この記事をかいた人

- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

2026年4月に第1期が放送され、続編となる第2期の放送が10月1日よりスタートしたアニメ『氷の城壁』(原作・阿賀沢紅茶先生)。
人と接するのが苦手な主人公・氷川小雪と幼馴染の安曇美姫、美姫の友達・雨宮湊と日野陽太の4人を中心に、不器用にすれ違う高校生たちの群像劇が描かれる人気作です。
本稿では、各話のレビューをお届け! 第1期に比べてよりキャラクターたちのすれ違いや思いが交錯する様が描かれていく今期。みなさんも複雑な人間関係や恋愛模様について、いっしょに考えてみてくださいね。
※本稿にはネタバレ要素が含まれます。
本話を見て私が一番強く感じたことは「恋愛は友情よりも上なのか」ということ。一般的には、友達よりも恋人を優先することはよくあることだと思いますし、クリスマスなどのイベントにおいて、恋人のいる友達をクリスマス当日に誘わないよう配慮したりする、なんてこともよく聞く話です。
本話では、「友達」として大好きな陽太からの告白を断ったことで苦しむ美姫の姿が描かれていました。
美姫にとって陽太は素の自分を受け入れてくれる、唯一無二の大親友。ありのままの自分を好きだと言ってくれる陽太の気持ちに答えたいと思いつつも、陽太が恋愛的な目でも自分を見ているならば、同じ気持ちじゃないのに付き合うべきではないと美姫は判断したのです。
美姫の答えは陽太の気持ちにとても誠実な姿勢を取ったと言えるものの、気持ちに応えられないという事実は陽太にとって悲しいものに他ありません。美姫も大好きな陽太を悲しませていることに苦しんでおり、彼女の誠実さと優しさが彼女自身を苦しめることに。
一方の陽太も、長年抱え続けていた思いに決着がつき、心にぽっかり穴が開いてしまいます。ですが、ずっと美姫を見てきた陽太は美姫が自分のことで苦しんでいることも理解していますし、元からこうなることを覚悟していたこともあってか、美姫の前では今まで通り友達として接しています。
美姫が思っている以上に陽太の彼女への愛情は大きいもので、それは決して恋愛的な意味だけで語れるものではないと思うのです。小雪も言っていましたが、人として、友達として大好きで、そのうえで1人の女の子としても好きなんですよね。
もはや親に次ぐ愛情を美姫に抱いているのではないかと思ってしまうほど、彼女への愛はとてつもなく大きいものだと思います。
この2人を見ていると、恋愛より友情が軽んじて見られる通念に疑問を感じざるをえません。おそらく恋愛は、特定の1人を選ぶためなんとなく格上のようにとらえられているのだと思いますが、美姫にとって唯一無二の親友である陽太は、それ(恋人)に匹敵するほどの存在なのではないでしょうか。
むしろ、美姫のこれまでの恋愛経験を振り返ると、歴代の彼氏で陽太以上の存在になれた人なんていないことは明確です。
とはいえ、陽太が告白した以上、彼が望むのは世間一般的には恋人という関係。美姫の方に同じ思いがなく、その状態で恋人になれないと美姫が思うならば、断るしか方法はありません。
美姫だってこんなに陽太のことが大好きなのに……つくづく人間関係とは難しいものだなと痛感します。
陽太と美姫を巡る問題と並行して、小雪と湊の関係にも変化が訪れました。小雪は湊が自分のことを友達として好きだと言っているのを偶然聞いてしまいます。
もちろんそれは気持ちを隠すために湊がついた嘘。本当は小雪のことを恋愛的な意味で好きになっていますが、そんなことなかなか打ち明けられません。今まで受け入れるばかりの恋愛をしてきた湊ならなおさらです。
しかし、そんな心中を小雪が知る由もなく、告白しないまま失恋したかのように自室で1人涙を流します。そして、気持ちを戻せるうちに戻そう、とその思いを諦めることに。もどかしいすれ違いがここにも起こってしまいました……。
救いに感じられたのは、小雪と美姫の間にあった誤解が解けたという点。小雪が湊のことを好きだと打ち明け、これまでのことを洗いざらい振り返ったことで、幼馴染2人はやっと掛け違えたボタンを正すことができたよう。
ちゃんと話すことがいかに大事かを痛感しましたが、それができないから難しいんですよね。高校生なんて特にそんなお年頃ですよね……簡単にできればこんなに苦労はしません。
小雪も、湊も、陽太も、美姫も、誰も悪いことはしていないのに思いが交錯し、すれ違ってしまう彼ら。だからこそ、解決が難しく、苦しさを感じてしまいます……。
そんな中、ひとり恋愛強者ムーブを見せていたのは、湊に片想い中の一年生・栗木桃香。第1期の頃から積極的に湊にアプローチし、小雪に対しては彼女を慕う後輩を装いながら湊との仲を引き裂くような動きをしていました。
恋愛経験も豊富そうなうえ観察眼も鋭い彼女は、唯一湊と小雪が両想いであることを見抜いています。しかし、自分から動くことはせずにずっと受け身を取り続ける小雪に桃香は嫌悪感を抱いており、その行動から感じられるのは湊の彼女の座は絶対渡さないという強い意志。
計算高い桃香の言動が意地悪に見えるという方も少なくないでしょう。特に小雪の目線でアニメを観ていると余計にそう思ってしまうでしょうし、私自身も実際に友達にあんな子がいたらちょっと怖いなあと思ってしまいます。
ですが、フラットな目線で見てみると彼女が言っていることもそう間違ってはいないのです。好きな人に振り向いてもらえるようにアプローチすることは何も悪いことではありませんし、湊と小雪も付き合っているわけではないので、表向きには倫理面でも特に問題はなし。
私たちは小雪のバックグラウンドを知っているので、彼女が受け身の態度を取るのも納得できるのですが、桃香はそんなこと知りませんし、ましてや恋敵がそんな態度なら「私がもらっちゃうよ」と思うのもある意味当然。
あえて言うならば、自分のために人の感情を動かそうと働きかけるのだけはちょっとやりすぎかもしれませんね。とはいえ、高校生なら仕方ないか……と思ってしまうのは私が大人だからでしょうか。
また、湊に電話をしながら桃香が筋トレをしていたのも印象的でした。彼女は好きになってもらうための努力をしている子なんだなと思ったのです。
私は小雪のことが好きなので小雪と湊の恋路を応援しているのですが、決して桃香のことも嫌いにはなれません。皆さんの目に、桃香の姿はどう映りましたか?
| 作品名 | 氷の城壁 第2期 |
|---|---|
| スケジュール | 2026年10月1日(木)~ TBS系28局にて |
| あらすじ | 人と接するのが苦手で、他人との間に壁を作ってしまう高校生・氷川小雪。幼なじみの安曇美姫以外誰ともつるまず、静かに日々を過ごしていた彼女の前に、なぜかぐいぐい距離を詰めてくる男子・雨宮湊が現れて――?孤高の女子・小雪、学校のアイドル・美姫、距離ナシ男子・湊、優しく穏やかなバスケ部員・陽太。不器用で、じれったくて、それでも愛おしい。青春のすれ違いが織りなす群像劇が今、幕を開ける |
| キャスト | 氷川小雪:永瀬アンナ 安曇美姫:和泉風花 雨宮湊:千葉翔也 日野陽太:猪股慧士 霜島月子:新福桜 五十嵐翼:小林千晃 栗木桃香:鬼頭明里 安曇優希:波多野翔 熱川秋音:川井田夏海 |
| スタッフ | 原作:阿賀沢紅茶 監督:まんきゅう 助監督:石井輝 シリーズ構成:中西やすひろ キャラクターデザイン:荻野美希 サブキャラクターデザイン:伊藤依織子 プロップデザイン:濵田悠示 衣装デザイン:琴乃 笛木優奈 美術監督・美術設定:前田慎 色彩設定:のぼりはるこ 3DCGディレクター:酒寄直哉 撮影監督:渡辺実花 編集:吉武将人 劇伴:佐久間奏 田渕夏海 劇伴制作:日音 音響監督:吉田光平 原作協力:マーガレット編集部 チーフアニメーションプロデューサー:柴宏和 アニメーションプロデューサー:伊藤太貴 アニメーション制作:スタジオKAI |
| 主題歌 | OP:「エスコート」THE BEAT GARDEN ED:「花蔭」Superfly |
| 電子書籍 | 『氷の城壁』電子書籍(コミック) |
