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アニメ『プラノサウルス ガチコセイブツ部』爬虫類研究家・富田京一先生による“ガチ”の恐竜&古生物講座

恐竜の色が判明したのはイカのおかげ!? 2026年夏アニメ『プラノサウルス ガチコセイブツ部』をきっと見たくなる! 爬虫類研究家・富田京一先生による“ガチ”の恐竜&古生物講座

『かつて地球上で繁栄したが、絶滅してしまった生き物たち。人はそれを古生物と呼ぶ———』

「組み立てることで学べる」恐竜プラモデルシリーズとして小学生を中心に人気を集めている「プラノサウルス」が、ついに2026年7月からアニメ『プラノサウルス ガチコセイブツ部』としてショートアニメが放送決定!

そんなアニメ『プラノサウルス ガチコセイブツ部』は “見ることで恐竜を学べる”がコンセプトですが、子供の頃から恐竜の展覧会に足を運び、映画『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』シリーズを観て成長してきた筆者としては、久々に恐竜と古生物がテーマのコンテンツに興味津々。

そこでアニメイトタイムズでは、本コンテンツを監修している爬虫類研究家・富田京一先生に、恐竜や古生物に関する最新の学説や知識、アニメ化で監修者目線でアドバイスを出した部分など、多岐に渡る“ガチ”の講義をしていただきました。

さあ、君もガチ古生物の世界へ!!

 

爬虫類研究家・富田京一さんプロフィール

1966年福島県生まれ。爬虫類・恐竜研究家。女子美術大学、およびTCA東京ECO動物海洋専門学校 恐竜・自然史博物専攻講師。爬虫類の生態を研究する傍ら、博物館や博覧会の監修、アニメでは『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』などの時代考証も行う。

 

 

目次

円谷英二と特撮がきっかけで恐竜の道へ

──先生が爬虫類や恐竜に興味を持ったきっかけからお伺いしてもいいですか?

爬虫類研究家・富田京一さん(以下、富田):私は福島県出身なんですが、福島県と言えば特撮の神様である円谷英二さんの故郷です。だから、今でも基本的には「怪獣」が好きなんです。

子どもの頃に叔父が亀を買ってきてくれたのが爬虫類に触れたきっかけで、そこから「怪獣っぽいもの」という繋がりで古生物の中でも特に恐竜に興味を持つようになりました。

ただ、僕が大学生だった頃は特撮作品が冬の時代で、特撮業界に就職口がなかったんです。僕らの世代で恐竜の研究者や造形作家になった人たちには、本当は特撮の道に進みたかったけど就職口がなくて、それで研究的な方向へ進んだ人も多かったと思います。それで僕も爬虫類の研究方面に進んだ結果、今では博物館の展示や「プラノサウルス』のような恐竜に関する監修にも関わるようになりました。

──怪獣がお好きとのことですが、何か研究面で円谷英二さんからの影響はありますか?

富田:最初期のウルトラシリーズを立ち上げた金城哲夫さんや上原正三さんのように、当時の制作の中心に沖縄出身の方々がいたんですね。こんなに魅力的な作品を生み出す人々を多数輩出する沖縄とは一体どんな場所なのだろうかと、小学校6年生の頃に興味を抱いたんです。それからは、動物の調査や大学の講義で沖縄に通うようになり、爬虫類の調査で170回以上は行っています。

そうして、現存する爬虫類と化石となった絶滅爬虫類の研究や調査を交互に、あるいは同時に進めたり、博物館やイベントのお手伝いをしたり、本を執筆したりして現在に至ります。


※編集部注:金城哲夫さんは円谷特技プロダクションの企画文芸室長として『ウルトラQ』『ウルトラマン』などウルトラシリーズの黎明期を支えた方。上原正三さんは沖縄出身の脚本家で、『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」などの脚本家として有名。


 

恐竜の足首の構造は昔のプラモデルにそっくり!?

──よくテレビや本などで「恐竜」「翼竜」「首長竜」といった言葉を耳にしますが、意外とその違いを知りません。本当に基本的なことになりますが「恐竜」の定義について教えていただけますか?

富田:「恐竜」という存在が最初に定義されたのは1842年のことです。例えば「犬」「猫」「蟹」「猿」といった言葉は、人間の生活の中で自然発生的に生まれて共通認識化されてきた言葉ですよね。それに対して「恐竜」という言葉は完全な造語です。

英語では「Dinosaur(ダイナソー)」、学術用語では「Dinosauria(ディノサウリア)」と呼び、この「サウリア(Sauria)」という単語がトカゲを指し、一つの種を指すときは「サウルス(Saurus)」と言います。今日の取材にはエリマキトカゲを連れてきましたが、エリマキトカゲの学名は「クラミドサウルス キンギイ(Chlamydosaurus kingii)」で、やはりトカゲを指す「サウルス(Saurus)」という単語が入っています。

そして、頭に付く「ディノ(Dino)」という単語は、よく日本の図鑑などでは「恐ろしい」と訳されていますが、どちらかというとホラーやバイオレンス的な恐ろしさではなく、実は「恐れ多い」や「畏怖」といったニュアンスの方が適切なんです。そのため、本来は「偉大で恐れ多いトカゲ」みたいなニュアンスの方が適切かと思います。その「Dinosaur」という英単語を明治時代に日本で漢字に翻訳した際に「恐竜」という言葉が生まれました。

では、恐竜の定義とは何か。恐竜の顔つきや歯並びといった特徴から爬虫類そのものですが、端的に言うと「足腰が非常に頑丈で、胴体の真下から地面に向かってまっすぐ足が生えている爬虫類」というのが恐竜の定義です。

本質的な特徴はたったそれだけです。定義として体の大きさなどは一切関係がなく、あくまで「体つき」や「足の生え方」の構造で決まります。

──その定義からするとプテラノドンやモササウルスなどは恐竜の定義から外れていますね。

富田:プテラノドンのような「翼竜」や、恐竜を語る上でよく登場するワニなどは、非常に惜しいポジションにいます。翼竜やワニの骨格構造を詳しく見ていくと、惜しいところで恐竜ほど足腰が頑丈ではありません。

また、恐竜とは足首の構造が決定的に異なります。昔のプラモデルをイメージしてもらうとわかりやすいのですが、足首の可動域が狭くて、色々な方向に足首を曲げたり、複雑なポーズを取ることができませんでしたよね。恐竜の足首が正にそれなんです。

恐竜の足首は昔のプラモデルのように前後にしか動かせないため、柔軟性が著しく欠けています。それに対して翼竜やワニは足首を柔軟に動かすことができます。

──そんなに恐竜の可動域は狭かったんですか!?

富田:そうなんです。そして、大多数の恐竜が絶滅してしまった原因が、この足首に象徴的な足腰の構造にあるのではないかと私は考えています。なぜなら、足腰が硬い恐竜は体を丸められないので「冬眠」ができないんです。

実際、穴の中に潜ったまま死んでしまったとみられる恐竜は、私自身も2種類ほどしか知りません。もしかしたらこの種は穴に潜れたかもしれない、という可能性を含めてもプラス2種類程度なので、それぐらい彼らは体が硬かったんです。

先ほどお話しした通り、体の大きさは恐竜の定義ではありませんので、恐竜の大きさを平均化すると犬の豆柴くらいになります。大半の恐竜は人間よりもはるかに小さなサイズです。

──平均が豆柴サイズと伺うと、途端に可愛らしいイメージになりますね。

富田:豆柴サイズであれば、タヌキやクマのように穴くらい掘れると思われるかもしれませんが、恐竜の場合はいくら体が小さくても、足の構造のせいで穴を掘って冬眠する能力が著しく欠けていました。そのため、環境が激変した際に、多くの種が生き残れなかったのだろうと考えています。

──そうすると「翼竜」は恐竜と同じように「竜」と付いていても、厳密には恐竜ではないということですか?

富田:「翼竜も恐竜のグループに入れるべきだ」と主張する研究者もいますが、やはり一歩手前のところで構造が異なるので恐竜以外の分類になります。

翼竜の足腰の構造をメジャーな動物で例えるとチンパンジーに似ています。チンパンジーレベルの足腰の構造では恐竜とは言えません。人間よりもはるかにがっしりとした足腰を持っていること、それが恐竜の定義です。

──どうして恐竜はそんなに頑丈な足腰の構造を持つようになったのでしょうか?

富田:それは骨盤と大腿骨(太ももの骨)の接合の仕組みに理由があります。人間の足の場合、骨盤にある丸い窪みに大腿骨の先端がはまっているだけのボールジョイントのような構造になっていて、これで柔軟に足を動かして歩いています。

しかし、恐竜は骨盤の内側まで穴が開いていて、そこへL字に曲がった大腿骨の付け根が貫通してがっちりと刺さっています。だから、実は「プラノサウルス」のプラモデルは、その構造を非常にリアルに再現しているとも言えるんです。実際に「プラノサウルス」のプラモデルを組み立てると、後ろ足の骨盤の穴の奥まで突き抜けるように、太ももの骨が固定されているのがわかると思います。

この構造だったからこそ、恐竜は足を横に広げるような複雑な動きがほとんどできず、基本的には前後にしか足を動かせなかったんです。昔のプラモデルのような足を前後にしか動かせない構造をしていること、それが恐竜たる所以です。しかし、翼竜の構造は、そこまでのレベルには達していないので、恐竜には分類されないわけです。

 

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