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- まりも
- ゾロとONE PIECEを偏愛するフリーライター。アニメ、推し活、恋愛、結婚、睡眠など、幅広く執筆しています。

『ONE PIECE』といえば、主人公モンキー・D・ルフィが海賊王を目指し、仲間とともに冒険やバトルを繰り広げる物語。
本作ではしばしば、登場キャラクターたちの親子関係を通じて、彼らの過去や価値観が解き明かされる場面が描かれます。ですが、肝心の主人公・ルフィの親子事情に関しては、いまだ多くの謎が残されたまま。なかでも、長年にわたり読者の間で議論が絶えないのが、「ルフィの母親は誰なのか?」問題です。
本記事では、作中で明かされている情報や作者・尾田栄一郎先生の発言、ファンの間で囁かれる考察から、ルフィの母親の正体に迫ります。
結論として、ルフィの母親の正体は現在も判明していません。これまでに作中で描かれたルフィの家族(血縁者)は、父・ドラゴンと祖父・ガープ、義兄弟のエースとサボのみ。母親の存在は明かされていないのです。
強いて母親代わりといえる女性を挙げるとするならば、幼少期のルフィと関わりが深かったダダンとマキノでしょう。とくにダダンはガープから直々にルフィの面倒を頼まれていたため、母親に一番近い人物といえるかもしれません。
とはいえ、子ども時代のルフィは母代わりの存在に守り育てられてきたというよりは、放っておけば勝手に育つ野生児のごとく過ごしていた時間が長かった様子。ダダンとマキノは母というよりも、幼いルフィの成長をつかず離れず見守ってくれていた大人たちの一人、といったほうがしっくりくるのではないでしょうか。
ということで、1000話を超えたいまもなお、産みの母が登場したことや、その存在が匂わされたことはなく、ルフィの出生は謎に包まれています。
そもそも本作での母親キャラクターは、登場しても重い病気や子どもを守るためといった理由で早々に亡くなり“退場”してしまうことが少なくありません。
たとえば、麦わらの一味の母ならベルメール(ナミの母)、バンキーナ(ウソップの母)、ソラ(サンジの母)、オルビア(ロビンの母)、そのほかにもルージュ(エースの母)、オトヒメ(しらほしの母)、トキ(モモの助と日和の母)など、母親キャラたちはこぞって薄命な傾向にあります。
なぜこれほど母親の不在が際立っているのでしょうか。その理由は、作者・尾田栄一郎氏が定義する“母親”のイメージにあります。
尾田氏はかつて、読者から「母親が不明だったり亡くなっていたりするキャラが多いのはなぜか」と問われた際、次のように回答しています。
「なるほど。まあ。答えは簡単です。「冒険」の対義語は「母」だからです。」(『ONE PIECE』コミックス第78巻SBSより引用)
母親とは、多くの子どもにとって“いつでも自分を守ってくれる安全基地”のような存在です。本作に登場する子どもたちは、夢を叶える決意とともにその安全基地を飛び出し、未知の海へと旅立っていきます。「可愛い子には旅をさせよ」という言葉があるように、少年少女が過酷な冒険での出会いや経験を通じて一人前に成長していく過程を描くため、あえて母親が登場しすぎないような描き方をしているようです。
たしかに、ルフィの言動や覚悟を見ていてもわかるとおり、いつでも死ぬ覚悟を持って海に出た海賊たちの冒険は、あたたかな母の愛からは遠い場所にあるといえるかもしれません。とはいえ、作中では母親特有の子どもを想う愛情や子どものために発揮する強さ、母子の絆もしっかりと描かれているのが本作の見どころでもありますね。
また、尾田氏はルフィの母親についても、過去に言及したことがあるんです。2008年、北米版のジャンプにて「ルフィの母親はどんな人か、現在も生きているか」という旨の質問に、登場させるか自体を悩んでいるとしつつ、登場するならば「屈強な女性」「美人ではない」「パーマをかけた典型的な中年女性」「生きていると思う」と興味深い回答をしています。
これらの特徴は、先ほど例に挙げた薄命で美しい母親キャラたちとは対照的なイメージですよね。
一方で、ルフィの育ての母親に近い役割を担ったダダンは、まさしくこのルフィの母親像に当てはまります。
さらに面白いのが、現在連載中のエルバフ編での描写です。エルバフ編では、国の子どもたちがストーリーの鍵を握っていることもあり、コロンの母・リプリーをはじめ、健在の母親キャラが複数登場します。そして、エルバフの子どもたちが想像する「わたしのこわいもの」のひとつとして描かれた“母ちゃん”の姿は、尾田氏が語るルフィの母親像に近いビジュアルをしていました。
尾田氏はルフィの産みの母親がこれまでのストーリーに登場したか、あるいは今後登場するかどうかは断言していませんが、もし描かれるならば、このような“肝っ玉母ちゃん”という印象の女性になりそうです。
ちなみに、尾田氏は同質問への回答のなかで、「血縁がなくても、家族と呼ぶことがある」という旨のメッセージも残しています。実母の登場が期待される一方で、ルフィの“母親枠”は、血縁を超えて面倒を見てくれたダダンの存在ですでに完成しているのかもしれませんね。
登場するのであれば、美人ではなく、屈強でパーマをかけた典型的な中年女性だというルフィの実母ですが、じつはすでに作中で登場しているのではないかと噂されることもあります。ルフィの産みの母ではないかと読者の間で予想されるキャラクターを8名紹介します。
イムは、世界政府の最高権力である五老星の上に君臨し、世界を牛耳る裏の王です。本作のラスボスとなり得る存在であると同時に、空白の100年の真実を知る重要人物でもあります。
初登場時から常に黒いベールに身を包み、年齢・性別不詳でしたが、小柄に見える体格や華奢な手元、花の部屋で蝶と戯れるしぐさなどの女性らしさを感じさせるエッセンスから、イムは女性だと噂されるようになります。
さらに、パンゲア城内で謎の巨大麦わら帽子とルフィの手配書を見つめる印象的なシーンが描かれたことで、ルフィの母説が浮上しました。
また、一部では、ルフィの両翼であるゾロとサンジの母親たちの名前に着目した考察も。ゾロの母の名がローマ神話に登場する“大地”の女神と同じ「テラ」、サンジの母の名が“空”を連想する「ソラ」であることから、ルフィの母は“海”を思わせる名前で、陸・空・海が揃うのではないかとの考えが広まります。イム(IMU)をローマ字で逆から読むと「UMI(海)」になるため、イムのルフィ母親説がより深まっていったのです。
しかし、物語が進むにつれ、イムが男性であり、800年前に世界を創造した20人の王のうちの一人であることが判明し、ルフィの母である可能性は低くなりました。
実際にルフィと対峙した際も、イムはルフィの姿をジョイボーイと重ねるばかりで、親子関係を裏付けるような反応は見られません。何より、800年以上生き続けているイムと19歳のルフィが親子であるとなると年齢の説明もつきにくく、母親である可能性は極めて低いでしょう。
元王下七武海、現クロスギルドの幹部であるクロコダイルも、ルフィの母親ではないかと噂されたことがある人物です。
「男性であるクロコダイルがルフィの母親?」と疑問に思うかもしれませんが、これにはファンの間で有名な考察である“クロコダイル元女性説”が関係しています。
カギとなるのは、イワンコフが持つ「ホルホルの実」の性転換能力と、インペルダウン編で描かれたクロコダイルへの意味深な発言です。
「コイツがまだルーキーと呼ばれた時代……!!(中略)ヴァターシはコイツの“弱み”を一つ握ってる…!!!」(『ONE PIECE』コミックス第55巻より引用)
クロコダイルは過去にホルホルの能力で女性から男性へ性転換しており、イワンコフはその事実を“弱み”として握っているのではないか……と予想されたのです。
また、イワンコフはルフィの父・ドラゴンとは革命軍創設期からの盟友。そんなイワンコフなら、かつて女性だったクロコダイルとドラゴンに深い接点があったことを知っているかもしれないという推察も手伝って、クロコダイルのルフィ母親説へと発展していきます。
しかし、尾田氏がルフィの母親像について触れ、登場させるかどうか悩んでいると明かしたのは、先述のとおり2008年のこと。つまり、アラバスタ編の敵ボスとして2000年ごろに初登場を果たしているクロコダイルは、ルフィの実母候補から外れると言ってよいでしょう。当時のルフィとクロコダイルのバトルを見ても、親子関係にあるとは到底思えませんよね。
共通点や能力の特性から、ボニーとその母・ジニーにもルフィの母親説が囁かれたことがあります。
とくに、「大喰らい」の異名を持つボニーの豪快な食べっぷりは、確かに健啖家なルフィを連想させます。さらに、彼女は年齢を自在に変えられる「トシトシの実」の能力者。このことから、ボニーはルフィの母親であり、普段は実年齢より若い姿で過ごしているのではないかと言われるようになったのです。
ですがエッグヘッド編において、ボニーはバーソロミュー・くまの娘であること、さらに実年齢がまだ12歳であることが判明します。19歳のルフィよりも年下の子どもだと確定し、ルフィの母親説は否定されることに。
一方で、くまの過去編で存在が明かされたボニーの母・ジニーにも注目が集まります。
ジニーもボニーのように豪快な食べっぷりが印象的で、肉にかぶりつく姿はどこかルフィに似ています。さらに彼女はルフィの父・ドラゴンと同じ革命軍に所属していた時期があることから、「ドラゴンとの間にできた子がルフィなのでは?」という説が新たに浮上したのです。
ですが、ジニーは任務中に天竜人に連れ去られ、ボニーを出産するに至ります。その経緯や時期を考えると、ルフィを出産するタイミングはなかったはず。何より彼女は結婚を望むほどくまを慕っていたため、ドラゴンと深い仲にあったとは考えにくいでしょう。
エースの母・ルージュにも、ルフィの母親説が囁かれたことがあります。
きっかけとなったのは、尾田氏がコミックス第1巻で「ジョリーロジャー」(海賊旗)について語ったページ。そこには、フランス語で“血”を意味する「ジョリー・ルージュ」や“愉快な赤い奴”を意味する「ル・ジェリー・ルージュ」が「ジョリーロジャー」の由来らしい、といった内容が記されています。
ルフィといえばイメージカラーは赤。普段の服装や言動からしてまさに“愉快な赤い奴”ですよね。さらに「ルージュ」の語感も「ルフィ」に近いため、これはルージュがルフィに“血”を分けた母親であることの伏線ではないかと推測されたのです。
もしルージュが母親ならばルフィとエースは血が繋がっていることになり、兄弟の絆がより強固になるとも考えられていました。
しかし、ルージュは22年前、エースを出産した直後に亡くなっています。その最期にはルフィの祖父であるガープも立ち会っていました。ルフィが誕生したのはそれから3年後のことなので、ルージュが母親という説には無理がありそうです。
ルフィが海に出て最初に対峙した海賊であるアルビダにも、じつは母親説がありました。
主な理由は、尾田氏が提示した「屈強」「美人ではない」「パーマのかかった中年女性」といったルフィの母親像と、スベスベの実を食べる前のアルビダの特徴が一致していたためです。
また、彼女がストーリーの序盤に登場してルフィのデビュー戦を飾ったこと、ルフィの生まれ故郷の近くにいたことも、この説を後押ししていたようです。
しかしクロコダイル説でも触れたとおり、尾田氏がルフィの母親像を登場させるかどうか悩んでいると語ったのは2008年。ということで、1997年時点で登場を果たしているアルビダはルフィの母親候補から外れてしまいます。
アマゾン・リリー(女ヶ島)の先代皇帝・トリトマも、コミックス第109巻のSBSで名前が明かされたことで、ルフィの母親候補に急浮上した人物。その背景には、アマゾン・リリーの歴代皇帝とモンキー家の深い縁、そして彼女たちを襲う奇病「恋煩い」の存在があります。
先々々代皇帝のグロリオーサ(ニョン婆)や先々代のシャクヤク(シャッキー)は、現役時代にルフィの祖父・ガープに追われた過去があり、現在はルフィ本人とも親交があります。さらに、現皇帝のハンコックはルフィに強い恋心を寄せているのもポイント。
歴代の皇帝たちがモンキー家と関わりを持っていることから、先代皇帝のトリトマは世代的にドラゴンと繋がりがあったのではないかと推測されるようになりました。
そんななか、第109巻のSBSではアマゾン・リリーの皇帝や戦士たちを襲う病「恋煩い」の詳細が明かされます。
簡単にいえば彼女たちが誰かに恋をすると、その相手に恋焦がれるあまり命を落とすことがあるようなのです。たしかに、ルフィに恋するハンコックを見ていると、ときめきや想いの強さゆえに死んでしまってもおかしくないような気がしてきます。
そんな「恋煩い」の抑え方はおそらく「恋した相手のそばに行く事」らしく、グロリオーサとシャクヤクは島を出てロジャーやレイリーと過ごしたために生き延びられた模様。
一方、先代皇帝のトリトマは島を出て恋した相手のそばに行くことなく亡くなってしまったようです。
「先代皇帝も…この病で死んだ………!!!」(『ONE PIECE』第53巻522話より引用)
では、トリトマが恋したのは誰だったのか。その相手こそ、ドラゴンだったのではないかと考えられるようになります。
しかし、トリトマがドラゴンのもとへ行き、夫婦として結ばれてルフィを産んだのであれば、恋焦がれて死に至ることはなかったはずです。
第109巻SBSに掲載されたトリトマの姿からしても、さすがは海賊女帝といった美しさでルフィの母親像とは一致しません。歳をとればニョン婆のように容姿が変化したかもしれませんが、彼女はすでに故人です。
ということで、トリトマがルフィの母親である可能性は低いと考えられますが、じつは彼女が恋焦がれていたのはドラゴンだった……というのは、なきにしもあらずかも。
ルフィの母親である可能性が高いと囁かれた既出キャラクターたちを検証してきましたが、尾田氏が語ったルフィの母親像に合致し、なおかつ時系列などの矛盾がない人物はいないようです。
やはり、ルフィの母親は現時点で作中には登場していないというのが現段階での結論になります。
ですが、現在に至るまで未登場という点や、近年作中でボニーやシャンクスの複雑な出自が描かれた点をふまえて、最近では元天竜人や天竜人の奴隷だった女性がルフィの母親だと考える人も増えているようです。
“天竜人の悪行を知って革命軍を興したドラゴンが、のちに奴隷生活から救い出した女性と結ばれてルフィが誕生した”というシナリオも、確かにありえなくはなさそうですね。
とはいえ、ドラゴンはこれまで革命軍の仲間たちにすら家族やルフィの存在をほとんど語ってきませんでした。当のルフィとも直接関わることがないようにしています。その結果、ルフィ自身も父の存在を知らなかったほどなので、きっと母親のことも知らないし、性格的にあまり興味もないでしょう。
さらに「登場させるか迷っている」という尾田氏の言葉を振り返ると、今後もルフィの母親が作中に登場しない可能性は高そうです。
ルフィの母親がどこかで生きているのなら、いつか母子が出会うシーンを描いてほしい気もしますが、尾田氏いわく冒険の対義語は母。ルフィが母と再会する、あるいは存在を知る瞬間があるとすれば、それはルフィが海賊王となり、すべての冒険を終えたあとのことかもしれません。みなさんは、ルフィの母親はどんな人物だと予想しますか?
[文/まりも]