
『劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』はこうやって作られた! アニメーション制作会社エイトビットのスタッフに聞いた、イメージボードや作画に関する作業の裏話は必見
2026年2月27日(金)全国の映画館で公開となった『劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』。
本作は原作・伏瀬/漫画・川上泰樹によるコミックスを原作にこれまでTVシリーズが第3期まで制作され、2022年には劇場版第1弾『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』が公開された大人気アニメ『転スラ』シリーズの最新作です。
アニメイトタイムズでは、その公開に先駆けてアニメーション制作のエイトビットさんに伺わせていただきました。
今回お話を伺ったのは、イメージボードに携わったpomodorosaさんと作画部の持田真治さん、そしてアニメーションプロデューサーの江口浩平さんです。
作品の世界観を広げるようなイメージボードの作業や、キャラクターたちの作画に関する作業……普段は絶対に見られない部分を明かしてくださったので、ぜひ作品とあわせて注目してみてください。
pomodorosaさんインタビュー
――担当されているイメージボードについてお教えください。具体的にはどのような作業なのでしょうか?
pomodorosa:イメージボードというものは、主に監督が絵コンテを作る時に作品をどんな世界観にしようか頭の中で思い描く時に手助けするものになります。「こういう世界観はどうでしょう?」とか「こういう風なシーンがあるんじゃないでしょうか?」とか、そんな形の提案をするのが役割になります。作品によってはプロットレベルからお話が進むこともあるのですが、そのイメージや制作に関わるみんなが考えていることをまとめるような仕事だと考えてもらえればと。
――本作の舞台となるカイエン国はどんな感じでイメージを膨らませていったのでしょうか?
pomodorosa:私が携わった時点で、コンセプトアートを務めるロマン・トマさんがカイエン国のことを色々と描いてくれていました。私はそこに人が走っていたらとか、そこに住んでいる人の生活みたいなところを描き起こしました。
▲pomodorosaさん
江口:主にキャラクター同士の関わり方だったり、そのためにどんな場面が必要なのかを考えてくださった感じです。なので、かなり初期段階での作業がほとんどで、本編の物語の裏でどんなことがあったのか、その人たちはこんな生活を送っているのでは?という世界観を広げるためのイラストを描いていただきました。
pomodorosa:カイエン国にもし音楽家がいたら、どんな人なのかを考えて描いてみたりもしましたね。
江口:原作はありつつもオリジナルの世界観となる本作を制作するとなった時に、やっぱり物語や世界観に深みを与えたかったんです。だから、本当にそこで生活している人がいるような感覚を出したいと考えると、シナリオ以外のところでも厚みを持たせたいなと思っていました。
▲江口さん
――キャラクターたちの衣装デザインを提案したりもするんですね。
衣装バランスについては“バカンス”というオーダーがあったので、私なりの解釈でバカンスを楽しむリムルたちを描いていきました。
おおむね基本的なシルエットを描いて、大体どれくらいの大きさなのかバランスを見ながら調整していたり。キャラクターの身長差などを確認できるのでこうやって並べながら作っていました。
――こういった衣装デザインは何を参考にされているのでしょうか?
pomodorosa:女の子のファッションを描くのが好きで、昔そういった画集を出したこともあるんです。そういった古今東西の服に興味があり、色々と混ぜ合わせて出したイメージになっています。
――今回の衣装デザインで特に気に入っているキャラクターは?
pomodorosa:個人的にはハクロウが凄く好きです。だけど今回大活躍のゴブタくんの服もかなり気に入っています。ゴブタならバカンスでこういう格好をするだろうなと思ったんです。
――女性キャラクターだと誰になりますか?
pomodorosa:エルメシアがお気に入りです。元々バカンス色の強い上流階級的なキャラクターなので、本編からのイメージやニュアンスは崩していません。十八世紀~十九世紀くらいの貴族のお嬢様のシルエットみたいなところをイメージしました。
――キャラクターの生まれた国や地域、文化の違いによって衣装も変わってきますものね。ちなみに、描いていて難しかったキャラクターはいますか?
pomodorosa:それはなかったのですが、リムルの周囲の女の子たちの肌の露出については少しやりとりがありました。いくらシオンでもここまで大胆にはならないだろうとか、そういう布面積を調整しつつ、コンセプト自体は割とそのまま受け入れてもらっていました。バカンスをキーワードにしてその最大公約数を求める作業とでもいえばいいのでしょうか。
先ほどエルメシアは十八世紀や十九世紀の貴族がイメージだとお話ししましたが、例えばハクロウならバカンスというキーワードは同じでも、マイケル・ジャクソンさんのイメージなんです。スムース・クリミナルの頃のマイケル・ジャクソンさんのイメージに中尾彬さんを足すような形でイメージをミックスしたり、そういった要素をあわせつつ統一感を出すようにデザインしていました。
――今回のヒロインであるユラのデザインについても伺えますでしょうか?
pomodorosa:アバンでアクションしているユラのシーンは僕の衣装デザインを取り入れてもらっていました。イメージボードとして描いたものがそうやって採用されている……なんてこともありましたね。
――原案の絵をアニメーションに落とし込む上でどういったことを意識していますか?
江口:原案は原案として大切にしつつ、やっぱりアニメーションとして動かす上で必要な設定にしないといけないんです。
例えば、柄物の服はアニメーションを作る上で難易度が高いんです。今回の『蒼海の涙編』だと約6万枚ほどの作画枚数があるのですが、それだけの枚数を描くことを想定したデザインにしておかないと、描ききることすら難しくなってしまうし、描いた後もリテイクが出てしまう。
実際、TVシリーズだと1話ごとに作画枚数4000枚~5000枚なのですが、それをアニメーションとして動かす時にどうやって動かしやすいよう省略しようかとか、張り込みにしようかということを検討したりしています。
pomodorosa:逆に私はアニメの現場に詳しい訳ではなかったので、動かすという前提がわからないからこそできる無茶なデザインもありましたね。こんなの動かせないと言われるまで気付かないこともありました。
江口:ただそういった事情にとらわれずにpomodorosaさんに自由に発想してもらえて、とても面白かったですよね。そもそも無いものを足すよりも、有るものをどうするか。を考えた方がやりやすいのもありますし。
――ありがとうございました!







































