
春アニメ『マリッジトキシン』石谷春貴さんインタビュー|下呂ヒカルは「最初から完成されていない」キャラクター、「ヒーローっぽい一面」と「素の彼がこぼすひと言」に注目してほしい
下呂の「ヒーローっぽい一面」と「素の彼がこぼすひと言」に注目してほしい
──ここまでのお話で、石谷さんはアフレコの準備とかも好きなんだろうなと感じました。
石谷:あははは(笑)。いや、昔に比べたら全然です。昔は役をやるとき、メモ帳を1冊全部使うくらい準備をしていましたから。でもそれは頭の中でやればいいし、現場に行かないとわからないことも多いんですよね。方向性を固めすぎても大変なので、現場で面白いこととか、他の人を見て思いついたことなどをすぐにできるようにしていたら、わりと自分の中でいらない情報もあることがわかってきたんです。
ただ、もともと僕はお話を考えるのが好きで、自分で物語を書いたりもしていたので、そういう設定を深めることは好きなんだろうなと思います。なので、原作の先生とお話しする機会があったりすると、「この人はこういう人間なんですか?」とすり合わせて、違っていたら修正したりすることはあります。
──原作者に聞けば間違いないでしょうからね。
石谷:もちろんアニメで見せたいのはここだからという部分は、堀(元宣)監督をはじめアニメのスタッフさんと一緒にお話しをしたりします。原作に寄り添っていくのはもちろん大事ですが、それを超えるものにしないといけない瞬間は絶対にあるので、そこでは自分なりのものを出すようにしています。
──下呂家の跡継ぎ問題を解決するために、結婚詐欺師である城崎と手を組み、下呂ヒカルが婚活していくという物語の流れがありますが、これからアニメを観る方に下呂のどんなところを見てほしいですか?
石谷:戦闘は彼がすごく自信を持っている部分だと思うんです。プロの殺し屋としての仕事は彼が一番輝く瞬間で、それで誰かを救うというのが城崎が出した婚活プランだったりするので、そこが序盤で下呂が魅力的に見える部分だと思います。そういう「ヒーローっぽい一面」を婚活相手たちと一緒に見つけて、「下呂くんって良いな」と思ってもらえたら良いのかなと思います。
あと、ポロッとこぼす彼のひと言も見てほしいですね。それは彼の素だったりしますし、彼の人たらしな部分だと思うんです。たとえば「俺はそうは思わないけどな」のひと言で救われる誰かがいるとか。そういうところもカッコいいですよね。
──周りに流されない、芯がある人はカッコいいですからね。
石谷:そうなんです! あと、表情がコロコロ変わる。ヒーローだけど人間臭さがあるというのが彼の魅力なのかなと思います。自分の考えはしっかり持っているんですが、物語の中では芯や自信が揺らぐ瞬間もあったりするので、ものすごく人間的な魅力に溢れていると思います。
──最初のほうは、女の子に対してうぶな感じでしたが、そこはお芝居をしていても面白かったですか?
石谷:中学生の頃の自分を見ているかのようでした(笑)。あの頃は女の子とどう話していいかわからなかったですからね。僕、部活以外の学校生活はずっと机で寝ていたんですよ(笑)。しかも男4人兄弟の長男で、周りに女性が母親しかいなかったですし。
小学校の低学年までは女の子とも話せましたが、高学年になってからはどう接したらいいかわからなくなってしまって話せなくなったんです。それは高2の陸上部を辞めるまで続いたので、女子とは本当に話せなかったです。
──何を考えているか、全然わからないですからね。
石谷:でも高2からは声優を目指すことにしたので、そこからはコミュニケーション能力を付けなきゃ!と思って、昼休みに別のクラスに行って、男女関わらず話しかけるということをしていました。いきなり別人になった?と思われましたが、頑張ってコミュニケーション能力を付けていったタイプなんですよね。
──やっぱりやることが論理的で、それを実行するのがすごいです。
石谷:背水の陣じゃないですが、どうせ地元は出ていくし、みたいな感じだったんですよ(笑)。
スタッフ陣と一緒に“120点”を求める現場
──パートナーとなる城崎を演じる若山詩音さんのお芝居を聞いたときはどう思いましたか?
石谷:若山さんは、自身が思っている芝居がちゃんとある方なんですよね。その上で、ギャグシーンでの芝居の上への行き方がすごいなと思いました。
最初、お互いキャラクターを作っていく中でお話ししたんですが、話数が進むにつれて、若山さんからも僕の芝居の方向性、下呂くんってこういう感じですよねというのを考えてくれてましたし、僕も城崎ってこういう感じだよねというのを考えていたので、掛け合いのテンポも上がっていきました。
最初は二人のベースがありつつ、城崎がすごく上のほうで遊んでいるような感じだったんですが、そこに下呂もパートナーとして寄り添えるようになっていった気がします。
──石谷さんと若山さんの呼吸が合ってきたんですね。
石谷:一度スタッフさんも交えてご飯に行きましたし、そのあとも他の現場で一緒になったり、朗読劇をご一緒したりしたので、いろいろ話ができたんですよね。そこで、下呂と城崎はバディ感が増していくけど、果たして2人はバディというだけなのか? もしかしたらバディ以上かもしれないよね、とか原作の話をすることも多かったんです。
お芝居をする上でも、ここはどうする?と話したり、あえて話さなかったり……そういうやり取りを経て、城崎はこういう感じで来るのかなって頭の中で浮かぶようになってきたので、そこが若山さんのパワーなんだろうなとすごく感じました。
──若山さん本人は感覚派だとおっしゃっていたのですが、それに関してはいかがですか?
石谷:感覚派だと思います。バチッと決まるときのハマり方がめちゃめちゃ感覚派っぽいんですよね。
──そういう意味では相性がいいのかもしれないですね。
石谷:そうですね。でも自分も「テストで出してみないとわからん」と思いながらやっているので、論理的に考えつつ、考えたことはマイク前では捨てるようにしているんです。結局受け取ったものが全てなので、そういう意味では似ているのかもしれないです。
──考えてから捨てるというお話は、役者さんからよく聞きます。
石谷:考えることは大事ですが、現場には予想外のことが絶対にあるので。最初から周りと揃えられたら100点だと思いますが、アニメのスタッフさんたちと一緒に求めるものって120点なので、みんなで録るという収録形態でやっているのならば、現場で生まれた良さを求めていくのが大事だと思います。
──スタッフさんの熱量の高さを感じることも多いですか?
石谷:スタジオのブースで監督たちがディスカッションしているのを聞くことはできないんですが、ブースの外でこれからの展開などを話しているとき、すごく楽しそうなんですよね。それがやっぱりこちらのモチベーションにもつながるんです。原作を読み込んでいるファンであり、それをより良くしたいと思っている方々でもあるというのが垣間見えるので、こちらも頑張ろう!と思います。
──そうなると、ブースでの会話も聞きたくなりますね(笑)。
石谷:僕らがいるスタジオの中からちらっとブースのほうを見ると、真剣な顔で皆さん話してらっしゃるので、そこでの映像や音も聞いてみたいなと思う瞬間は確かにあります。
あと熱量でいうと、『マリッジトキシン』が良いと思ったスタッフが集まって、アニメでどう見せたいのかという集合体が台本になり、アニメーションになっていくので、台本からも「どう見せたいか」って結構見えるんです。なので、台本からも熱量を受け取っていたりします。
──第1弾PVの時点からすごかったですね。
石谷:本当にありがたかったです。動いている映像を見たとき、直前までアフレコをしていたんですが、若山ちゃんと「動いてましたね…」とびっくりしてしまったんです。アニメの色使いもすごくきれいなので、そこは注目してほしいです!
──少し内容から外れた質問になります。第1話で下呂が本音を叫ぶシーンがありますが、石谷さんがささやかな幸せを感じる瞬間って、どんなときですか?
石谷:家でお酒を飲みながらアニメを観たり、ゲームをしているときです(笑)。もともと僕はアドベンチャーゲームとかシミュレーションゲームが好きだったんですが、自分が出た作品は、どういうふうに聞こえているかを知りたくて、だいたい確認をするんです。もちろんそこで反省もするんですが、それって自分が昔思っていた夢を叶えている瞬間だなと思ったりもするんですよね。
ゲームの収録ってだいたい一人なので、それが組み合わさったときにどうなっているかわからないし、アニメもアフレコをしたあとに画と音楽が付いて完成する。それを確認しているのって、20年前の自分は思ってもみなかったことなんです。なので、美味しいものを食べながらアニメを観たりとかゲームをしていると、「あぁ、いいな……」と思う瞬間が時々あります(笑)。
──「俺、夢叶えたんだ……」みたいな。
石谷:そうです。俺、夢叶えとるーっていう(笑)。あと、ここのアニメのカットが好きとか、この音楽の入り方めちゃめちゃ好き!とか。そういうのを見つけた瞬間も結構幸せを感じたりします。
あとは散歩しているときですかね。夜散歩して、普段は行かないちょっと良いところでご飯を食べたりするのも好きです。「大人になったなぁ」って、天ぷらとか食べながら思ったりします(笑)。
──では最後に、作品のファンへメッセージをお願いします。
石谷:原作の方々、アニメスタッフの方々、それぞれの熱量と愛情がたくさん詰まったアニメーションになっています。キャストもキャラクターのことをいろいろ話したりしていて、「こういうところが良いよね!」という会話が飛び出す現場になっています。その熱量と愛情は、アニメでしっかり受け取っていただけると思っています。
また、アニメから『マリッジトキシン』を知る方にとっても、すごく入りやすい作品になっているので、応援とご視聴、よろしくお願いいたします!
作品情報
あらすじ
その中でも最強の力と権力を持つとされる五大名家の『毒使い』。その血筋を受け継ぐ青年・下呂ヒカル。
裏稼業に身を置き、女性と関わることなく生きてきた彼にとって“結婚”とは縁遠いものであった。
しかし、『毒使い』の血を絶えさせないため下呂家の当主は彼の妹に対し、強制的に跡継ぎを産ませることを通告。
そんな時、下呂は仕事のターゲットとなる凄腕の結婚詐欺師・城崎メイと出会う。
後継ぎ問題を解決し妹を守るため、自らが結婚することを思いついた下呂は、その場で城崎に結婚の手伝いを依頼する。
「――そんな提案(プロポーズ)、初めて」
かくして、凄腕結婚詐欺師・城崎をアドバイザーに、一流の殺し屋・下呂は人生初の超難関ミッション『婚活』を始めることとなり…!?
目指すは最高の結婚…
殺し屋×結婚詐欺師の最強バディが挑む、世界一ハードな婚活バトルアクションが幕を開ける‼︎
キャスト
(C)静脈・依田瑞稀/集英社・マリッジトキシン製作委員会



































