
七海ひろきさん、待望のTVアニメ化作品『天は赤い河のほとり』への想いを大いに語る! 自ら作詞したオープニングテーマを収録した含むニューシングル「AKATSUKI」インタビュー
「暁の空」に込めた、“まだ決断していないユーリ”の想い
──オープニングテーマ「暁の空」は七海さん自身が作詞を担当しています。制作はどのように進めたのでしょうか。
七海:まず何曲か候補の楽曲があるなかで、作品のオープニングに合うものを私や制作スタッフの皆さんと話し合いながら決めました。作品の舞台でもある中東っぽい雰囲気を感じ取れるところ、リズムや音色にも異国感が溢れていて素敵だなと。作詞に関しては、私から「自分で書きたい」と立候補させていただいて、原作を何度も読み返していろんな場面を思い描きながら、楽曲に合わせて歌詞を書いていきました。
──七海さんは作詞の経験も豊富ですが、アニメ主題歌の作詞を担当するのは今回が初めてです。普段とは違うやり甲斐や苦労もあったのでは?
七海:歌詞の内容に関しては、アニメと原作サイドにも確認していただくので、書き終わって自分としては「よし、これでいこう!」と思ったものの、提出する時や皆さんの反応を待っている間は緊張しました。オープニングテーマなので作品と全然違う内容になっても意味がないですし、世界観を守ったうえで歌詞を書くのは大変な部分もありましたが、やっぱり好きな作品なので楽しかったです。ただ、漫画を読むのに夢中になってしまって、作詞が全然進まなくて。私は漫画や小説、映画を楽しむ時に、その作品に集中し過ぎて周りが見えなくなるタイプなので、終わりどころがわからなくなるんです。それで「あっ、歌詞を書かなくちゃ!」ってなることが何度もありました(笑)。
──歌詞を書くにあたって意識したこと、足がかりにしたテーマなどはありましたか?
七海:オープニングテーマということで、作品を象徴するような内容にしたくて、この1曲の中に『天は赤い河のほとり』の作品全部を入れ込むような気持ちで書きました。基本的には作品の前半部分、古代にやってきてカイルと出会ったユーリがヒッタイト帝国の空のもとで生きていくことを決意する辺りまでを主軸にしようと思って。ただ、物語の結末に紐づくような内容も入れたくて、最後のサビの歌詞にすべてを総括するようなフレーズを入れました。正直、エピソードがいっぱいあり過ぎるので1曲の中で全部を書き切ることはできなくて。この歌詞では語られていない部分に関しては、間奏で物語のダイジェストが流れていくような気持ちで各々聴いていただければと思います(笑)。
──1番の歌詞には“黒い影が淀む”や“もう還れない”といったフレーズもあって、まだ不安を抱いているユーリの気持ちも垣間見えますが、そこからどんどんたくましくなっていくストーリーを感じさせる内容です。
七海:1番はユーリの心情を中心に第三者目線も少し入れて、2番はユーリとカイルの心情に第三者目線を織り交ぜて書いていきました。本当ならもっといろんなキャラクターのことも入れたかったんですけど。それこそ私は女性だとウルスラ、男性だとルサファが好きなのですが、どちらもユーリを命懸けで守る存在になっていくんです。その信頼関係がすごく素敵なので、そういう部分も入れたかったのですが、それら全部を入れる余地がなくて。作品が素晴らしいからこそ作詞は難しかったです。
──タイトルに「暁の空」という言葉を選んだ理由は?
七海:「暁の空」は作品の中にも登場する言葉で、ユーリの象徴でもある「暁の空」に輝く星の名前がイシュタル、暁の明星(=金星)であり、美と豊穣の女神を意味する言葉でもあるので、この作品をご覧の方にも豊かになって欲しい、という願いも込めてこのタイトルにしました。原作には「暁の天(そら)」と「暁の空」の両方の表記が登場するので、曲のタイトルも「天」と「空」のどっちの表記にするか、ずっと悩んでいたんです。でも、私は原作を読んでいて、ユーリがヒッタイト帝国で生きていくことを決めたタイミングに合わせて「暁の天(そら)」になると感じたので、この曲はまだ決断をしていないユーリの歌にしたいと思って「暁の空」にしました。この先、「暁の空」が「暁の天」に変わっていくかは、アニメをご覧になる方がそれぞれ物語を通して楽しんでもらえればと思います。
──レコーディングではどんなイメージで歌ったのでしょうか。歌詞はユーリやカイルの心情を意識して書いたというお話でしたが。
七海:原作を大切にしたいからこそ自分が歌詞を書いた時に思い描いていた場面、ユーリの表情やカイルとの関係性を思い浮かべながらレコーディングしました。特にサビのフレーズは同じ歌詞でも変化をつけられればと思って、最初のサビはナキアに呼び寄せられてヒッタイト帝国にやってきた頃のユーリの心情を思い浮かべながら、最後のサビは、物語が進むにつれて他のいろんなキャラクターもユーリと同じ方向を向いていく印象があるので、より想いが強くなるイメージ、表現が強く、濃く、深くなっていくように歌いました。
──まさにいろんな人の想いが重なって、川が大河になっていくような力強さがボーカルからも感じられます。個人的には楽曲冒頭の歌い出しの部分も、どこか幻想的なニュアンスが感じられて印象に残りました。
七海:そこは中東やアラビアっぽい雰囲気を出せたらと思って歌った部分ですね。
──他に新しくチャレンジしたことや、この曲を歌って気づいたことはありますか?
七海:今回、シングルに去年開催したライブ(「One-man LIVE773 “Crystal”」)の音源が収録されることもあって、ここ数年間に自分が歌ってきた曲を久しぶりに聴き直してみたんです。そうしたら自分の歌い方が結構変わったなあと思って。アーティストデビューして今年で7年になるのですが、この期間、声優としてもいろんなキャラクターを演じる経験をさせてもらっているからこそ、自分の声の響くポイントが昔とは変わったように感じますし、以前よりも今の方が、自分の声の響かせ方がわかるようになったと思います。「暁の空」も、きっと5~6年前に歌っていたら全然違う歌い方になっていたはずです。
──改めて自分の歌声を見直す機会にもなったと。
七海:はい。最近よく思うのは、芝居においても歌においても、いかに自分を知るかがすごく大事なんですよね。「自分はこれが得意だから」とか「これは苦手だな」というのがわかったうえで取り組むのと、何もわからず闇雲にやるのとでは、やっぱり出てくるものが違うので。私はそれこそ舞台に立つようになった一番最初の頃、お芝居することや歌うことがただただ楽しい、という気持ちでひたすらやっていたんです。でも、だんだん楽しい気持ちだけではうまくいかないことに気付いていって。その時期を経て、結局は好きだからやり続けたいし、そのためにはどうすればいいのか、ということを考えるようになりました。もちろんわからないままやることの良さもありますけど、自分を知ることは大切なんだなと思います。
──素敵なお話をありがとうございます。「暁の空」はMVも制作されていて、一面砂の大地やレンガ造りの趣き深い建物など、ロケーションを含めて見応えのある映像に仕上がっていますね。
七海:『天は赤い河のほとり』とのタイアップ曲ということで、歴史ロマンを感じてもらいたいなと思って、そこに立っているだけで物語が生まれそうなロケーションにこだわって撮影しました。ドローンを2つ使って、ひとつは撮影用、もうひとつは光を照らす用で同時に動かして撮影したので、全体的に古風な雰囲気がありつつ最新の技術を使った、いろんな角度から楽しめる映像になりました。
──全身真っ白なコーデの衣裳も素敵です。
七海:黒や赤もいいのかなと思ったのですが、スタッフの皆さんもいろいろ考えてくださって。白はこれからいろんな色に染まっていける色でもありますし、太陽が昇ってきて暁の光が当たった時の反射具合も素敵かなと思ってオール白にしました。撮影する時はいつも思うのですが、自分は不器用な部分がたくさんあるなかで、周りの皆さんが「七海ひろき」を作り上げてくれるんです。衣装や髪形、撮り方まで、私のことをわかってくださっている方が手掛けてくれるからこそ、より良いものができることを毎回実感しますし、いつも撮影の最後は「本当にありがとうございます」って感謝の気持ちに溢れます(笑)。
──七海さん的にぜひ注目して欲しいカットはありますか?
七海:私が手に乗せた砂をパラパラとこぼす場面です。今回は「暁の空」なので暁の風景を撮るために、朝早くからロケ地に行ったんです。当日は小雨が降っていたのですが、でも太陽は見えていたので、照り過ぎず、ちょうどいい感じの暁の風景を収めることができて。ただ、雨で砂が濡れていたのでパラパラとならず、ポトッと落ちてしまうので、スタッフさんが穴を掘って、サラサラの砂を掘り起こしてくれたんです。あのシーンは“砂の国に降りたつ明け星”という歌詞を汲んでくださったところで、『天は赤い河のほとり』にも出てくる描写なので私もやりたいなと思っていましたし、一瞬のカットなのですが結構苦労して撮影したので、見逃がさずに観てもらえると嬉しいです。





























