
「音楽というものは劇薬に近い」──アニメ『違国日記』音楽担当・牛尾憲輔さんインタビュー【連載第5回】
実写版の音楽を頼まれたとしても、恐らく同じ曲を書いていたと思います
──アニメならではの魅力と言えば、まるで違国にいったかのようなイメージシーンもそのひとつです。序盤のイメージシーンでは特に色々なパーカッションが使われていると感じましたが、制作するうで意識されたことはありますか?
牛尾:めちゃくちゃエスニックな感じにしたいと思って。チャカポコ鳴るパーカッションを使っているのもそれが理由です。いわゆる西洋的ではない、中東だったりアジアだったりという雰囲気の音をミクスチャーして作りました。
一方で砂漠のイメージシーンは、シーンではなく、キャラクターの感情に沿って曲を書いているので、例えばエジプトっぽく、のような感じには仕上げていないんです。
──本作は、キャラクターの感情にそって曲を制作しているものが多い?
牛尾:そうですね。そういう曲が多いのかもしれません。
──牛尾さんはアニメに限らず、さまざまな作品の音楽を手掛けていらっしゃいますが、アニメ作品の音楽を制作するうえで、特別意識することはありますか?
牛尾:ドラマや実写との違いという意味では、ないです。一緒ですね。今回も実写版の音楽を頼まれたとしても、恐らく同じような曲を書いていたと思います。違いがあるとしたら、シリーズか映画かの違いですね。
──それはどのような違いが?
牛尾:シリーズの場合は映像がまだできていないことが多く、メニュー表に沿って曲を作ったり、こういう音楽が必要だということを想定したりして作ることが多いんです。一方で、映画は映像がある程度できた段階で音楽を作ることが多いので、シーンに当てはめて音楽を作っていきます。あとは、実写映画は楽曲制作段階で収録現場の効果音が乗っているわけですが、アニメの場合はダビングまでどんな効果音が乗るのか分からず、良い意味でも悪い意味でも清潔な状態である、という違いもあります。そういう効果音が乗っているかどうかは、制作に大きく影響しますね。
──楽曲を制作するまでに、実写映画の『違国日記』は参考に見ましたか?
牛尾:見なかったです! というのも(実写映画の音楽を担当した)高木正勝さんは僕が10代の頃から好きな音楽家なので、実写映画を見たらきっと高木さんが作った曲を踏襲してしまうと思って。ただ、高木さんと同じタイトルの音楽を作ることができたのは、とても嬉しかったですね。
──ありがとうございます。最後に、牛尾さんが思う本作の推しポイントを語っていただければと思います。
牛尾:繰り返しになりますが、地に足がついたキャラクターが物語に動かされているわけではない、彼らが彼らの世界で生活していると感じられるのが、本作の魅力だと思います。あとは、10代で読んだときと40代で読んだときで印象が変わるような、とても懐の深い作品だとも感じていて。アニメもそういう原作の魅力を損なわず、節度と品位をもって制作されているので、アニメ作品としても魅力的だなと思っています
【インタビュー・文:M.TOKU 編集:西澤駿太郎】
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『違国日記』作品情報
あらすじ
思いがけずはじまった同居生活によって、それまで静かだった槙生の日常は一変。他人と暮らすことに不慣れな性格のため、15歳の朝との生活に不安を感じていた。
一方、両親を亡くし居場所を見失った朝は、はじめて感じる孤独の中で、母とはまるで違う“大人らしくない”槙生の生き方に触れていく。
人づきあいが苦手で孤独を好む槙生と、人懐っこく素直な性格の朝。
性格も価値観もまるで違うふたりは、戸惑いながらも、ぎこちない共同生活を始めていく。
共に、孤独を生きていく二人の、手探りで始まる年の差同居譚。
キャスト
(C)ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会














































