
「戦いたくない青いウルトラマン」が出来るまで――『ウルトラマンテオ』二宮崇監督×辻󠄀本貴則特技監督スペシャル対談| 「命を守る青春群像劇」と「ドラマを邪魔しない特撮」への挑戦
新しいウルトラマン像を描く
ーー「ウルトラマンテオ」の青いデザイン周りはどのように決められたのですか。
辻󠄀本:台本は円谷プロのプロデューサー陣と脚本の田辺さんが先に作っていたので、台本を読み解くところが最初の仕事でした。今回は「戦いを好まないウルトラマン」ということで、できれば悪い怪獣であっても怪獣を倒したくないところが前面にあったので、筋肉マッチョで好戦的なデザインじゃないんですね、という確認みたいなところから始まりました。
前作の『ウルトラマンオメガ』が真っ赤だったのもあって、「じゃあ次の色はなんだ?」ってなった時に、真っ先に浮かんだのが青色で。青いウルトラマンってここしばらく見てないし、60周年記念のタイミングで緑や黄色といった全くウルトラの歴史にない色味を持ってくるのは違うだろうなということで青色を選択しました。
ーーアクションシーンでは「ウルトラマンテオ」の青色が映えるような映像の色味が綺麗なところも今作の特徴かと思います。
辻󠄀本: 全体の映像のルックは二宮さんがやられてるんです。全篇を通してですけど、黒の部分を少し青色に寄せてますよね。気づかれた方がいたらすごい!
二宮:ルックとして黒を紺ぐらいのブルーにしてもらいたいっていうのは撮影するときにお願いしました。僕自身、辻󠄀本さんがやっていた『ウルトラマンアーク』の映像がすごく綺麗に見えるなと思っていました。あとは怖いところは怖く見えるように、ベースの色味は映画っぽい色の見え方をなんとなく意識して作りました。
ーー「ウルトラマンテオ」は必殺技を発動する時に体色が変化します。
辻󠄀本:これまでシリーズを見ていたファンも見てほしいし、新しく興味を持ってくれた方にも見てほしいので。最近のニュージェネレーションシリーズの文脈に寄り添ったパターンも入れておいた方が良いだろうと思い、「体の色が変わる」という演出を考案して。タイプチェンジとは違う解釈ですが、合成の範囲内で技を発動する時に体の色を変えましょうという提案をしました。
二宮: 辻本さんから聞いてはいたんですが実際に完成を見てビックリしましたね。「すごい!こんなに綺麗に変わるんだ!」と思いました。
ーー「ウルトラマンテオ」のスーツアクターの岩田栄慶さんのアクションはいかがですか。
辻󠄀本:ちゃんと台本を読み取ってくれるんですよね。具体的な指示をしなくとも、「本当は戦いたくない」というお芝居をご自身の方からアプローチをやってくれていました。「ああ、さすが十何年も演じていらっしゃる方だな」という感じでした。
二宮:前半から最後まで計算してくれていますね。 徐々に変化していく成長の度合いを見せるために考えてやってくださってるっていうのは、すごく面白いなと思いました。岩田さんともお話したら「今までにない感じが楽しい」と仰っていて、その言葉を聞いてありがたいという感謝の気持ちと共に、凄いウルトラマンが誕生する予感がしました。
ーー辻󠄀本特技監督が手がけるミニチュア特撮も見どころです。
二宮:僕も編集の時に「これってミニチュアか実写か、どっちでしたっけ?」って聞いたくらいすごいですよね。
辻󠄀本: 「ドラマを重視しよう」というコンセプトがあったので、本編の邪魔をしない特撮ってなんだろうなと考えていました。屋外やロケ地で撮っているドラマパートからいきなりミニチュアの特撮が入ると映像のルックがかなり変わってしまって差が出てしまうので。いつもの自分はむしろそのギャップを楽しんでいたのですが、今回はドラマを目当てで観ていた人が、できる限り自然な流れで特撮パートも楽しめる映像にすることを意識しています。
実際の街の風景中に、グリーンバックでウルトラマンや怪獣を撮った映像を合成することを「実景合成」と呼んでいます。その「実景合成」を意識的に増やして、ドラマから違和感なく特撮パートに入ってもらうことを心がけました。ミニチュアを撮るにしても望遠レンズで電柱のミニチュアをちょっとぼかして、奥にウルトラマンと怪獣がいる路地裏から撮ったような画で攻めていくと、うまく実景に馴染むんじゃないかというのを細かく狙いました。
ーーエンディングのミニチュアカットも素敵な映像になっています。
辻󠄀本:いつもエンディングって本編のダイジェスト的な感じで、編集して作る感じだったんです。今回は二宮さんの発案で「エンディングの映像を新しく作ろう!」となって、これは今までと違うなって。二宮さんが考えた絵コンテのアイデアが、夜のミニチュアセットにテオや怪獣の影が映るっていう、ゴリゴリの特撮だったんです。当初想定がされていないところから打合せが始まったんですけど、メイン監督がやりたいものを実現させてあげたいなと思って、僕はできる限り邪魔しないように静かにしてました。プロデューサーが「うーん」って唸りながらスケジュールをなんとか確保して(笑)。
二宮さんが絵コンテを考えてたので、エンディングに関しては二宮さんが監督として撮っていただいてます。二宮さんの特撮愛、ミニチュア愛があのエンディングに溢れているので、ぜひ楽しんで繰り返し観て欲しいです。
二宮: オープニングの一部とエンディングだけ、特撮を撮りました。とんでもなく楽しかったです!ただ絵コンテと構成もやらせて貰ったんですが、撮影にものすご〜く時間がかかったんです…。60周年記念作品でもあるので「懐かしさ」をテーマにしてレトロな雰囲気の中で伝統的な影絵を使って番組の最後まで楽しめる構成でコンテを作ったのですが、打ち合わせをやってみるとスタッフがざわざわし始め、みんな頭を抱え、カメラテストが何度も行われるみたいな…...(笑)。まさかこんな大変なことになるとは思わなくて...。ただ、イチから街が作られていくところから見ていると震え上がるような感動がありました。
何よりもスタッフの皆さんが僕のイメージを実現する為に色々考えてくれた事がとても嬉しかったですし、かなり力を入れて作ってくれたお陰でとんでもなく素晴らしいカットが撮れたと思っています。毎回流れる曲が違うので楽しみに見て頂きたいです。
ーー改めて『ウルトラマンテオ』の見どころをお聞かせください。
二宮: 今まで応援してきたウルトラマンファンの方々にどう見えるか、その部分は反応がちょっと怖いなというのもありつつも、僕に出来る限りの事は全て出し尽くしたので。後は伝わると信じるしかないと思っています。
新しいことをやっている自覚はないんですけど、今までと違う設定を最大限生かした作品をドラマとして描けていると思っていて、そこに僕の想像を超える特撮シーンを辻󠄀本さんが入れてくれるので。ぜひ最後まで視聴していただきたいという想いです。
ストーリーもキャラクターも怪獣もとても面白く仕上がってますので是非楽しんでください!
辻󠄀本:今回の僕はメイン特技監督なので、作品の内容に関しては円谷プロや二宮監督にお任せしています。 二宮監督がドラマを撮るってことは、ドラマを充実させたいっていう思いがあるわけだから、できる限り特撮で妙なノイズを出さないように、ドラマに寄り添った特撮を心がけました。一本のドラマとして見てもらえると嬉しいです!
ーー最後に、お二人が思う60周年を迎えたウルトラマンシリーズの魅力を教えてください。
二宮:子供の頃、好きになったウルトラマン。僕の中では未だにヒーローと言えばやっぱり「ウルトラマン」です。それは多くの人が同様に感じている事だと思います。60年間地球を守ってきたウルトラマンシリーズにはそれだけの魅力があるんだと思います。この『ウルトラマンテオ』という作品も多くの方に届いて、僕と同じようにウルトラマンのことを好きになってもらえたらそんなに嬉しいことはないと思います。
辻󠄀本:60年もウルトラマンって描かれているわけだから、いろんなウルトラマンがいていいと思ってます。今回の『ウルトラマンテオ』に関してもまた新しいウルトラマン像を描けていると思うし、これまでにないドラマが展開されています。このタイミングで円谷プロさんが思い切って舵を切った覚悟みたいなものを本作に感じたので、そういった部分もひっくるめて一緒に楽しんでいただければと思います。
[インタビュー・撮影/田畑勇樹 編集/小川いなり]
『ウルトラマンテオ』作品情報
あらすじ
地球によく似たその惑星はある時、異星からやってきた宇宙怪獣たちの襲撃を受ける。
やがて惑星が崩壊、滅亡する中、地球へ逃げのびたひとりの宇宙人がいた。
「テオ」―、やがて「ウルトラマン」へと成長する独りぼっちの宇宙人。
彼は明心大学獣医学部獣医学科三年生 光石イブキとして、地球の常識に馴染めないながらも、愛する動物たちと心を通わせ穏やかな大学生活を過ごしていた。
しかし、自身の故郷を滅ぼした宇宙怪獣が突如として襲来、地球に危機が訪れる。
「守りたい」という強い想いが過去の記憶に怯える心を奮い立たせた時、まばゆい光がイブキの姿を、⻘き光の巨人へ変身させる!
キャスト
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンテオ製作委員会・テレビ東京





























