
「片田舎のおっさん、剣聖になるII」3Dアニメーション制作・YAMATOWORKSインタビュー|「作画と同じような表現を目指すのであれば、少なくとも同じぐらいの苦労をしなきゃならない」
昨年(2025年)に放送されたTVアニメ『片田舎のおっさん、剣聖になる』。第一期の配信プラットフォームが、2026年6月22日(月)より拡大されました。さらに、2026年7月8日(水)からは、第二期の「片田舎のおっさん、剣聖になるII」がいよいよ放送・配信開始となります。
そんな「おっさん剣聖」の第二期がスタートするタイミングにあわせて、本作の魅力を改めて主要スタッフ陣に伺う連載インタビューがスタートしました。第4回は本作のCGを担当するYAMATOWORKSの3Dディレクター丸山貴大さん・3Dアニメーションディレクター坂本隆輔さんに、アクションシーン制作の裏話を伺いました。
本作のアクションシーンではCGが用いられていますが、作画で表現されたシーンと違和感なく溶け込んでいます。その秘訣やそのためにこだわっている部分をお話ししていただきましたので、ぜひこれからアニメ「おっさん剣聖」をご覧になる方は注目を。
剣の持ち方までシビアにこだわった作中の殺陣
──2026年6月22日(月)から第一期の配信プラットフォームが拡大されました。改めて第一期で印象に残っているエピソードや、制作の上でこだわっていたことをお教えください。
坂本隆輔さん(以下、坂本):第一期の作業が始まった初期は何もない状態からのスタートだったので、ハヤブサフィルムさんとどういうアプローチができるのか、色々と探り探りの中で制作がスタートしました。作画とCGのハイブリッドになるので、我々としてはなるべく作画とCGとで違和感が出ない絵作りを目指しており、物語の後半にかけてアクションパートのボリュームが増していった時はやりがいを感じていました。
アクションパートは実在する西洋剣術を基にした動きを大事にしているので、人間離れしたスピード感を出すことができません。どうしても地味に見えてしまうようなところでも、演出さんとしっかり話し合いながら丁寧に、迫力ある画面になるように制作を進めていました。
──作画のハヤブサフィルムさんとはどのような形で連携していましたか?
丸山貴大さん(以下、丸山):打ち合わせの段階である程度ハヤブサフィルムさんから、このシーンはCGでお願いしたいと要望があり、そこでお互いに話し合って作画にするのかCGにするのか、視聴者さんの目線で仕分けをしていきました。
作画とCGとが無理に入り乱れすぎると、見ていてどうしても気になる部分が出てきてしまいます。なるべくCGはCGで、作画は作画でという形にまとめて、認識をすりあわせた上で各話の制作に入って行きます。
坂本:我々もCGでセルルックのように見せるアニメーションを、色々な作品で研究しながらやってきました。だからこそCGの良さも作画ならではの良さも重々理解しています。そんな中でこちらから「ここはCGで勝負したい」とお伝えしたり、逆にハヤブサフィルムさんから「ここはCGでお願いできないか」と相談があったり、綿密にやり取りをしています。そうやって制作が進むにつれてコミュニケーションがスムーズになり、各自の担当シーンの仕分けが決まるのも素早くなっていきましたね。
──そんな仕分けの効果もあってか、作画とCGが切り替わる場面も違和感がありませんでした。
坂本:絵1枚に対してでも、CGで作るには得手不得手があるんです。なのでCGの得意な絵作りに力を注げるように、不得手な部分は省きつつ、CGだからこそカッコよく見せられるよう注意深く構成しました。
剣術やアクションに関してモーションキャプチャーは使っておらず、最初に用意していただいた資料に目を通して、そこからどう絵作りを激しく、よりドラマチックに作品へ組み込んでいくかを考えました。
我々の間では「ケレン味を出す」という言葉がよく出てくるのですが、ひとつの動きの中に1枚だけフックになる部分……グッと引き込まれるような絵を入れることで、少しでも視聴者さんの目に留まるようにしています。
CGなら1枚絵と1枚絵の間の部分を補完してくれる自動中割りという機能があり、それが良い部分でもあるのですが、作画はそういった部分も1枚1枚描いている。そういう丁寧な作業を通して魅力的になっていて、我々もそこにはリスペクトがあります。
だから、自動的にCGで中割りを作ることは極力避けるようにして、全ての絵をひとつひとつ作るんだという意気込みで制作に打ち込んでいました。そこは絶対に手を抜けない部分だったんです。
──第一期のアクションシーンについて、改めて見返してもらいたい部分はありますか?
坂本:第6話「片田舎のおっさん、死者と対峙する」における、ベリルとシュプールとのアクションシーンですね。尺はそこまで長くないのですが、第一期で最初に立ちはだかった強敵でしたし、かなり迫力ある絵作りにできたと思っています。CGならではの良さが出た部分や、CGだと気づかれないような絵作りも見せられたのではないかなと。
──また第一期について、視聴者からの反応はどのように受け止められているのでしょうか?
坂本:色々なご意見があり、それはどんな作品だったとしても真摯に受け止めなきゃならないと思っています。キャラクターがたくさん動いている話数はとても反応が良かったので、そういうシーンが多いほうが見ていて楽しいんだろうなと感じていました。
ただ、この作品はアクションが全てではなく、物語が主軸になっています。その柱がしっかりしているからこそ、ちょっとしたアクションシーンがよりドラマチックになっているんです。そういったところがこの作品の特徴だと思いました。
──YAMATOWORKSさんから見て特に評判がいいなと感じた話数はありますか?
坂本:第10話から最終話にかけては、「これを待っていたんだ」という反応をいくつか目にしました。
──第一期~第二期までを通じて、鹿住朗生監督とはどんなディスカッションがありましたか?
坂本:第一期から剣の持ち方は注意事項としてあったので、ご指示をいただきながら作業を進めました。第二期は副監督の古我望さんや、各話の演出さんと作業を進めていきました。
絵コンテに剣の持ち方に関して細かく書いてあるんです。このシーンではこういう持ち方をしていて、こういう風に剣を振る……しかも、そのひとつひとつが実在する持ち方らしいんです。剣の振り方ひとつをとっても様々あるので、演出や絵コンテの中でどうやってピックアップしていくのかは、かなり重要だったと思います。
我々に作業が降りてくる段階ではもうイメージが完成しているので、そこにあわせた作業をしました。
──実際に剣術道場に行って体験してきたとのお話が鹿住朗生監督からあったのですが、その際の資料もご覧になられましたか?
坂本:その録画をもらいました。資料にまとめてくださったので、それを基に制作を進めています。特に、剣術の基本的な動きや殺陣についてはたくさん目を通しています。
やっぱりこの作品は何でもありの殺陣ではないので、足の使い方までしっかり見せなきゃならない。特にベリルは剣の指南をしているような達人なので、力任せではなく“ポンメル”という柄頭の部分に小指をかける程度で、右手と左手がくっつかないくらいの加減で持つだとか、握りが近すぎる、遠すぎるみたいな指示がありましたね。
丸山:アニメーションの見栄えの部分として、片手で持ったらカッコよく見せられるだろうという時も、そんな立ち回りは実在しないからできないとなったことがあります。それでも成り立つところを目指しましたし、剣については持ち方にいたるまでかなりシビアにこだわっていました。
──また、鎧やヒロインたちの服など、CGで動かすのが難しそうなキャラクターもいるかと思います。そういった点では苦労はありましたか?
坂本:キャラクターたちの服装によっては、剣を構えた時に窮屈に見えることがありました。腕が鎧に埋まってしまうなんてしょっちゅうだったので、毎回しんどかったですね。
──腕が鎧に埋まってしまう時は、どのように解決したのでしょうか?
坂本:基本的には人力、かつ気合でめり込みを直していきました。後はカメラの角度や勢い、そういう見せ方を色々工夫していました。























