
第1期からさらに明るいテイストに変わった第2期──それを象徴するキャラクターとは? 『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2』熊野千尋監督インタビュー
お約束から逃げずに素直に向き合った
──第2期を通して制作で大切にされたことや、難しかったところはありますか?
熊野:周と真昼の世界が広がり雰囲気が明るくはなりましたが、同時に向き合わなければならない問題が増えています。原作からそうではあるのですが、例えば過去の清算やこれからやってくる未来や進路についての話ですね。
周がアルバイトを始めたこともそのひとつですが、そういうふたりの将来の問題を扱っていく上で、ふたりになった上での強さでどう向き合っていくのかが肝になっていきます。
おそらく周ひとり、真昼ひとりでは全然違う対応になっていたであろうことを念頭に置きつつ「ふたりならこう接するよね」ということを画面に出すようにしていました。そこを考えるのが難しかったですね。
──第2期の前半では夏祭りやプールなど夏休みイベントが盛りだくさんでした。制作していてこだわっていた部分を教えてください。
熊野:プールならプール、夏祭りなら夏祭りの雰囲気をしっかりと見せることです。プールの水の感触だったり、夏祭りの雪洞の残色だったり、そういうところを定番通り見せる。「付き合ったらこういう所に行きたいよね」という、いわゆるお約束的なところを逃げずに素直に描いていきました。だからこそ、これまでなかった色をちゃんと描けるようにというコンセプトでやっていました。第1期は学校か家にいることがほとんどでしたから。
周と真昼の距離感に関しては、もう一緒にいることに違和感がなくなってきているところですね。食卓を囲むことももちろんですが、一緒に出かけることもそう。第1話の台詞にもあった通りふたりで当たり前のようにスーパーまで来ている。そういう良い意味で当たり前になっていったところや、第1期で同じ流れをやったらドギマギしていただろうなというところを、グラデーションの変化として見せたいと考えていました。
──後半ではプラトニックではありつつも、一緒にお風呂に入るなどドキドキするような展開もありました。
熊野:やっぱりふたりとも、大人になった後や今後の事を見据えていますよね。それこそ結婚の話もチラつきますし、リアルに考えたら高校生が向き合うには早いことにガンガン突っ込んでいきます。大人目線で見てもふたりは偉いなと思ってしまいますが、そういった視点になってしまうとファンのみなさんが見たいものからブレてしまう気がしました。
周や真昼は自分たちなりにその場、その場で真剣に考えて向き合っている訳ですし、そんなに俯瞰して物事を見られている訳でもないと思うんです。たとえ間違ったとしても、しっかりふたりが将来を見据えて頑張る姿、お互いを最大限に想いあって等身大に将来のことを考えている様子を見ていただけると嬉しいです。
──また第2期では、周と真昼だけでなく樹と千歳の掘り下げもあったかと思います。このふたりについてはどんな部分にこだわっていましたか?
熊野:樹と千歳の問題は第2期で決着をつけられなかったので、周と真昼との対比……というよりも、もうひとつ大きな流れの中での問題として扱いました。周から見た樹は自分たちにはないパターンの問題を抱えていて、ふたりとは逆に家庭に関する問題が男の子(樹)にある。そこで周が友人としてどう接するのかは注目でした。
そんな周の樹に対する接し方も、真昼と一緒になったことでこれまでとは変わっています。そこもまた複雑に絡んでくると思っていて、自分と真昼はこうだから樹の話をこういう風に受け止めてあげられる……そんな友人関係の良さが存在していて。
対する千歳と真昼はそこまで深い会話を、顔をつき合わせてしないんです。夏祭り後に周と千歳が電話をしていて、真昼が千歳の家に泊まる場面がありますが、あくまで女の子同士で明るくというところで留めています。そんな関係性も、ある意味女の子同士だからこそなのかと思いますが、きっとこれからのはずです。
第2期以降もアニメの展開がもし続くのであれば、今回お見せした伏線を踏まえて、ちゃんと樹と千歳の問題も解決できるよう布石を打っておきたいと元から考えていました。もし今後があるとしたら、このふたりの問題にもフォーカスを当てていくよという意図もそうですし、オープニングでは樹をクローズアップするかのようなカットも入れています。そういうところも見てもらえれば嬉しいです。
──最後にこれから放送になる最終話の見どころをお願いします。
熊野:第1期で描かれた出会いから付き合うまでも大きなドラマでじゃありますが、第2期で描かれたそこから先の将来を見据えた話も、そこに匹敵するかそれ以上のドラマ性があると思っています。そうやって物語が積み重なっていくことで、周と真昼が一緒にいることが当たり前になっていく……その過程を楽しんでいただけたら嬉しいです。
第12話のラストもふたりで夜眠って、次の日の朝に起きてという定番の流れになっています。これからが大事ですが、第3期もやれると信じて、周と真昼ならきっと大丈夫だろうなという様子を見せられていたら幸いです。
【インタビュー:胃の上心臓 編集:西澤駿太郎】

































