だったのですが、もうすぐデビュー5周年でアーティストとしての輪郭がはっきりした今なら、田淵さんの音楽の力と自分の経験で良い化学反応が起こせるのではないかと思い、今回お願いしました。
──制作にあたって、田淵さんにはどんなことを伝えましたか?
岡咲:最初は田淵さんに書いていただけることに意味があると思っていたので、こちらから細かくお伝えするつもりはなかったのですが、田淵さんから「打ち合わせをしましょう」とご提案いただいて、1時間ほどみっちりお話させていただきました。その会話の中で私が普段聴く音楽や好きなものを引き出してくださって。そういった私の好みのメロディや人となりを踏まえたうえで、田淵さん節全開の勢いのある楽曲にしていただきつつ、歌詞の部分で『MY GLEAM』のテーマ性を表現する、という落とし込み方で作っていただきました。
──まさに田淵楽曲らしいハイテンションかつハイカロリーな曲調ですよね。
岡咲:最初はもっと「私について来て!」みたいなアプローチでいく案もあったのですが、私としては、自分が先頭に立って引っ張っていくというよりも、みんなと一緒だからこそ生まれるものを大切にしたい気持ちが強くて、縁や運も込みで舵を取っていく方が自分らしいと思うので、運命的に巡り会ったみんなと「一緒に行こうよ!」という方向性でお願いしました。その分、多幸感がさらに強まったと思いますし、ミニアルバムの1曲目から4曲目までで色んな世界観を歌いつつ、この5曲目で私の明るく元気なパブリックイメージとも絡めながら、『MY GLEAM』のテーマを回収していく。リード曲に相応しい曲になったと思います。
──歌詞のどんな部分に自分らしさを感じますか?
岡咲:基本はポジティブですけど、自分のネガティブな部分も分かっているうえで、そこを諦めて削ぎ落としていく感じが心地良いですし、今の私のテンション感を汲み取っていただいていると思います。特に“まあ人生まだ半ば 楽観視しながら行こうぜ 無限の果て”という歌詞は、色々考えてしまいがちな自分と、結果的に楽観視した方が上手くいくと分析して前に進む自分とマッチしていて、田淵さんの理解力がすごいなあと思いました。過去の楽曲や、昨年設立したファンクラブ「みほちゃんず桃源郷」とリンクするフレーズ(“桃源郷は今日もここだよ”)も入れてくださっていて、すごく愛を感じました。
──“桃源郷”という象徴的なワードがあることで、みんなと一緒にハッピーな空間を作り上げている感が出ていますよね。
岡咲:そうなんです!「みんなもいろいろあるだろうけれど、せっかく同じ時代を生きているんだから、一緒に楽しくしていこうよ?」みたいなマインドが感じられて。ファンの方との集合地点みたいな楽曲になりました。
──ちょっと横道に逸れますが、なぜファンクラブ名に「桃源郷」と付けたのですか?
岡咲:ファンクラブは、みんなが日常と切り離して安心できる癒しの場所、かつワクワクできる場所にしたかったのと、私はちょっと夢見がちなところがあるので、ファンタジー感のある名前がいいなあと思っていたんです。でも「オアシス」とか「楽園」も少し違うなあ、といろいろ悩んでいたなかで、私は岡山県出身なので「桃……桃源郷だ!」と思って(笑)。それと、私は書道家を目指していた時期があって書道が得意なので、「桃源郷」という漢字の並びが書道で書くと映えそうだなと思って「みほちゃんず桃源郷」と名付けました。実際にファンクラブのロゴは私が書いた字を使っているのですが、デザイナーさんが綺麗にロゴ化してくださったので、自分で書いたことを忘れていたくらい馴染んています(笑)。岡山への地元愛も表現しつつ、ファンのみんながあたたかく楽しめる場所になればいいなと思っています。
──いい名前ですね。「HAPPY LUCKY JET!!」の話題に戻りまして、この曲は歌うのが大変だったのでは?
岡咲:はい。息継ぎするところがわからなくて、レコーディングで歌い終えた後は、「サウナに何回入ったんだろう?」というくらいの整い方をしていました(笑)。楽曲自体のパーツが多くて、コーラスもたくさん録りましたし、私は基本的に録ったテイクをその場ですぐに聴かせてもらって、プロデューサーさんやエンジニアさんと吟味しながら良いテイクを選んでいくので、レコーディングでは結構時間をかけがちなのですが、この曲は過去最長の8時間くらいかけてRecしました(笑)。
──フレーズごとにいろいろな表現をつけることができて、遊び甲斐のありそうな曲ですものね。
岡咲:そうなんですよ。私としても、真っ直ぐ歌いたい気持ちもありつつ、普段は声優活動をしているので、歌い方に色を付けたいところがどうしても出てきてしまって。その塩梅もキャラソンとは違うので、「ここまで色を付けるとちょっと違うかな?」という感覚的な部分を含め、何回も聴きながらバランスを調整しました。
──それこそ「ねえ、見せて?」と聴き手に呼びかけるセリフパートもあるので、声優としての腕の見せ所だったのではないでしょうか。
岡咲:その部分は普段の私というよりも「ステージ上の私」というイメージで録りました。役を演じるのとはまた違う難しさがあって、この曲の世界観に染まったうえで一発録りをしたかったので、レコーディングの最後に録らせていただいて、実際に一発目のテイクが使われています。こういう部分のレコーディングは大体一回目に録ったものがいいんですよね……まあ、たまに一発目が良くないこともありますけど(笑)。今回は一発でバシッと決めることができました。
──流石です! また、この曲はMVも公開されていますが、着ぐるみのうさぎと共演していて、ポップでかわいらしい映像になっていますね。
岡咲:ジェット感もありつつ、ハッピーラッキーな映像になりました。あのうさぎさん、チーム内では「うさぎの目が笑ってなくて怖い」という話になっていて(笑)。でも私が「楽しい?」と聞いたら「楽しい」とうっすら聞こえたので、きっとうさぎさんも楽しんでくれていたと思います。仲良く撮影したのでご安心ください!
──アハハ(笑)。MVの中で特にお気に入りのシーンはありますか?
岡咲:全部お気に入りなのですが、ひとつ選ぶとすれば、2番に入るところの、それまではピンクの衣裳を着ていた私が、うさぎさんが映画のカチンコをパーンとしたら、赤の衣裳に変わっているシーンです。ピンクの衣裳は夢見心地と言いますか、普段の私に近い柔らかい雰囲気ですが、赤い衣装の時は「ここが私のステージ!」と気を引き締めている感じが出ていて、全体的にポジティブで明るい映像の中でキリッと締まる感じがあって、個人的にお気に入りです。
──赤の衣裳、素敵ですよね。
岡咲:おっ、赤派ですか?
──いや、ピンクの衣裳も好きなので選ぶのは難しいです(笑)。
岡咲:ありがとうございます! 私はどちらかと言うと赤の衣裳がお気に入りで、この間のDIALOGUE+さんとのライブ(2026年1月25日に行われた「DIALOGUE+WITH vol.7 -岡咲美保-」)でも赤の衣裳を着させていただきました。でも、ファンの方にはピンク派の方も結構いるので、またどこかで着られたらいいなと思っています。チームは私を含め赤派が多かったのですが、両方見せていければと思います!















































