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エヴァ、シン・ゴジラ手がけた庵野秀明さんが目指す未来とは

『エヴァ』『シン・ゴジラ』手がけるスタジオカラー10周年、庵野秀明さんが見据える未来とは

 2016年11月23日(水・祝)~11月30日(水)までの期間、東京・ラフォーレ原宿ミュージアムにて開催中の「株式会社カラー10周年記念展」。『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』といったカラーが手がけてきた作品に関わる貴重な資料の展示などが行われる中、カラーの代表取締役でもある庵野秀明氏の囲みインタビューが行われました。

 会期の前日、プレス向け内覧会のタイミングにて行われたこのインタビューで、スタジオカラー10周年を迎えての心境を語った庵野氏。また、続報が期待される『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』完結編の現状についても話題に上りました。

 

しみじみとこれまでの歩みを振り返る庵野氏―『シン・ゴジラ』の制作秘話も
――設立10周年、おめでとうございます。今回の展示会はどのような内容になっているのでしょうか?

庵野秀明氏(以下、庵野):ありがとうございます。こうした形でお披露目もできるようになり、10年もって良かったなと改めて思います(笑)。

展示には、弊社がやってきた10年をギュッと詰め込みました。これを見れば、だいたい概要がわかっていただけると思います。作品そのものではなく、作品を作るまで過程の面白さというものを楽しんでもらえれば嬉しいですね。

――個人的には展示されていたシン・ゴジラの模型が気になったのですが、どういった経緯で作られたものなのでしょうか?

庵野:我々が「雛形」と呼んでいるものですね。『シン・ゴジラ』では、最初からゴジラ自身はCGで作ることが決まっていたのですが、イメージ原画を元に立体物を作り、それをスキャンするという形式でCGを制作しています。何もないところからCGを作るのではなく、あくまで現実に存在する立体物をCGにしたかったんです。

――完成したCGは凄まじい迫力でしたが、模型からCGを作るうえでの苦労はありましたか?

庵野:雛形という正解が指針としてあるので、何もないところからCGを作るより、すごく作業的にはやりやすかったと思います。頭の中だけではダメで、実在するものがあったからこそ、あのゴジラをCGで表現できたのかなと。

――『シン・ゴジラ』では、ゴジラがその姿を変えますが、あの形態変化を取り入れた理由とは何だったのでしょうか?

庵野:形態が変わったほうが、映画としてもビジュアルとしても面白くなるだろうという思いつきです。すでにゴジラというイメージが固まっていることもあり、最初は東宝さんが嫌がったのですが、「三つ出せばバンダイさんが喜びますよ」と、スポンサーへのサービスを兼ね、手を変え品を変えて説得しました(笑)。


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』現在の制作状況は?

――今回の展示は『エヴァ』に関するものが中心で、それは「これまでのエヴァ、これからのエヴァ」というキャッチコピーにも表れています。どういった意味が込められているのでしょうか?

庵野:弊社の歴史を振り返った時、やはり一番の代表作となるのは『エヴァ』ですから。過去が積み重なることで現在の『エヴァ』があり、同時にこれからの『エヴァ』もスタジオカラーが作っていく、という意味を込めています。

――その中でも、多くの原画が展示されていますが、原画という部分でこだわったポイントはありますか?

庵野:原画はアニメーションの動きの元なので、動きそのものには当然こだわっています。あとは画面の中を構成するシルエット、顔の位置ですね。この顔の位置というのはとても大事で、お客さんは画面の中で一番先にキャラクターの顔、その中でも目の部分を見るんです。目を確認したら、キャラクターが何を見ているのかということを意識する。なので、目の表現にはとくに気を使っています。

――そもそもの話になるのですが、『エヴァ』を生み出した際の着想はどんなものだったのでしょうか?

庵野:20年前のTVシリーズの時の話になりますが、僕自身、ロボットが出てくる作品が得意だったので、自分が「一番うまく作れる」と思えるようなものを作品にした結果、『エヴァ』になっちゃったという感じです。あまり「面白いものを作ろう!」とかいう意識はなかったですね。

――この10年間で一番苦労したことというと?

庵野:一番大変だったのは、『Q』のあとです。自分の中にあったものを全て使い切り、何も作れなくなっていましたから。

――現在からさらに10年後を想像して、やりたいと思っていることはありますか?

庵野:面白いものを作り続けたいですね。僕自身はもちろんのこと、僕以外の人にとっても(スタジオカラーが)そういう場であって欲しい。あとは10年、20年先にも、今存在している資料をアーカイブとして残していきたいですね。過去を残しながら、未来にも繋げていく。そのためには、現代というのが一番大事になってくるんじゃないかと思っています。

――やはり今『エヴァ』シリーズのファンが気になっているのは、完結編となる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の次回作の公開がいつになるかということかと思うのですが……。

庵野:頑張って作っています(笑)。時期に関してはウチだけの話ではなく、配給会社との詰めもありますので……今はちょっとまだ分からないですね。

――本日はありがとうございました。


[取材・文・写真/米澤崇史]

 
開催概要
【展覧会名】株式会社カラー10周年記念展 過去 これまでのエヴァと、未来 これからのエヴァ。そして現在 いまのスタジオカラー。
【会場】 ラフォーレミュージゕム原宿(東京都渋谷区神宮前1丁目11−6 ラフォーレ原宿6階)
【期間】 2016年11月23日(祝・水)~11月30日(水)の計8日間
【時間】 11:00~21:00 (最終入場は20:00) ※前売り券をお持ちの場合でも、場内の混雑状況によっては入場を制限させて頂く場合がございます
【主催】 株式会社カラー
【協賛】 株式会社映像センター 株式会社丹青ディスプレイ
【協力】 ラフォーレ原宿
【料金】 500円 (税込)
【当日券購入方法】11月23日(祝・水)よりラフォーレミュージアム会場入り口での販売
【問い合わせ先】03-6712-7839 株式会社カラー10周年記念展事務局(問い合わせ時間:平日 10:00~18:00)

>>カラー10周年記念展公式サイト

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