
TVアニメ『鉄鍋のジャン!』原作ファンの皆さんには「原作のままアニメ化します!」ということ一番にお伝えしたいです | 戸谷菊之介さん×⻑⾕川育美さん×天﨑滉平さん 鼎談インタビュー
令和の感覚を一番持っているキャラクターが小此木なのかもしれない(笑)
──以前、戸谷さんは別のインタビューで「リアルな役作り」について語られていたのが印象的でした。ジャンはかなりマンガ的なキャラクターですが、本作ではどのようにアプローチされたのでしょうか?
戸谷:演技面で言うと、確かにジャンはリアルから逸脱した部分もあるキャラクターですが、気持ちの面では決してそんなことはないのかなと思っています。ジャンは小さい頃からおじいちゃん(秋山階一郎)の厳しい修行を受けていて、その秋山の料理を貫くという誇りみたいなものを原動力として生きていると僕は解釈しました。
だからこそ他者に対して激しく怒るし、傲慢に見えるほどの自信も持っている、その気持ちの面では理解できるんです。表現としてはリアルとは相反するところがあるかもしれませんが、ジャンの気持ちを自分なりに理解しながら演じていました。
──続いて長谷川さんにも伺いたいのですが、別のインタビューで「私も結構口が悪いんですよ。」と話されていましたよね。
長谷川:『真夜中パンチ』の時ですよね。確かにあの作品では「うっせえババア」「死ね」とか言っていましたけど、さすがにそこまで口は悪くないですよ(笑)。
──同じインタビューでは他にも「私自身の中身は割と男っぽいところもあります」といった話もありましたが、キリコは五番町飯店の娘ということもあって自分にも他人にも厳しかったり、男勝りな面もあります。そこに共感とか演じやすさみたいなものはありますか?
長谷川:性格的にはめちゃくちゃ演じやすくて、キリコを演じる上で悩むことはほとんどないくらい自分の性格にもマッチしているキャラクターだと感じています。
彼女は嘘をつかないじゃないですか。常に自分のやりたいことや想いに正直なので、変に裏を読み取る必要がないというか。キリコは料理に対して実直かつ真面目で信念をぶらさないので、私自身もその芯をしっかり持って演じようと心がけていました。
──そのあたりは「素の長谷川育美と近い」までは言い過ぎですか?
長谷川:キリコは本当にかっこよくて真面目な子なので、そこまではちょっとおこがましいですね(笑)。でも、私自身も性格的にはっきりしている部分があるので、近しくはあると思いました。
──小此木は知識や技術を持っていない視聴者側に近い人間で、いわゆる愛されヘタレキャラみたいなポジションです。ヘタレすぎても視聴者からウザイと思われそうですが、その匙加減を天﨑さんはどのように演じられましたか?
天﨑:小此木って殴られたり酷い目に遭ったりしても、どこかあっけらかんとしている部分があるんですよ。その「打っても響かない感じ」が、見ていて可哀そうになりすぎないバランスを生んでいるのかなと思います。ある意味で図太いというか、空気の読まなさみたいなところは、もしかすると彼が五番町飯店で生き残れている理由の一つなのかもしれません。
演じる際も、相手との会話の距離感みたいなものはあまり気にせず、例えば内緒話にするべきところでも普通に喋ってしまうような、そんなマイペースなところを意識して演じていますね。
──確かに、第1話の冒頭から、集中して作業しているキリコに呼びかけて「アホ!」と怒鳴られていましたね。
長谷川:あと、小此木と言えば、キリコがまかないを作る時に、新人なのに「内臓系は苦手なので外食していいですか?」なんて言えるのも逆にすごくないですか? 普通は苦手でも我慢して食べようと思うじゃないですか。「よく言えるな」と驚きました。
戸谷:そう考えると、小此木ってちょっと令和の若者っぽいですよね。
長谷川:確かに!
天﨑:30年前の漫画ですが、令和の感覚を一番持っているキャラクターが小此木なのかもしれない(笑)。
高笑いしているところはジャンも演じる僕も気持ちが良いんですよ
──ジャンと言えば「カカカカカカカーッッ」という笑い声ですが、あおき監督へのインタビューではオーディションの台本にも入れたくらい大事な台詞だと伺いました。本番のアフレコではどんなディレクションがありましたか?
戸谷:オーディションの時もそうでしたが、例えば「カー、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カァーッ!」と一音ずつ区切ってみたり、文字通り「カカカカカカ」の部分速く刻むパターンだったり、アフレコ現場で色々と試した結果、アニメで見ていただくものに落ち着いています。
長谷川:文字で伝わるかな(笑)。
天﨑:アフレコの様子を後ろで見ていても、まさに全身を使ってあのセリフを発する姿は圧巻でした。
戸谷:でも、「カカカカカカカーッッ」もそうですけど、高笑いしているところはジャンも演じる僕も気持ちが良いんですよ。
長谷川:『鉄鍋のジャン!』は笑い方の表現も独特ですよね。ジャンも大谷さん(ジャンの天敵・大谷日堂)も笑いが特徴的というか。
──大谷の笑い方というと「ブヒャヒャヒャ」のインパクトが強いですが、そのあたりはアニメではいかがですか?。
長谷川:まだキャスト名は出せないんですけど、大谷さん役の方は「これは普通の笑いになってるけど、ブヒャヒャヒャじゃなくて良いですか?」みたいに、笑い方のニュアンスを細かく気にされていました(笑)。
天﨑:「ブヒャヒャヒャ」になる時もあれば、ここは普通の笑いで良いですみたいなディレクションを受けることもありましたね。
長谷川:スタッフの皆さんも、そこらへんの線引きはちゃんとあるんだなって(笑)。
──他にアフレコ時のディレクションで印象に残っていることはありますか?
戸谷:第1話のアフレコ時に、最初に僕が持っていったジャンの演技プランは、登場シーンから「秋山の料理として、こんなものは認められない!」という怒りを前面に出したものだったんです。
でも、監督からは「ジャンは顔つきは怒っているように見えるけど、顔つきほどは怒っていない」というディレクションをいただきました。
長谷川:デフォ(デフォルト)の顔がこれなだけみたいな。
戸谷:そうそう。なるほどと思って、怒りを前面に出すのではなくて、自分の信念や誇りを出していくのだと僕なりに解釈して、そこから役を作っていきましたね。
長谷川:キリコに関しては、ありがたいことに比較的思いのままにやらせていただけることが多かったです。
天﨑:小此木もそんなにディレクションは多くなかったです。でも、現場の皆さんもそうだと思うんですけど、スタッフさんから「もっとやって良いですよ!」とディレクションをいただいて更にキャラクター性が強くなっている人もいますし、どこまで振り切って良いかのボーダーラインを毎回の収録で調整してくださった感じです。だから、ディレクションで大きくお芝居が変わったみたいな人はあまりいなかったと思います。
──アフレコ全体で印象に残っていることはありますか?
戸谷:声の出力はみんなデカいですね(笑)。でも、みんな思いっきり演じているからこそ、逆に細かなディレクションがないのかもしれません。
長谷川:あと、アフレコ現場の思い出と言えば「ガヤ録り」は罵倒が多くて楽しかったです。
戸谷:ジャンがとにかく罵倒されるんですよ。
長谷川:ガヤではみんな好き勝手に罵倒するんですけど、全くコンプライアンスなんて気にしなくて、無法地帯のような罵倒ワードが次々と飛び出してきて本当に面白かったですね。
津田健次郎さんのナレーションを入れれば大丈夫な空気を感じるんですよ
──自分が連載当時の1995年は中学生でしたが、当時の基準でも劇中の描写はヤバかった記憶がありますね。
長谷川:そうですよね! 1995年だからOKとかじゃないと、ずっと思ってました(笑)。
──マジックマッシュルームを使ったスープとか、当時の倫理観でもアウト気味だったと思います。
長谷川:あれは一つ前の話数のアフレコで「原作だとマジックマッシュルームの回があるけど、本当に出てくるのかな?」とはキャストの間でも話していました。
天﨑:「さすがにやらないかな、でもやってほしいな」なんて。
長谷川:そしたら普通にあった(笑)。本当に、監督やスタッフさんの「津田さん(津田健次郎さん)のナレーションを入れれば大丈夫」な空気を感じるんですよ。
戸谷:津田さんのナレーションが免罪符になりますよね、みたいな。ならないよ(笑)
──津田さんのナレーションが重厚な感じだから、どんなに無茶苦茶な展開でも自然に受け止めてしまうんですよね。
天﨑:今回のアニメ化において、津田さんのナレーションは大きなポイントになっていますね。
──津田さんを含むキャスト4名が発表されましたが、個人的にはセレーヌ楊(ヤン)が好きなので、どなたが演じるのか楽しみにしています。
天﨑:アニメの楊もとっても良いですよ。キャストの間でも皆さんと同じように「この役は誰が来るんだろう?」「XO醤のリュウは誰だ?」みたいにキャスト当てクイズをやっていましたから。

































