
「戦いたくない青いウルトラマン」が出来るまで――『ウルトラマンテオ』二宮崇監督×辻󠄀本貴則特技監督スペシャル対談| 「命を守る青春群像劇」と「ドラマを邪魔しない特撮」への挑戦
2026年7月4日(土)より放送開始となる『ウルトラマンテオ』。
アニメイトタイムズでは、今作のメガホンを取った二宮崇監督と辻󠄀本貴則特技監督によるスペシャル対談を実施。
ウルトラマンシリーズ初監督でドラマパートを中心に手がけた二宮監督と、歴代の技術を継承し特撮パートを中心に手がける辻󠄀本特技監督による「戦いたくない青いウルトラマン」が出来るまでの舞台裏を語っていただきました。
ドラマと特撮の融合を目指す撮影体制
ーーどのような経緯で今作の撮影体制は作られていったのでしょうか。
二宮崇監督(以下、二宮):最初から分ける体制でお話をいただきました。僕はウルトラマンシリーズをやるのが初めてなのでわからない部分もあったのですが、メイン特技監督で辻󠄀本さんもいらっしゃるから、その二人の融合で作品が作れればという形で最初にお話をいただいたので、そこは不安なく入れました。
辻󠄀本貴則特技監督(以下、辻󠄀本):僕も最初からそういう体制でやりたいと聞いていました。おそらくプロデューサーや脚本の田辺さんもそうですけど、今までやったことのない初めての方を呼んできたのは、前作までとはガラリと雰囲気を変えてドラマ部分を充実させたいってことなのかなと。特撮パートについては今までの技術を継承しつつ、「更に良いものを」ということを感じたので、今回は二宮監督の本編パートに寄り添う感じの特撮を目指しました。
ーー二宮監督はウルトラマンシリーズ初監督ですが、決まった時の率直な気持ちを教えてください。
二宮:驚きしかなかったです(笑)。ドラマはずっと撮ってきましたが、特撮の畑をかすってもないのに、「僕でいいのかな?」と。そこを目指してやってらっしゃる方々がたくさんいる中で、「僕が入って何かできるのかな?」と自分の役割について考えました。ただ、特撮とは本編の別のブロックですし、「戦いたくないウルトラマン」が主人公という点や獣医学部の学生たちが中心の青春群像劇と成長の物語を描く。という設定だったので、それだったら僕にも作り上げられるかもしれないと思いました。
防衛隊が舞台となっちゃうと知識がない分、描き方を悩んだかもしれないんですけど、他のウルトラマンとは違う宇宙であり「怪獣にも命がある」と言ったように学生達が「命」について考えるような切り口がドラマとしても面白く作れる予感がしましたし、何よりウルトラワールドの世界観を作れるワクワクが大きかったので引き受けさせて頂きました。
ーーお二人で立ち上げる時に相談されたことはありますか。
二宮: 僕が特撮に関して全く知識が無かったので、辻本さんには現場スタッフとのコミュニケーションや、イメージの共有などをフォローしてもらいました。特撮の世界観の構築は信頼して辻󠄀本さんにお任せしたという形です。2人で両方のパートの情報を共有しつつ「こんな設定加えたいんですけど」みたいなところも入念に話し合って進めた感じですかね。
辻󠄀本: 僕が初めて参加した時、当時は僕も特撮を全然やってなかったのですが、自分が初めて円谷プロに参加した時のことを思い出して。いきなりこっちに来ちゃった人が困るだろうなという“監督あるある”を思い出しながら、二宮監督の補佐的な感じで立ち回れたらいいだろうなと思って一緒に仕事していた感じです。
ーーちなみに二宮監督はウルトラマンシリーズを見ていましたか?
二宮:小さい頃に見ていたんです。再放送だとは思うんですけど。
辻󠄀本:どのあたりの世代ですか?
二宮:テレビで流れていたのは『ウルトラセブン』から『ウルトラマンタロウ』くらいまで。親戚にすごく特撮が好きな叔父さんがいて、その影響で触れていました。今回その叔父さんに監督をやることを話したら、「なんだとー!」って叔父さんが1番喜んでいました(笑)。
辻󠄀本:それは良かったですね(笑)。
二宮:僕がこの業界に入ったきっかけもその叔父さんの影響で、映画とかドラマをよく見ていたところからなんです。僕が子供の頃、レンタルビデオの時代なんですけど、「最初に映画を見て泣いたのは『ウルトラマンキッズ』だったんだぞ!」って叔父さんに言われたんです。「えっ、そうなの?」みたいな、そんな繋がりがあったみたいです(笑)。
「60周年のタイミングに自分で大丈夫かな?」みたいな不安はあったんですけど、特撮に関しては辻󠄀本さんがいらっしゃるので。ウルトラマンのファンや特撮の良さみたいなところは、こっちで勉強しても追いつけるものではないので、そこは辻󠄀本さんや他の特技監督の皆さんに思い切りやってもらうという形でやれて良かったと思ってます。
ーー普段のドラマではないウルトラマンシリーズだからこそ非日常的なカットの撮影も多かったかと思いますが、ドラマパートの撮影で意識されたことはありますか。
二宮: 情景のカットを意識して入れています。一話から三話までは、ウルトラマンテオが地球に来て「第二の故郷にしよう」と思ったこと、動物や自然が好きというのが、彼が地球に移住を決めた理由であるっていうところを、細かくは語られてないけど画で補完していくというか。今回、ドラマ部分に集中出来ていたので、どの年代の方が見ても分かりやすいように理解が追いつく「間」みたいなものはセリフや編集のリズム含めてかなり計算して作りました。
ーー主人公のイブキ役・岩崎碧さんの印象はいかがですか。
二宮:彼は演技経験がほとんど無かったのでオーディションの後、撮影までに3か月ぐらいずっと特訓していました。普通のドラマと台本が違うので、「こうやって、お芝居をするんだ!」という特訓じゃなくて、台本を読み解くことをずっとやってきました。
宇宙人として、中身が「ウルトラマンテオ」としての「イブキ」ってどういう気持ちになっているのかというところをずっと丁寧に話をしながら。オーディションの時も彼が一組目で入ってきたんですけど、最初に目がいったのが彼で何かを感じていました。最初はポテンシャルがわからなかったのですが、すごく真面目に取り組んでくれて、凄いスピードで成長していったので、本当に「来てくれてありがとう!」という感じです。
辻󠄀本:撮影中の成長の度合いが凄かったですね。
二宮:辻󠄀本さん、ビックリしちゃってましたね。だいぶ頑張ったんです。
辻󠄀本:撮影を1ヶ月くらい過ぎたあたりですかね、撮影当初に見ていた時と違って「あれ?あんな感じでした?」ってもうすごく上達していて(笑)。ご本人の意思や努力もそうだけど、二宮監督と築いた芝居のベースから、しっかりと応用が効くようになっていた感じでした。
二宮:普通の連続ドラマを撮っている自分からすると、ここまで命に瀕する危機に対してのお芝居って普通ないんです。「命をかけて何かを守る」っていうのが、普段の連続ドラマだとまずないので。
今回はそういうものが軸にあるので、レンズを通して人に伝えることのパワーをベースのエンジンとして作るのは撮影当初から考えていました。そこはしっかり演じてくれましたね。





























