
物語の結末が公演会場で決まる「制作参加型の朗読劇プロジェクト」──あなたと紡ぐ朗読劇『物語の魔法屋 -写世の僕から 現世の君へ-』沢城千春さん、山谷祥生さん、高塚智人さんインタビュー
山谷さん「凄いなと思ったし、大変そうだなって思いました」
――『物語の魔法屋』は、公式 SNS 等での複数回の事前投票の結果が作品内容に反映されるという、制作参加型の特殊な朗読劇プロジェクトです。事前投票の内容は、物語の舞台やキャラクターの名前・容姿・設定・行動など、多岐にわたります。本企画について、どのような印象をお持ちになりましたか?
リベル役・山谷祥生さん(以下、山谷):率直な感想としては、一言で斬新だなというふうに思いました。「ちょっとお客様参加型にしようみたいな一工夫があって、一瞬分岐するけど合流する場所は一緒」、みたいなものは、何度かやらせてもらった経験があるんですけど。完全に皆さんの投票によって物語が分岐していくシナリオ自体もそうだし、キャラクターの容姿とか名前っていうものすらもお客さんに決めてもらうっていう試み、コンテンツっていうものに参加させてもらうことが初めてなので、凄いなと思ったし、大変そうだなって思いました。それが最初の感想でした。
――ありがとうございます。続いての質問です。2026年の5月24日に行われる本朗読劇公演では、当日会場にて「最後の調合(投票)」を実施して、その結果によって登場人物の行く末が大幅に変化します。「キャストの皆様も開演直前までどの結末を演じることになるか分からない」という朗読劇は珍しいかと思いますが、どのような印象をお持ちになりましたか?
山谷:珍しいというか、少なくとも僕の知ってる範囲ではもう本当にないんじゃないかなって。凄いなと思いつつ、そうですね、やっぱり物理的に読む量が2倍に増えるところは別に大変とは思わないですけど、ちょっとドキドキはあるのかな。大体の朗読劇ではあらかじめ決まってるところが、読んでも最後まで分からないっていうのは、僕らも結構独特というか、初めて経験する緊張感があるんじゃないかなと思ってて。
その結果、『物語の魔法屋』という枠組みの第一弾(『月明かりの迷い子たち』)で、どれぐらい皆さんがアドリブをされていたかは分からないんですけど、その台本に沿ってわりかしきっちりかっちりやるのかとかは気になります。とはいえ、ノアだからなぁ。
――(笑)ノアだから、ですか?
山谷:ちょっとメタっぽい話になっちゃいますけど、(ノアを演じる)(沢城)千春君とかは、本人のパーソナルとか普段の感じを想像すると、結構アドリブ入れがちというか入れちゃいがちというか、なんかこう、伸び伸びと演じられるタイプでもあるので。ただやっぱりノア君っていう枠がしっかりあるので、彼のその、なんというか騒がしい部分が封じられるとも思うので、わりとしっかり台本に沿ってやるのかなとも思いつつ。
だから本当にみんながどういうお芝居をするのかとかも、分岐することによって直前まで分からないから、より良い意味で不鮮明になると思うんで、そこはなんて言うんでしょうね、予定調和じゃなくて、演者としても結構ドキドキ、良い意味でのドキドキがすごい楽しみだなというか。ステージの上に立つまでみんながどういうお芝居をしてくるかとかも、ちょっとまだ分からない部分は大きいと思うので。そこのライブ感というか、その場で生まれるものみたいなものは大切にしながら、皆さんにお届けできたらいいなと思います。
――ありがとうございます。続いての質問です。まさに今、調合作業(事前投票)を行なっている最中のため脚本がまだ完成していないのですが、ご自身の演じられる「リベル」について、現段階ではどのような印象でしょうか?
山谷:勝手なイメージというか、設定上ですけど、ノア君があんまり、こう、なんだろうな、どう考えてもパリピじゃないというか。友達多いタイプではないじゃないですか。口数も多いのか少ないのかちょっと分かんなくて、なんかモノローグ多そうだなっていうイメージを、勝手ながらキャラ絵から想像させてもらいました。(ノアの姿は)制服だと思いますけど、黒を基調としてて、ちょっと大人しめ、髪色とかクールな印象だったので。
それに対してリベル君は表情担当というか、表情豊かに感情豊かに、色々こうノア君に伝えてあげたり誘ったりとか。明るさとかいろんなこう、とにかく表情を担当するキャラクターだろうなって思うので。その辺の違い、ノア君との対比が凄く重要かなって。ヴィアはヴィアできっとキャラ絵通りというか。設定でも確か高らかに喋るみたいな。
――そうなんです。ヴィアは不思議な格好をしていて、大げさな口調で話す青年です。
山谷:はい、キャラ絵から伝わってくる、何て言うんでしょう、リベル君のそういった部分、感情豊かな部分とかは、物語上の緩急として凄い重要だと感じてて。勝手な想像でしかないですけど、そこをしっかり演じたい、しっかりおさえておきたいなって思いましたね。
あとリベル君は、X(旧 Twitter)上で公開されてる範囲だと、「鏡の中に閉じこもった少年」で、そこ(鏡の中)から出てくるようなことが書かれている設定が今のところないじゃないですか。それなのに、イラストの凄く明るそうな表情、もう満面の笑顔っていうところが気になってます。閉じこもったっていう表現だと、現世の方にも存在はできるけど、自分の意思で鏡の中に引きこもっちゃっているのか、出られないのか、なんらか理由があって閉じ込められちゃってるのかとか。鏡の中でしか存在できないとか?
とにかくその理由って、やっぱりちょっとネガティブだったり後ろ向きな理由かなって想像してしまうんですけど、それにもかかわらずやっぱ笑顔だったりするから、その複雑な心境や、笑顔の裏に隠されたちょっと影の部分とかはどうなってるのかなと。言葉が合ってるかは分からないですけど、それを知ることができるのは楽しみだし、また演じられるのも楽しみだし。この笑顔の裏にどんな辛い過去、バックボーンが秘められているのかなっていうのは、凄く気になりますね。
――細かいところまで、本当にありがとうございます。続いての質問です。やや難しい質問で恐縮ですが……。今作『写世の僕から現世の君へ』には、「鏡に映らなくなった少年・ノア」と「鏡の中に閉じこもった少年・リベル」と「鏡の中に引き込んだ青年・ヴィア」の3名のキャラクターが登場します。「鏡」がきっかけとなって展開していく本作ですが、山谷さんは「鏡」から連想することや思い出、エピソードなどはありますか?
山谷:鏡ですよね。確かに難しいですね。特にそのエピソードとかも何もなくただの連想で言えば、映し鏡とかミラーリングとか。あとは、鏡に映った自分の方がよく見えるみたいな、心理効果? 心理学的な話を昔聞いたことがあって。リベルは普通に存在してるんだと思ってますけど、なんか、(リベルは)ノアにとってのなりたい姿だったりするのかな、みたいな。勝手な想像ですけど。
見た目は全然違いますけど内面的な部分でこういう人に憧れているみたいな、こう願望というか、妄想みたいなものが、もしかしたらあったりもするのかなって。ないとは思うんですけど、そんな世界線もあったりするのかなと思ったり。
全然物語に関係ないところで言えば、結構ホラーとか心霊ものが好きなんですけど、鏡ってどっちのジャンルでも描かれがちで。鏡が別の世界とつながっていたりとか、ちょっとこう、怖いものとして扱われる作品もあれば、鏡自体がセーブポイントというか聖域になっていて、鏡の中に映っている自分を見て、そこにいれば安全みたいな、守られる場所、聖域みたいな描かれ方もされている作品とかも多くて。
捉え方によって全然違うものになるのが、鏡なのかな、と思いつつも、今作だとやっぱりポジティブなものだと思ってますね。鏡の中に囚われてしまうって、普通に考えたら凄い怖いことだとは思うんですけど、そこでしか出会えない大切な友人、リベルとの再会もあるからかも。
――ありがとうございます。それでは最後に、公演を楽しみにしてくださっている皆様に一言お願いいたします。
山谷:はい。最終日である公演日にエンディングが決まるって、本当に僕としては初めての試みというか、挑戦させてもらう気持ちですが、やっぱりドキドキの方が凄い大きいです。あとは、事前投票がまだ終わっていないこともあって、(キャラクターの)背景が現状で確定しているわけではないので、キャラクターの輪郭であったり、魂というか、決まっていない部分を、どうやって自分たちで補完していくか。
その結果、僕は僕でリベルを演じさせていただいて、(沢城)千春君がノアを、たかぴ(高塚智人さん)がヴィアをどういう風に作りこんでくるのかっていうところが、共演させてもらう人間としては凄く楽しみです。初顔合わせで、今の僕のリベルもまた変わってくるとも思うので、やっぱり役割っていうものがあるのかな、なんて考えたりして。
2人の作ってくるそれぞれのキャラクターも楽しみですし、皆さんが最終的にどういうエンディングを選ばれるのか、どんな終わり方を望むのかっていうのは、本当にその時になってみないと分からないので、公演日の最後までそこを楽しみに脚本を読んで、皆さんが選んでくれた、この『物語の魔法屋』の第2弾『現世の僕から現世の君へ』を楽しんでいただけるように作りこんでいこうと思っているので、是非楽しみにしてていただけたらと思っております。



































