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『スター・ウォーズ ビジョンズ』「九人目のジェダイ」レビュー【全作レビュー連載第6回】

『スター・ウォーズ ビジョンズ』「九人目のジェダイ」レビュー|新たなジェダイとライトセーバーを巡る物語の始まりーー神山健治監督が描くジェダイの物語はリスペクトにあふれていた【全作レビュー連載第6回】

ジョージ・ルーカスが公言する日本文化からの強い影響──そして、創造のルーツである日本へ『スター・ウォーズ』が還ってくる!

日本を代表する7つのアニメスタジオが独自の“ビジョン”で9つの新しい物語を描くビッグプロジェクト『スター・ウォーズ:ビジョンズ』がディズニー公式動画配信サービス Disney+ (ディズニープラス)で独占配信中です。

アニメイトタイムズでは、特別タイアップ企画として、9作品になぞらえて、9人の編集者とライターが1作品を担当し、作品の魅力に迫るスペシャルレビュー連載をお届けします。

連載6回となる本記事では、『スター・ウォーズ』の未来の世界、ジェダイやライトセーバーといった物が過去の物として登場、その復活を目指す物語である『九人目のジェダイ』をレビューします。

本作は非常に『スター・ウォーズ』的な要素が満載で、シリーズのファンはもちろんのこと、SFアニメファンではあるが今まで『スター・ウォーズ』に触れて来なかった方でもすっと作品の世界観を理解できるいわば”王道”なストーリーとなっています。

新たなジェダイたちの登場と、フォースやライトセーバーでのバトル、乗り物でのチェイスと『スター・ウォーズ』のワクワクするポイントが目一杯詰め込まれている本作の見どころをいくつかのポイントに分けてご紹介していきます。

連載バックナンバーはこちら!

◆【連載第1回】「The Duel」レビュー
◆【連載第2回】「タトゥイーン・ラプソディ」レビュー
◆【連載第3回】「赤霧」レビュー
◆【連載第4回】「T0-B1」レビュー
◆【連載第5回】「村の花嫁」レビュー
◆【連載第6回】「九人目のジェダイ」レビュー
◆【連載第7回】「The Elder」レビュー
◆【連載第8回】「のらうさロップと緋桜お蝶レビュー」
◆【連載第9回】「THE TWINS」

九人目のジェダイ

あらすじ

暗黒面が追う鍛冶屋の娘、“希望”を運ぶ冒険

ジェダイ騎士団の復活を計画する辺境伯ジューロから古代の武器ライトセーバーを進呈すると呼びかけられ、7人のジェダイが辺境惑星ヒ・イズランの空中神殿に集まった。
同じ頃、セーバースミスのジーマが、ジューロの命を受けライトセーバーを完成させていた。だが、シスの復活を目論むジェダイハンターによりジーマは捕らえられてしまう。ライトセーバーを託されたジーマの娘・カーラは、追手から逃れて空中神殿に向かうのだが……。

プロダクションI.G.神山健治(総監督)

竜の子プロダクションより独立し、1987年に創業。1995年に発表した押井守監督作品『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が米・ビルボード誌のセルビデオチャートで1位となったことで注目を集め、2004年には続編にあたる『イノセンス』がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、日本アニメ―ション初の快挙として話題となる。また、クエンティン・タランティーノ監督作品『キル・ビル Vol.1』のアニメーションパートを担当するなど、世界中に多くの支持者を持つ日本屈指のアニメーション制作会社。『攻殻機動隊』シリーズ、『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ、『ハイキュー!!』シリーズなど、幅広いジャンルの作品を手掛ける。

アニメイトタイムズ的注目ポイント!

スター・ウォーズ度:★★★★★
アニメファンおすすめ度:★★★★★
ジェダイの騎士度:★★★★★★★

新たな視点から描かれるジェダイの騎士とライトセーバー

本作は『九人目のジェダイ』というタイトルの通り、ジェダイたちとその再生を中心とした物語となっています。

そもそも「ジェダイって何なの?」というシリーズを見たことがないアニメファン向けに本当にざっくり解説すると、ジェダイとは銀河のすべてが持っている見えないエネルギー「フォース」を操る戦士たちのことで、「フォース」を使うことで身体能力の強化やテレキネシスやテレパシーといった超能力のような技、人によっては未来予知なども行えたりします。

ジェダイになるには幼少期から厳しい訓練を経てなるものなのですが、本作は『スター・ウォーズ』シリーズより後の時代、ジェダイがいなくなって久しい世界を描いているようで、登場するジェダイたちはマスターレス・ジェダイという師を持たない、独学でフォースの力を学んだジェダイたちが登場します。

そんなマスターレス・ジェダイの7人はそれぞれジェダイの武器である「古代の武器・ライトセーバー」を渡したいという通信を受け、訝しみながらも言われた地点に集合する……というのが物語の導入となっています。

ジェダイが縦や横のつながりを持たず単独で修行している、ライトセーバーは古代の武器と、シリーズファンならばびっくりする要素が満載ですが、もっと気になるのはタイトルは「9」人目のジェダイであり、集まったジェダイはそもそも7人です。この足りない2人はいったい誰なのか……。それは物語後半にしっかりと明かされるので、ぜひお見逃しなく。

そしてもうひとつの驚きが、ライトセーバーは刀鍛冶のような「セーバースミス」によって作られるもので、本作ではライトセーバーが作られる様子も見られます。作中では本当に刀鍛冶のように「カイバー・クリスタル」を打って制作されており、剣というより本当に刀のような作られ方でした。しかも、この時代にライトセーバーを制作するのは違法なようで、新たに作られた9本のライトセーバーは「密造ライトセーバー」として扱われてしまいます。

たくさんの驚きに満ちたシーンの後、セーバースミスであるジーマは「ジェダイハンター」なるシスの手先と思われる組織に襲われ、希望であるライトセーバーをジェダイの騎士たちに届けるよう娘のカーラにお願いします。カーラはジーマの願いを叶えるため、負傷したジーマを置いて宇宙へと飛び立つのでした。

この親子の別れのシーンは『スター・ウォーズ』シリーズでたびたび描かれた”親子”の物語でもあり、実に『スター・ウォーズ』らしいと思えるシーンでもありました。神山監督も本作のひとつの大きなテーマは「親子」であるとコメントしており、現代の日本人観を反映した、今だから作れる『スター・ウォーズ』のひとつであると言えるでしょう。

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