
それぞれのキャラクターに「見たことがある感じ」「懐かしい」という要素を入れるようにしました──『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』スタッフインタビュー企画「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」キャラクター原案・深崎暮人さんインタビュー
昭和レトロとキャラクター性のバランス
──ここからは各キャラクターのデザインについてお聞きしていきます。まずは鶴巻瑞佳から。
深崎:瑞佳のデザインは、今回一番悩みました。物語の核となるキャラクターであり、持論である『主人公にはボブが最適』という、デザイン上でのこだわりをどう落とし込むか試行錯誤したからです。実は当初の現代設定では、髪色はビビッドなピンク色でした。
──初期設定ではピンクのボブカットだったんですね。
深崎:途中から昭和設定になったので、髪は落ち着いた色にせざるを得なかったんです。でもそうすると『冴えカノ』の加藤恵に寄ってしまう。その葛藤がありました。
──たしかに同じボブカットですね。
深崎:亀井監督に相談し、背中を押していただいたことで、『恵のデザインに寄ってしまっても構わない』と腹を括ることができました。ビジュアルは近いものの、キャラクターの芯の部分はまったく異なりますし。お芝居を通して、確かな違いが表現されていると感じています。
──その時代のリアリティと、デザインする上でのバランスを取るのは難しそうです。
深崎:デザインにおいては、各キャラクターのイメージカラーを考えるようにしています。主役である瑞佳には、太陽をモチーフとした赤を割り当て、衣装にも積極的に取り入れるようにしました。私服については、当初は現代設定に合わせてセーラーシャツとショートパンツのスタイルを検討していましたが、昭和設定への変更に伴い再構築を行っています。その際、1950年代の海外の子供服を参考に、背中にプリーツが入った真っ赤なセーラーワンピースのデザインが素敵だったので採用しました。そこから初期案の要素と融合して完成させています。
──瑞佳は海外で生活していたという設定もあるので、違和感がないですね。川澄桜翔はいかがですか?
深崎:いわゆる黒髪ロングの優等生キャラである桜翔は、自分の中でも最も古いキャラデザのストックから採用しています。それこそ15年前に描いていたデザインです。この「黒髪ロングに、少し横へ流した前髪」という王道の組み合わせは、以前からずっと描いてみたいと考えていたデザインの一つでした。
──初期からデザインはブレていない。
深崎:完成されていたと思います。なので、桜翔に関してはあまり言うことがないんです(笑)。ただ、苦労したのは相方である瑞佳との対比です。二人並んだ時に髪色が黒で重なってしまうのが気になり、瑞佳の髪色をわずかにブラウンへ寄せて調整しました。桜翔の「黒髪ロング」という特徴は絶対に崩したくなかったので、瑞佳とのバランスを細かく見ながら仕上げています。
──ふたり並んだ時のバランスを考えて制作したわけですね。
深崎:キャラカラーに関しても瑞佳が「太陽の赤」なら、桜翔は「空の青」──そんな対比で決めました。また、伊万里も瑞佳や桜翔と同様、企画初期の現代設定時に誕生したキャラクターです。そのため昭和という世界観の中では、ツインテールや現代的な髪色が際立ち、かなり「浮いた」存在になっています。
当初は時代設定の変更に合わせてデザインを修正すべきか悩みましたが、ツインテールを廃止するとデザインの根幹から描き直す必要があったんです。そこで一考し、あえて現代設定の名残を色濃く残す方向に舵を切ることで、このキャラクターならではの個性を確立させることにしました。
──昭和レトロの世界観のなかでは、かなり目を引くデザインです。
深崎:衣装の時代考証については山田先生から細かなアドバイスをいただきました。一方で、キャラクターの髪型や髪色といったビジュアル面については、先生のご厚意に甘えさせていただいています。本来であれば時代考証の観点からNGが出てもおかしくないところを、「サーカス団という多様な環境」として受け入れてくださった山田先生の柔軟さには、非常に救われました。
──ほかのキャラクターのバリエーションも広がったというか。
深崎:そうですね。ただ、伊万里の私服にはしっかり昭和の空気感を取り入れています。例えば、当時の昭和設定のドラマを見ていた際、「つっかけ」を履いている女の子のスタイルに惹かれ、それを伊万里の私服デザインに落とし込みました。髪型という大きな特徴は残しつつ、足元に時代性をプラスすることで、キャラクターとしてのバランスを整えています。
──対する五十鈴は、中国雑技団を思わせるような衣装ですね。
深崎:五十鈴のデザインも、伊万里とのバランスをかなり意識しました。実は瑞佳の次に悩んだキャラクターで、当初はもっと髪を短くしてボーイッシュにしようかとも考えていたんです。ただ、雫と並んだ時のバランスを考えると少し難しいなと。
五十鈴は男の子っぽさの中にも、ちゃんと女の子らしい繊細さがあるキャラクターです。デザインする上では、彼女のそうした「かわいらしさ」を大切にしてあげたいという思いを強く持っていました。

































