声優
『君の名は。』藤井司役・島﨑信長さんインタビュー

“友達感を出さない”友達の演技とは? 『君の名は。』藤井司役・島﨑信長さんインタビュー

『言の葉の庭』『秒速5センチメートル』といったヒット作を送りだしてきた新海誠監督による長編アニメーション映画最新作『君の名は。』が2016年8月26日(金)より全国の映画館で公開となります。「この夏、日本中が恋をする」というキャッチコピーにもあるように、少年と少女の特異な物語が描かれる本作。登場人物も個性的な面々が勢ぞろいします。

 そこで本稿では、『君の名は。』にて主人公・立花瀧(声:神木隆之介さん)の高校の友人・藤井司役を務める島﨑信長さんにインタビュー! 作品への参加が決まった際の気持ちや、作品の魅力を語っていただきました!

■可愛らしさすら感じるような純粋で素直な方なんですよ

──本日はよろしくお願いします。藤井司役にはどういった経緯で決まったのでしょうか?

藤井司役・島﨑信長(以下、島﨑):司役はオーディションのお話をいただきました。声をかけていただいて、しかも合格して演じさせていただくことが決まって凄く嬉しかったです。

──過去の監督の作品をご覧になったことがあるということでしたが、今作をどのように感じていますか?

島﨑:実は僕はまだ完成品を見られていないんですよ。でも今作で初めて監督の作品に触れるという方も以前から作品がお好きだという方のどちらにも満足していただける物になっているんじゃないかなと思っています。そこは僕自身も楽しみにしているんです。

──監督がどんな人なのか気になっているという方も多いと思うのですが、お会いした印象はどうでしたか?

島﨑:とっても柔らかで優しくて、それでいて情熱とか熱さとか愛というものを感じる方です。そしてそれ以上に楽しく物作りをしているんだな、というのを感じられました。

成人男性にこんな言葉を使うのが適しているかはわかりませんが、ちょっと可愛らしさすら感じるような、純粋で素直な方なんですよ。こんなに凄い作品をたくさん作られて、認められているのに、変な固定観念とか凝り固まったものとかがなくて、人の意見も聞き入れて、凄く柔軟にいろいろなものを取り入れていくんです。たくさんの人と一緒に楽しんで作品作りを出来るし、それを見た多くの人が新海さんに集まってくるんじゃないですかね。

<b>▲右端の眼鏡の男の子が島﨑さん演じる藤井司</b>

▲右端の眼鏡の男の子が島﨑さん演じる藤井司

■声優だからこその部分を求めてもらえて嬉しかった

──実際のアフレコ現場ではどういった指示が出たりしましたか?

島﨑:そんなに大きな指示はありませんでした。もちろん細かい部分ではあったんですけど、僕自身が役に向き合って、その場で司として瀧やミキと会話していれば、それでよかったと思います。僕は神木さん、長澤さん(奥寺ミキ役・長澤まさみさん)、界人くん(高木真太役・石川界人さん)と一緒に収録したんですが、幸いなことにズレたことはなかったようでした。

スタッフ:一発目で凄い上手だって監督が凄くビックリしてましたよ。一番最初のテストのときから“司がいる!”とおっしゃってました。

島﨑:本当ですか!? スゲェ嬉しい! 一番最初のテストは、神木さんと長澤さんなしで僕と界人くんだけでやったんですよ。最初から神木さんと長澤さんを想定して演じてたので、それが上手くいったのかもしれません。雰囲気は間違っていなかったので、あとは細かいニュアンスの指示はいただきました。そういったものはその場で生まれるものですから、どうしても違いとか違和感は出てきてしまうので。でもそう言ってもらえてたのは嬉しいですね! やったー!

<b>▲神木隆之介さん演じる立花瀧と長澤まさみさん演じる奥寺ミキ</b>

▲神木隆之介さん演じる立花瀧と長澤まさみさん演じる奥寺ミキ

──今、お話に出ましたが、神木さんや長澤さんという俳優の方とアフレコをご一緒したようですが、俳優と声優とで演技の違いは感じましたか?

島﨑:声の仕事を主軸に置いていると、声の芝居のお約束みたいなものや技術みたいなものを自然に学んでいくんです。感情の乗せ方とか、語尾の処理の仕方とか。神木さんも長澤さんも、良い意味でそれに染まっていないので、一緒に会話していて楽しかったです。神木さんも長澤さんも“一緒に録りたい”と言ってくださったそうで、僕も同じ気持ちでしたから。

僕は作品毎に一番自然に成立する演技を目指しているので、声優としての癖は極力取っ払って、瀧やミキと会話するように心がけました。ただそれだけでは声優の僕が演じる必要はなくなってしまうので、この作品にも活かせる僕(声優)としての技術も盛り込んでいます。ちょっと意外だったのが、司が状況説明みたいな、モノローグのような語りシーンが1か所だけあって、そこには声優的な技術を乗せているんですよ。話しているキャラクターはあまり映っていなくて、状況が流れている部分なんですが、声優だからこその部分を求めてもらえたので嬉しかったです。

■変な友達感を無理に出そうとしないことが大事

島﨑さんから見て司はどんな人物に見えましたか?

島﨑:キャラクター紹介に、“クールにみえるが意外と世話好き”というのがあるんですけど、僕はそれだけじゃないと思ってるんです。司に限らず登場人物全員に言えることなんですが、“こういう人いる!”ていう部分、共感できる部分がたくさんあって、一個の記号になってないんですよ。人間って一言で説明できないじゃないですか。クールだからといっても、そうじゃない部分なんていっぱいあるし。気持ちがせめぎ合っていたり、嫉妬してたり、ちょっと面倒くさいなと思っていたり、司のそんなところに僕は好感が持てました。

──凄く良い友達って印象を受けましたね。

島﨑:(瀧に対して)ちょいちょいイラッとするんだろうなって感じがしますよね(笑)。友達ってそういうものだと思うし、相手の気持ちを全部なんて汲めるわけないし、自分のことに集中する瞬間だってあるだろうし。世話好きな人だからって、常に相手の気を使った動きなんて出来るわけないですしね。それも含めて人間らしさを感じて、“友達ってこういうもんだよな”という共感できる一つの形になってると思います。

──島﨑さんは主役以外にも親友ポジションの役を演じることも多いですよね。親友を演じるコツってあるんでしょうか?

島﨑:もしそういう風に感じていただけてるのであれば、それは友達感を出そうとしてないからかもしれません。だって友達って考えてなるようなものじゃないですから。作品がそう作られていて、そこで求められているキャラクターをしっかりと演じれば、自然とそういう空気を作れるのかなって思います。特にコツとかはないですけど、変な友達感を無理に出そうとしないことが大事なんじゃないでしょうか。

──毎回気持ちを入れ替えて仕事をされてるんですね。

島﨑:僕は作品毎でそこで生きようとしているので、その都度方向性っていうのも変わってくるんです。作品毎で求められるものも違いますからね。説明台詞みたいな不自然なことが自然に思える作品もあるし、逆に現実でもありえることだけが自然な作品というのもあるし。何かに捕らわれすぎず、作品に取り組んでいたから、本作で司という役をまかせて頂けたのかもしれません。よくナチュラルにっていう言葉がありますけど、それは普遍的なものではなくて、その作品で自然に成立するものだと思っています。

■説明し過ぎることなく、見てる人が想像できる作品

──作品全体のことについてですけど、本作の魅力とはなんだと思いましたか?

島﨑:キャラクターの表情や目線などの細かい動きや、そこに吹く風、揺れる木々など、世界全体が生き生きしているんです。だから、その上でキャラクターたちが考えたり悩んだりしていることを凄く近くに感じられる。感情がしっかりと地に足をつけて動いているから、僕たちも共感しながら芝居が出来るし、それを見た方にも伝えることが出来るんだと思います。現実世界のリアリティーにアニメーションだからこその表現が加わっているのが一番の魅力なのかなと。

『君の名は。』は全部を説明している作品ではないんですよ。ただ微妙な表情の違いや、光の演出とかでそれを感じ取ることが出来る。説明し過ぎることなく、見てる人が想像して考える余地を残した状態で伝えることができるんですから、素晴らしいですよね。

──最後に今回の作品を楽しみにしているみなさんへのメッセージをお願いします。

島﨑:僕自身もこれから見るので、もの凄く楽しみにしています。絶対に見ていただいて損しない作品になっていると思いますし、いろいろな感情が湧き上がって、いろいろな思いを得ることが出来る作品だと思います。僕もたくさん楽しみますので、みなさんも一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

──ありがとうございました!

◆作品情報
<STORY>
 千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉(みつは)は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。
「来世は東京のイケメン男子にしてくださ―――い!!!」
 そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。戸惑いながらも、念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。
 一方、東京で暮らす男子高校生、瀧(たき)も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。
 繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。やがて、二人は気付く――。「私/俺たち、入れ替わってる!?」
 入れ替わってしまった身体と生活に戸惑いながらも、その現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。出会うことのない二人の出逢い。運命の歯車が、いま動き出す。



<公開情報>
作品名:『君の名は。』
2016年8月26日 全国東宝系公開
原作・脚本・監督:新海誠
作画監督:安藤雅司
キャラクターデザイン:田中将賀
音楽:RADWIMPS
声の出演:神木隆之介 上白石萌音 長澤まさみ 市原悦子 ほか
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝

>>映画『君の名は。』公式サイト

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(C) 2016「君の名は。」製作委員会
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