『左ききのエレン』原作者・かっぴーが明かす、“夢と才能”の向き合い方

“天才は状態である”――春アニメ『左ききのエレン』原作者・かっぴーが明かす、“夢と才能”の向き合い方

毎週火曜24時~テレ東系列にて放送中のTVアニメ『左ききのエレン』。“天才になれなかった全ての人へ”というコピーが表す通り、才能というものにフォーカスした青春群像劇だ。何かに対して、真剣に取り組んできた人、夢を追いかけたことがある人にとっては、時に心をえぐるようなシーンがあるかもしれないが、その先に何か見えてくるものもあるはずだ。今回は『左ききのエレン』の原作者であるかっぴーさんに、漫画を描いたきっかけから、夢についてまで、じっくり語ってもらった。

 

関連記事
左ききのエレン
高校生活も半分が過ぎ、誰もが本格的に進路を考えはじめる頃。デザイナーになるため美大を目指す朝倉光一は、ある日、美術館の壁に殴り描きされたグラフィティに衝撃を受ける。描いたのは、ある出来事をきっかけに才能を封じ込めてきた、左ききの女子高生・山岸エレンだった。いつしか二人は「描く」ことを通じてお互いを認めあい、光一はデザイナー、エレンは画家への道を歩み始めるが――。作品名左ききのエレン放送形態TVアニメスケジュール2026年4月7日(火)~テレ東系列にて【1週間限定先行上映】2026年3月27日(金)キャスト朝倉光一:千葉翔也山岸エレン:内山夕実加藤さゆり:石川由依岸あかり:関根明良神谷雄介:興津和幸三橋由利奈:天海由梨奈柳一:遊佐浩二流川俊:新垣樽助朱音優子:結川あさき佐久間威風:松田健一郎スタッフ原作:かっぴー「左ききのエレン」監督:鈴木利正シリーズ構成:岸本卓アニメーションキャラクター原案:後藤隆幸キャラクターデザイン/総作画監督:福地祐香 玉井あかね色彩設計:関本美津子美術監督:佐藤豪志美術設定:小幡和寛撮影監督:有村駿編集:増永純一音響監督:明田川仁音楽:パソコン音楽クラブアニメーション制作:シグナル・エムディ Produc...

 

本気を出して諦める

──『左ききのエレン』を描こうと思った経緯を教えてください。

かっぴーさん(以下、かっぴー):描いた当時、僕はまだ会社員で、それこそ物語の舞台になっている広告業界で働いていたんです。そこではトップのクリエイターでもなく、どちらかと言うとパッとしない、その他大勢のクリエイターとして働いていたのですが、趣味で漫画を描いていたんですよね。同僚に見せて内輪で楽しむくらいのものだったんですけど、ある日、その同僚の一人が、デザイナーを辞めると言い出したんです。

それを止めたいという気持ちはありつつ、本人が決めたことだし、僕と同じでちょうど30歳になる年齢だったので、毎日毎日本気で働いて、30歳を前にした決断は、それはそれでカッコいいと思ったんです。それで「本気を出して諦める」ことを肯定したいと思い描いた漫画が『左ききのエレン』の短編です。

それまでは、ギャグ漫画を描いて笑ってもらう感じだったけど、初めて描いたシリアスな漫画で、それを描いたときに、これは物語として長編でも描けると思ったんですね。で、たまたまそのとき「note」という媒体で作品を公募していたので読み切りを描いたら、そこで賞をいただき、そこから連載にしようと思いました。

──描いたときに、自分のこれまでの経験を漫画にできるという感覚があったから、長編でも描けると思ったのですね。

かっぴー:この業界のことや美大生やクリエイターのことだったら、誰よりも描けるなというのは、確かにありましたね。

──その業界での経験がないと、描けないような内容だと思いました。内部のことがすごくリアルに描かれていたので。

かっぴー:実際に「社会人描写がちゃんとしている」と言ってもらえることも多かったです。イメージで描かれている漫画もあると思いますけど、その点、僕はよく知っていることなので、「営業ってこういう感じだよね」というリアルさがあると思うし、そこには自信がありました。

──編集&デザイナーと営業の衝突とか、出版社ではよくあることですからね。また、キャラクターがとても魅力的で、描写もリアルなので、本当にこういう人がいそうだなと思いました。どのキャラクターも自分の一部が入っているという発言もされていたと思うのですが、キャラクターを生み出すときに大事にされていることはどんなことですか?

かっぴー:自分でキャラクターを作っている、生み出しているという感じでもないんですよね……。「そこにいるキャラクターを出す」という感じなのかな。登場する目黒広告社とかは頭の中にあるので、まだ出てきていないキャラクターも、そこで働いている感じなんです。

たとえば、岸あかり(カリスマ的人気を誇るファッションモデルで、桁違いの才能の持ち主)も、作ろうと思って出したキャラではなく、普通に出てきて、学生時代編にしか登場しないと思ったら、結局最後まで出てきたり。そういう事がよくあるんですよ。出てきたあとに、キャラクターとぶつかったり、あるいは仲が良くなったりして、カメラの前に残り続けることが。

──キャラクターの表を作って、設定を箇条書きにするとかではないんですね。

かっぴー:設定とかは考えたことがないです。出てきた順に、このキャラクターだったらどうするかなというのを考えていくと、キャラクターになっていくので、ちょっと独特なのかもしれません。それもあってか、僕のキャラクターは誕生日をほとんどわからないんですよ。誕生日って、設定で決めようと思わないと決められないので(笑)。

──では、営業の部署にはこういう人がいて……くらいのところから始まっていくのですね。

かっぴー:そうです。その部署の人を出そうと思ったり、岸あかりなら、モデルの子を出そうと思ったところから始まる感じです。神谷(目黒広告社のクリエイティブディレクターで、光一の先輩)も、第1話を書いている時点では、それ以降に出る予定もなかったんです。

──だいぶ主要キャラですよね(笑)。

かっぴー:そうなんです(笑)。

──きっかけがあって登場してからは、勝手にキャラクターたちが動いて、育っていくんですね。その中に自分の一部があるな、という感覚もあるのですね?

かっぴー:大抵のキャラクターには、自分の要素が入っていると思います。ただ、岸あかりとかは、まったく共感できないですけどね(笑)。理解はできるという感じです。

──エレン(左ききの天才画家)は、どうですか?

かっぴー:エレンも最初はわからなかったんですけど、途中からわかるようになってきました。自分は『左ききのエレン』を描き始めて、会社員でなく漫画家になったので、そこが大きかったと思います。

描いているときも、最初は光一(目黒広告社に務めるデザイナーで、エレンと高校時代に出会う)のことばかりで、光一のことしか見えていなかったんですけど、だんだん光一と距離が生まれてきて、今はどちらかというとエレンのほうに共感できるようになっていったんです。

──社会人とクリエイターだと、まったく視点が変わりますからね。

かっぴー:作家として食っていく大変さとかがわかるので、光一は、代理店に勤めながら贅沢なことを言ってるな、みたいな気持ちになるんですよ(笑)。そういう行ったり来たりはありますね。

だから描き始めたときは、光一という男がエレンに救われる話なんだろうなと思っていたんですけど、途中から、エレンも光一に救われているんだなと思うようになったんです。それがわかったのは、僕が専業で漫画を描き始めたからで、会社員の片手間で描いていたら、こういう結末にならなかったと思います。

──そうやって話まで変わっていくのは面白いですね。

かっぴー:光一が子育てに悩まされているとかも、結構自分の世界も入っているから、そういう意味では、そのときの自分を投影できる気持ちを描いているところはあるかもしれないですね(笑)。

 

関連タグ
おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2026年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年秋アニメ一覧 10月放送開始
2026春アニメ何観る
2026春アニメ最速放送日
2026春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
放送・放送予定ドラマ作品一覧
平成アニメランキング