
『魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance』篠宮マナ役・上坂すみれさんインタビュー|“あどけなさ”と“音のいびつ感”で表現した純粋悪
2026年7月から放送・配信中のTVアニメ『魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance』。
本作は20周年を迎えさらなる歩みを続けるアニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズの最新作となっており、原作・脚本を都築真紀さんが務め高町なのはをはじめとする過去作のヒロインたちが登場するなど、様々な話題を呼んでいます。
物語はいよいよ佳境を迎え、最終話でどんな結末を迎えるのか期待が膨らむばかりですが、アニメイトタイムズでは本作のラスボス的な存在である篠宮マナ役の上坂すみれさんにインタビューを実施。第11話までネタバレありでたっぷりとお話を伺いました。
バックボーンが明かされたマナの心情や、周囲との関係を上坂さんはどのように思い、何を意識して演じたのか。最終話に向けて、ぜひそれを感じていただけたら幸いです。
マナを演じる上では“あどけなさ”や“音のいびつ感”を意識
──『魔法少女リリカルなのは』シリーズ(以下、『なのはシリーズ』)はTVアニメ第1期の放送から20年以上が経ちました。上坂さんは2016年放送のTVアニメ『ViVid Strike!』でユミナ・アンクレイヴを演じ、今回がシリーズ2度目の出演となります。まずは、再び『なのはシリーズ』に出演した感想からお聞かせください。
篠宮マナ役・上坂すみれさん(以下、上坂):別の作品とはいえ、同じシリーズで2キャラも担当させていただけるなんて、本当にすごいことだと思っています。『ViVid Strike!』はスポ根といいますか、魔法少女のバトルものよりも学園ものの雰囲気でしたが、そこからちょうど10年後にオンエアされた作品でラスボス的なキャラクターを任せていただけたのは、すごく感慨深いです。
──そんなラスボス的な立場のマナですが、最初にオーディション資料をご覧になったときはどんな印象でしたか?
上坂:オーディションテープを録るときから演じていて楽しいキャラだなと思いました。資料を見た印象としては、ビジュアルが華奢で可愛く、ファッションも含めてイマドキの令和っぽいデザインだなって。でも、オーディションの時点から「人を人と思わない純粋悪」「生まれながらの悪」「戦いを楽しんでいる」といったセリフがほとんどでしたので、そういうピュアな悪者を楽しく演じることができました。
──「悪者を演じるのは楽しい」とほかの方からもよく聞きますが、オーディションからすでに楽しかったのですね。
上坂:正義のヒーローも演じていて楽しいのですが、悪役ってなぜ悪事を働くことになったかの動機やきっかけがキャラクターによって違うじゃないですか。それを汲み取って、悪いことをするのが楽しいのか、それとも悪いと思ってなくやっているのかなど、とても“考えしろ”のある役どころなんですよ。今回も「マナはどういう子なんだろう」と予想しながら、オーディションで演じるのが楽しかったです。
──マナにどんな背景があって悪事を働いているのかに関しては、事前にわかっていたのでしょうか。それとも台本をいただくにつれて、上坂さんも知っていったのでしょうか。
上坂:基本的には台本を順繰りにいただいて、そこで私も核心に迫っていった感じですね。でも、初登場時からマナはキャラが全くブレず、とにかく自分が強くなるために素材を集めて、(久瀬)セツナという自分よりも強い魔人を倒したい――それが一貫していたので、キャラは掴みやすかったです。
──では、マナを演じるなかで、特に印象に残っているディレクションはありましたか?
上坂:最初の頃に「可愛らしい雰囲気で演じてください」とディレクションいただいたことです。マナは残酷な発言をしますし、恐ろしい存在ではあるのですが、精神的に子供っぽい感じがしますよね。なので、声の年齢感をちょっと下げ目にして、あどけない感じが出るようにしました。
──登場時から“可愛いからこその不気味感”があると思ったのですが、怖くしようとするのではなく、むしろあどけなさを意識したのですね。
上坂:そうですね。マナは、人を殺したり食べたりするのも食事や栽培と同じ気持ちでやっているので、罪の意識が全くないんです。誰かを脅そうという気持ちはなく、「あれがしたい」「これができたらもっといいよね」という不健康なワクワク感が声に乗れば恐怖を感じさせるんじゃないかなと思いました。「もっと食べて強くなりたい」「そのためにいい素材をいっぱい集めたい」という欲求に満ちているので、向上心があると言えばあるのですが……それは他者からみたらとんでもないことですよね。なので、マナ本人はキラキラした気持ちだけど、音としてはちょっと“いびつな感じ”になるように意識して演じました。
なのはさんが攻撃する前に◯◯していたことに感動
──マナを取り巻くキャラクターの印象についてもお聞きします。マナとの関係でいえば、なんといっても蔵木エイジです。物語の後半で2人がどうして今の関係になったかも描かれましたが、上坂さんからみたエイジの印象をお聞かせください。
上坂:エイジはマナに殺されかけながらも、マナの目にとまって血を分けたことで、一度死んだはずなのにマナとの2度目の人生が始まる不思議なキャラ。もう失うものがなく、マナと共鳴するところがあるような印象を受けました。
それに、もともとすごくつらい環境で仕事をしていたからか、マナが「エイジくんがお金を欲しがっていて、会社がなくなればいいと言っていたから、そうしたよ」「お金を持ってきたし、みんな殺してきた」と後戻りできない状況になっても、あまり恐怖心を覚えていないというか、結構肝が据わっているんです。だからこそ、マナという恐ろしい存在とも対等な関係を持てるのかなって。エイジはマナに対して何の愛情も持っていなかったので、「俺がなんとかする」「俺が守ってやる」「もっとまともになれよ」みたいなことを言わないのも、2人の関係で重要なところだったんだろうなと思います。
──マナとしても上坂さんとしても、エイジの行動について理解や共感はできましたか?
上坂:エイジの立場で考えると、それまでは生きている意味のない人生だったと思うんです。でも、マナに出会ったことですべてが破壊され、自分がなにかをするとマナが喜ぶようになり、初めて自分の生活の中で「誰かを喜ばせる」ことができた。そう思うと、エイジは割と人間らしいんですよね。だから、マナと出会ったことは「良かったね」とも「可哀想に」とも言い切れないところがあるなと感じます。
──もともとの状況を考えると複雑ですよね。一方、マナと対峙する側としては、夜海トワも重要な関わりのある人物です。マナの初登場時から、トワがマナたちを憎んでいる描写もありましたが、トワの印象はいかがですか?
上坂:トワはマナにひどいことをされた1人ですが、マナはトワを捨てたことも覚えていなかったんです。でも、そんな苦しい目に遭ったトワは、すごく優しい人に偶然出会い、シイナという友達に出会うことで心境がかなり変化していくキャラクターだなって印象でした。トワを慕ってくれる魔人狩りの子たちに対しても、最初は「同じような境遇だから一緒に行動しているだけ」でしたけど、だんだんとトワの温かい人間性が出てきたのは、シイナという大きくて明るい存在のおかげだと思うんですよね。友情や人の温かさにふれて守るものが出来たトワと、そういうものが何もなくただ自分が強くなりたいだけのマナ、それが対照的に描かれているなと感じました。
──マナを演じている立場としては、トワとシイナの関係はどのように映っていましたか?
上坂:私自身としては、シイナとトワの関係はすごく素敵だなと思っていました。戦場で出会ってしまうけど、育んできた2人のかけがえのない友情は失われることがなくて。マナはそのことを知らないですけど、もし真っ当な心があってそれを知ったなら、羨ましいと思うんじゃないかな。個人的には「早くこの2人がマナをやっつけて欲しい」と思いながらマナを演じていました。
──トワと魔人狩りのメンバーとの関係性も同じような印象を?
上坂:そうですね。基本的にマナのセリフを当てているとき以外は視聴者目線といいますか、「みんな頑張ってマナをやっつけて!」という気持ちで見ていました。
──では、純粋に上坂さんの好みで構いませんので、多彩な能力を持ったキャラクターがいるなかで、特に気になったキャラクターを教えてください。
上坂:(喜多森)ユーナですね。ユーナはパワー系の褐色ギャルという、すごく癖(へき)の多いところが可愛いです。見た目はギャルですけど、性格は素直ですごくピュア。トワを慕って感情的にもなる子ですが、戦い方は物理なんですよね。物理でガンガン攻めるギャルのキャラが新鮮で、出てくると気になっていました。
──国連調査機関「EXCEEDS」のメンバーに関してはいかがですか? シリーズファンからすれば、直接登場するのはもちろんのこと、名前が出てくるのも嬉しかったと思います。
上坂:EXCEEDSの先輩としてシイナをサポートする立場で、すごく頼もしさがありますし、(高町)なのはとフェイト(・T・ハラオウン)の間には誰も入れない絆を感じますよね。でも……なのはさんが攻撃する前にちゃんと説得して「話し合いをしましょう」と言っていることにすごく感動しました。なのはさんってとりあえず撃ってなかったっけ?と思って(笑)。
──(笑)。確かに、そういう印象があります。
上坂:とりあえず撃ったあとに「話し合いましょう」と言うタイプだと思っていたので、なんか一番大人な感じがしましたね。スタッフさんも、お話をちゃんとしていると盛り上がっていたらしいです(笑)。


































