
『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』レビュー前編|人気短編の“その後”がついに描かれる――圧巻のアクションと豪華キャストが紡ぐ新たなジェダイの物語
『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume1の中でも特に高い人気を誇った『九人目のジェダイ』。そしてVolume3で描かれた続編『The Ninth Jedi: Child of Hope』を経て、その物語はついに長編シリーズ『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』として帰ってきました。
Production I.Gと神山健治総監督による本作は、新たなジェダイであるカーラを中心に、壮大な銀河戦争とジェダイたちの戦いを描き出します。
これまでの2作は短編でしたが、今回はなんと全8話で構成。今回のレビューでは前後半に分けて、作品の魅力をお伝えしていきます。
なお、『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume1で登場した『九人目のジェダイ』については過去、アニメイトタイムズでレビューしています。『スター・ウォーズ』シリーズを見たことがない、という方向けの説明もそちらでたっぷりしていますので、まずはこちらのレビューとVolume1の本編をご覧ください。
『九人目のジェダイ』から続く物語――『スター・ウォーズ:ビジョンズ』の人気エピソードがついに長編シリーズへ
『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』は、『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume1で配信された短編『九人目のジェダイ』から続く物語となっており、2025年配信のVolume3の『The Ninth Jedi: Child of Hope』でも主人公・カーラの姿が描かれていました。
舞台となるのは、ジェダイがほぼ姿を消した遠い未来の銀河。セーバースミスというライトセーバーを作る鍛冶屋ジーマの娘であるカーラは、父が作り出した特殊なライトセーバーを届けたことをきっかけに、新たなジェダイたちとの運命に巻き込まれていきます。
ジーマは武力で宇宙の平定を目論むナワームの手先によって拉致されてしまい、カーラたちはジーマの救出、そしてナワームの暴虐を止めるため新たな戦いへと身を投じる……というのがここまでに描かれてきた物語です。
第1話ではナワーム軍に追われるカーラたちの逃避行からスタート。
いきなり激しいバトルが満載で、ブラックホールを利用した大胆な戦術、宇宙空間を舞台にした艦隊戦、そして敵軍との激しい地上戦。序盤から息をつく暇もない展開が続きます。
『スター・ウォーズ』らしい壮大な宇宙での戦闘やライトセーバーによるバトルをProduction I.Gが見事に描いていて、冒頭から引き込まれることウケアイです。
青いライトセーバーを使うのにシスのような行動をとる異質な存在
物語序盤で特に注目なのが、今作から登場する敵・ナワームです。
見た目こそ『スター・ウォーズ』で最も有名な悪役とも言えるダース・ベイダーを連想させる姿ですが、彼が起動するライトセーバーはなんと青く輝きます。
これまでの『スター・ウォーズ』では、青や緑はジェダイ、赤はシスというイメージが定着していましたが、本作はそのイメージを覆してきます。
なぜ清々しいくらいの悪である彼のライトセーバーが赤ではないのか……その秘密は次第に明らかになっていくのですが、このライトセーバーの“色”は作中でも非常に重要なポイントになっています。
また、ナワームはかつて存在していたジェダイたちの教えやジェダイというシステムそのものを「古い」と断じるシーンも。ジェダイを否定するナワームと、新しい時代のジェダイであるカーラたち。その対比も見所のひとつとなっています。
テンポよく進む物語。そして徐々に明らかになっていく登場人物たちの秘密とは?
本作は物語の進行がかなりテンポよく、1話1話の情報量も多くてガンガン物語が進んでいきます。
ジーマを助けるため、そして協力者を探すため、師であるジューロの案内のもと、縁のある惑星を巡るカーラたち一行。そこではかつてのジーマの姿も次第に明らかになっていきます。
ただのセーバースミスではなく、強力なフォースを持ち、最強に近づいたジェダイのひとりであるものの、かつて起こった出来事によりジェダイであることを止めたジーマ。そしてその出来事によりジーマを一方的に師と仰ぐようになったナワーム。
父としてのジーマを追う中で、ジェダイとは何なのか、フォースという力とは何なのか。様々な思いを抱えながらもカーラは戦っていきます。
前半の山場である4話でカーラはナワームの元に辿り着き、彼と対峙することで真実の一端に触れることになります。
バトルの最中には銀色に輝くライトセーバーも登場。かつて最強であったジーマと、その境地に到達することで新たに銀のライトセーバーを振るうようになったナワームの二人は、ジェダイの青や緑、シスの赤とは別の色のライトセーバーを使うようになります。銀のライトセーバーの正体については後半でより明らかになっていくのでお楽しみに。
そして4話のラストは、カーラの未熟さにより、師であるジューロとの別れが描かれていきます。ある意味『スター・ウォーズ』らしいオマージュとも言えますが、衝撃に次ぐ衝撃の展開に、カーラでなくとも混乱と悲しみに包まれることは必至です。
本作は多田監督のコメントでも触れられていたように、全編を通してカーラの成長が描かれていくのですが、元気で明るく前向きな彼女に訪れるとても大きな転換点が4話と言えるでしょう。
前編レビュー総括――アクションとドラマが高次元で融合した傑作シリーズ
第4話までを振り返ると、本作は単なる『九人目のジェダイ』の続編ではなく、新たに「ジェダイとは一体何なのか」といった『スター・ウォーズ』シリーズの常識に真っ向から立ち向かって新たな解釈を投げかけたストーリーとなっています。
そんな物語をProduction I.Gによる迫力満点の艦隊戦やライトセーバーバトル、そして主人公カーラ役の赤﨑千夏さんをはじめ、ジューロ役の金尾哲夫さん、ジーマ役の三木眞一郎さんほか、本作から登場する坂本真綾さん、檜山修之さんといったキャスト陣の熱演に支えられ、とてもレベルの高いアニメーションに仕上がっています。
後編では、第5話から第8話までを振り返りながら、カーラの成長、ナワームとの戦い、そして本作が提示する新しいジェダイ像やフォースの在り方について掘り下げていきますので、お楽しみに。
[文:二城利月]




























